前回までのあらすじ
手の無い賊軍はブラウンシュバイクの毒殺をもって降伏とし、アンスバッハはラインハルト殺害を約束、フレーゲルに毒ワインを飲まされ2人は毒死します。全ては終わり、武勲が巨大過ぎるキルヒアイスも帰還、ラインハルトに例の核の件を持ち出しオーベルシュタインの差し金だと悟ります
キルヒアイスの諭しにお説教は沢山だと怒り、ラインハルトはお前はいったい俺のなんだ?と問い私は閣下の忠実な部下ですとなにか目に見えない貴重なものが音もなくひび割れた事を2人共悟ります…

昔の約束を守ったジーク
1対1で会ってしまった事を後悔したラインハルトはオーベル~にキルヒアイスを他の提督と同列に扱う事を徹底させ、キルヒアイスは2人の離れるべき時が来たのでしょうか?とアンネローゼを想います。これはフェザーンの裏工作によるもので、その事をオーベル~も知っています
ガイエスブルクで勝利の式典が行われ、キルヒアイスすら武器の携行を許可されません…捕虜の引見でファーレンハイトの手錠を外し士官の列に加わります。アンスバッハはブラウン~の遺体と共に現れ、遺体から銃を取り出しラインハルトに向けます!誰もが動けない中身を挺して守ったのはやはりキルヒアイスです
銃を落とすと指輪のビームでキルヒアイスの首が撃たれ、それでも押し倒しここで他の提督がやっと動き出しますが、医者も「もう…遅い…」とはキルヒアイスです。アンスバッハは毒を飲み逝き、ラインハルトは闇の中にいます。もう役にたてそうもないというキルヒアイスに姉上の所へ行こうと励まします
キルヒアイスは「ジークは昔の約束を守ったとお伝え下さい」と言い、そのまま逝きラインハルトは絶叫します!3日間悔やみ続け、オーディンではリヒテンラーデの不穏な動きにヒルダがオーベル~に連絡、提督達は候にあれ程脆い所がおありだとは思わなかったと話し合います
オーベル~が現れ皮肉り逆にナンバー1・2不要論でまとめ役に欠くのでなとロイエンタール、立ち直って貰う為にアンネローゼにヒルダから事情を伝え諭して貰う事にし、真犯人としてリヒテン~を捕えると提督達を電光石火の行軍でオーディンに向かわせます。姉に喋ったなと怒るもラインハルトは通信に応じます
一連の貴族連合との内乱時にラインハルトが打った奥の手とは⁉
お互いの他にもう何も持たなくなったというアンネローゼはシュワルツェンの館を出ますとし、私には過去があるだけ、でもあなたには未来があると諭し、ラインハルトはキルヒアイスを愛していらしたのですか?と核心に触れます。失ったものの大きさを思えば宇宙を手に入れる…それくらいしなくてどうすると…
数日後ロイエンタールの通信で若い主君が自己を回復した事を知り、リヒテン~一族を一掃、ラインハルトは公には自殺を勧め、女子共は辺境に流刑、10歳以上の男子は全て死刑とします。私を倒すだけの自信と覚悟があるならいつでも挑んで来て構わないとラインハルト、ご冗談を…とロイエンタールは硬いです
ラインハルトは心の飢えに強力で有能な敵=ヤンを欲します。帝国宰相となったラインハルトは政治・軍事の両大権を独占します。ロイエンタール・ミッターマイヤー・オーベル~は上級大将、ケンプ・ビッテンフェルト・ワーレン・ルッツ・メックリンガー・ミュラー・ケスラーを大将に昇進させます
キルヒアイスの墓碑にはただ一言「わが友」と記されます。ルビンスキーは今回の騒動から今度はヤンに頑張って貰うと裏で暗躍します。帝国の内乱中同盟でも内戦が起こっていたのです。ラインハルトはリンチを故国に潜入させクーデターを起こさせます
ヤンは誘惑を感じ、自身ならこの捕虜交換に乗じてあべこべにラインハルトを斃す事も出来ると悩みます。射撃の才能があるユリアンに僕が守ってさしあげますと言われ頼りにするヤン、ビュコックは社会の弱体化を憂い、ジェシカの宣伝に彼女の言う事は正しいと同調します
ヤンは通信でビュコックにクーデターが起こると予期、大貴族との内乱中同盟の攻撃をかわすラインハルトの手です。ビュコックは捜査チームを編成し調査するもネプティスで武力蜂起が起き占拠、ついにクーデターが始まります
救国軍事会議によるクーデター
救国軍事会議と名乗り、カッファー・パルメンド・シャンプールと飛び火、通信でヤンはビュコックに地方反乱の鎮圧で分散させ空になった首都星でクーデターを起こし占領するつもりだと話します。クブルスリー大将がフォークに撃たれ先鋒として病気にかこつけ軍のトップを暗殺する役割でした
代わって代行はドーソン大将となり、ビュコックは自身が兼任した方が良かったかもな…と逡巡します。ドーソンは4か所全てをヤンに鎮圧させる腹積もりで、ユリアンはヤンの若さに嫉妬しての無茶振りだと看破します。ユリアンの壮大なアイデアに悪くないが更に上を行くヤンの鋭い考察にユリアンは感服します
いよいよハイネセンでクーデターが起こり、主犯は何とグリーンヒルなのです!明らかな軍国主義体制で、「処女神の首飾り」を完全制御下に置き、瞬時に数個艦隊を焼き尽くす攻撃力を有しています。ヤンはフレデリカに君がいてくれないと困ると本音を吐露、沈んでいた彼女も復活します
スポークスマンとしての才能も発揮するユリアン、給料分は働くとヤン艦隊出動です。ビュコックはグリーンヒルを信頼しており虚を突かれ囚われます。トリューニヒトは地下に潜伏し消え、グリーンヒルはビュコックを諭しますが2人は分かり合えません。ヤンはシャンプールの攻略に当たります
マロン大佐が待ち構える中、薔薇の騎士降下ポッド射出でシェーンコップがイゼルローン奪取以来の舞台だ、勇名を轟かせと気張るところでこの巻は終わります
まとめ
今巻は銀英伝における重要なターニングポイントであり、伏線が張り巡らせてある内容です。特にキルヒアイスの死は読者に衝撃を与え、藤崎竜版だとより克明に2人の仲が記されて来た為喪失感が半端ないです。半身を失ったラインハルトは前に進むしかなく、過去しかないアンネローゼとも疎遠となります
それでも挫けなかったラインハルト、宇宙を手に入れるとその野望尽きる事なく、強大な敵=ヤンを欲します。この激動の帝国の中同盟は何をしていたのか?というと、同時にクーデターが起こっていたのです!これは例の捕虜交換時にリンチが潜入し扇動、良識派のグリーンヒルが首謀者となってしまいます
父の凶行に更迭も過ったフレデリカですが、ヤンは君がいてくれないと困ると残留させます。ロイエンタールに掛かって来いとラインハルトが挑発した点も含め、伏線となっていますので覚えておきましょう。久々の肉弾戦に士気上がる薔薇の騎士、シェーンコップの活躍に期待したいところです
このように帝国の内乱の間に同盟でもクーデターが起こりそれどころではなかった事が判明し読者の謎も解けた中、ヤンは無事鎮圧する事が出来るのかが肝となります。予期していただけに悔やまれますが、それこそがヤンなのだという事なのでしょう…14巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
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