前回までのあらすじ
2人には東京ブレイドの2.5次元舞台のオファーが届き恋人の役です。リアタイ投稿を注意しに来た有馬は「つるぎ」役で共演となり、子役時代からの因縁にあかねはライバル意識剥き出しです。絶妙なキャスティングに雷田がにやける中、第五章 2.5次元舞台編が始まります…

舞台稽古始まる
顔合わせで雷田に加え金田一、GOA、そして役者が揃い、主演は姫川大輝です!本読みを始め、あかねは本業なので頼ってと自信げです。有馬も本性を現し「今日あま」の時とは違います。東ブレは王道バトル漫画で新宿・渋谷クラスタが戦う「渋谷抗争編」を柱にシナリオを展開します
アクアは演技はアイの真実を知る為の手段で金田一に近づくのが目的です。今回下手な子は居なく、役に「没入型」と「適応型」で対照的な2人はあかねが一歩先を行きます。ところがレベルの高い姫川に呼応し身勝手な「私を見ろ」って演技も出来る有馬にあかねもドキドキします
舞台は1か月程度の稽古期間を設け、昼頃集合で夜解散の6~7時間、演劇人は熱心で忙しくても夜だけでも参加しようと姫川は熱いです。姫川は防人を読めず有馬に教わり稽古場でもグループが出来上がって来ます。溢れ出る陰のオーラでアクアは孤立、有馬を観察しそのレベルの高さにあかねにこのままじゃ負けると手厳しいです
膨れるあかね、立ち上がりが悪く所謂負けヒロインとして不遇なキャラを演じ舞台化にあたり原作から大分戦いに前のめりとなっており脚本家にあまりに便利に使われてると嘆きます。吉祥寺とアビ子が飲み会で経験豊富な吉祥寺に相談しますがアビ子は食後ダブル歯磨きをする変人です
アビ子の暴挙
脚本の出来や演者としての立ち振る舞いを踏まえて奥手のあかねをアクアが後押しし「鞘姫」のキャラ付けの意図を問うとGOAなりの意見があり、金田一は人物達の対立を分かりやすく明示する舞台装置だと語りそこにアビ子が現れます!付き添いの吉祥寺も「今日あま」以来の有馬やアクアには好対応、メルトには塩対応です(笑)
コミュ症なアビ子はイケメンと美少女にテンパり吉祥寺に隠れます。初めて見る舞台稽古に見惚れながら、アビ子はよりによって脚本全部直してくださいと空気読めません…本番まであと20日での暴挙で、別に展開変えるのは良いがキャラを変えるのは無礼、うちの子達はこんな馬鹿じゃないと辛辣です
メディアミックスにあたって原作者と脚本家が揉めがちなのは本当によくある話で、アビ子はロジックに頼らないセンス型なので意図が編集者に汲み取れない可能性があります。全部私に脚本書かせてください、じゃなきゃこの劇の許諾取り下げますと流石に身勝手です
GOAは魂込めて脚本書いたもののアビ子には届かず途方に暮れます。稽古は休止となり、ステアラの舞台観た事ないアクアにあかねは演劇は映像より上位の体験型コンテンツだとデートに誘います。360度全面モニターで想像の50倍面白かったとアクアはその演出力に驚きます
客席が360度回転する事で場面転換をシームレスに行え演劇の構造的欠陥を物理的に解消しており、演劇の幅も広がっています。この舞台は雷田が担当で、アクアの満足げな顔に得意げながら「東ブレ」の方は難航しており、GOAもこのままでは降ろされてしまいます
アクアは感動代にちょっと小突く位はしておくかと電話を掛けます
役者の演技に全投げのとんでもないキラーパス脚本に
吉祥寺に諭され現場を信じて「今日あま」はああなっちゃったんじゃないですか?とアビ子は毒舌です。信じられるのは自分の才覚だけとし、吉祥寺もそれを言えるのは貴方が天才だからよと認めています。あかね達は吉祥寺の仕事場に赴き、アクアはアビ子を説得出来るのはこの人しか居ないと確信的です
アビ子は「今日あま」の時のアシで昔から変わった子でコミュ障でも漫画は多弁、トントン拍子で売れっ子になって一瞬で追い抜かれていったと吉祥寺は自虐的です。編集には売れる漫画を作らせ、売れた漫画を終わらせない2つの仕事があると語り、吉祥寺からアビ子の説得を頼みますが断られます
アクアはアビ子に渡して欲しい物があるとし、吉祥寺が仕事場に訪れると締め切りオーバーの修羅場を何と1人でこなしています!アシも今はおらず一応毎日2時間は寝てると鬱病リタイアコースで吉祥寺は仕方なく手伝い多少妥協してでも人間らしい生活しなさいと諭します
5000万部売ってから言って貰えます⁉と重い期待の中毎週必死なアビ子、吉祥寺と言い合いになりお互い自虐的になりながら何とか締め切りに間に合い2人は放心状態で本音を語りアビ子は不器用な子なのです。アクアは吉祥寺に舞台のチケットを託しており、観に行ったアビ子は感動し雷田と腹割って話します
舞台ともなると100人以上の仕事を守らなきゃいけない雷田も必死でGOAの仕事を信じて欲しいと言われアビ子は一つ条件を付け妥協します。クラウド上のテキストデータをリアタイで共有し通話しながら修正していくやり方で、下策ながら雷田も最早賭けです
すると舞台を観たアビ子とGOAは意気投合し結果クリエイターが団結したトガッた作品となり上手くハマれば凄いものの諸刃の剣で雷田も新たな頭痛の種です。有馬は役者の演技に全投げのとんでもないキラーパス脚本だ、無茶振りが過ぎると評します
紆余曲折もシナリオは完成し、稽古は本格的に再開、演者も気張る中金田一はアクアに感情演技のシーンだと煽ります。有馬は泣き演技について母が死んじゃったらどうする?という手法を提案、嬉しかった事を思い出すとゴローにそんな権利はないとアイの死に様を見せられアクアが卒倒するところでこの巻は終わります
まとめ
本レビュー筆者は生舞台としてチームナックスの本公演2作と小説原作「死神の精度」という舞台を観た事があります。どちらも地方のホールだった事もあり、今巻で語られるような360度ステアラといったものではなく旧来的なワンシーンを背景とした舞台でしたが、それはそれで感動しました
都市圏の舞台に特化した劇場では最早ステアラが主流となり舞台そのものの価値観が覆る程の映像美・音響で観客が楽しめ、舞台の在り方も時代と共に変わって来ている事が分かります。ここで問題となって来るのがアビ子という「東ブレ」原作者の介入です
原作ものあるあるの現場とのズレが生じ、コミュ障で空気の読めないアビ子は強権に出て現場は大混乱です。舞台ともなると関わる人員が多く、漫画の様な少人数体制では実現不可能な分根底が覆ると脆さも露呈します。今回はアクアの差し金もありアビ子が妥協・翻意し結果トガッた作品に行き着きます
役者の演技に全投げのとんでもないキラーパス脚本となり、有馬は燃えているようですが、感情演技をした事のないアクアには無理ゲーです。更に有馬からの提案で泣き演技について考察すると冷酷にもゴローが現れ、お前に(嬉しかった事を思い出す)権利がないと言われ卒倒します!
ここで忘れがちなアクア復讐劇を思い出させ、華やかながら過酷な舞台編の中でも演者・製作者・観客サイドと様々な視点から多くの問題提起をしてくれる【推しの子】、勉強になりますね!具合が悪くなってしまったアクアが心配な中、6巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
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