「銀河英雄伝説(藤崎竜版)」28巻の数々の激戦と成長譚~「回廊の戦い」の長期激戦も皇帝不予により終結…会談に向かうヤンを襲うフォークと地球教徒の魔の手!魔術師、還らず~

  1. 前回までのあらすじ
  2. ミッターマイヤー存命、逆に艦隊運用の名人=フィッシャー戦死
  3. 「回廊の戦い」終結、会談へ
  4. 魔術師、還らず…
  5. まとめ
前回までのあらすじ

ロイエンタールバルトハウザーヤンの足止めを命じ、ヤンは下に逃げると見せかけて実は一挙急襲を画策、これを読んだのはラインハルトです!高揚したラインハルトキルヒアイスが諫め、この激戦下の折ミッターマイヤー戦死の報が帝国軍を戦慄させます…

ミッターマイヤー存命、逆に艦隊運用の名人=フィッシャー戦死

この報に流石のロイエン~も崩れ、キルヒアイスと自身に重ねたラインハルトも卒倒します!ヤンの攻勢は続き、更にメルカッツまで加勢、勝負あったかに見えましたがラインハルトミュラーに防がせこの動きに気付いていたのです。ロイエン~皇帝カイザーの無限なまでの欲求が臣下の命をも危険に晒しているとミッター~を想います

するとミッター~存命の報が入り皆安堵します…双璧を呼び寄せ皇帝カイザーは自ら指揮を執ると意気込みます。ヤン一番恐れていた作戦=各提督を順番にヤンと戦わせる戦法を取られ退くに退けず、ミュラーに続きアイゼナッハの分断攻撃に苦しみます

次はバイエルライン・ビューローヤン艦隊は疲労の極みにあり物資も尽きかけています。不敗のヤン艦隊も初めての…そして最後の敗北を目前とします。次はビッテンフェルトで、フィッシャーに狙いを定め、艦隊運用の名人でヤン艦隊の要の彼を失います

「回廊の戦い」終結、会談へ

ヤンは撤退を決め、多くの犠牲が出ようと戦い続けるよりはましだとしますが、妙に静かになり、帝国軍は致命傷を与えた事を知りようもなく、皇帝不予でそれどころではなかったのです…キルヒアイスに諫められたラインハルトヤンと話し合ってみる事にし、誰も不可能だった事が死者の霊は可能にしました

皇帝カイザーから停戦と会談を求めて来て、ヤン艦隊は疲労の極みで返信前に皆寝付いてしまいます。今攻撃されたらひとたまりもない中、「回廊の戦い」は終結し、2万4400隻を失った帝国の半分で済んだヤン艦隊、数によらないこの戦いの結果や意義については後世の評価を待つしかありません

宇宙スペースインフルエンザが蔓延しフレデリカも罹ってしまいます。皇帝カイザーとの会談は6月1日に決まりインフル組を除く幹部達で会議をし、いつものしっかり組がおらずふんわりした者ばかりです。ロムスキーは張り切りあくまで民主共和制の一惑星の存在を認めさせる為の講和に引きずり込みたいところです

ヤンは宇宙1の美男子に会って来ると言うと、フレデリカは宇宙で2番目の美男子にお会いになるんだからと髪をとかし、色めくシャルロットオルタンス1年生で教わった事を4年生になっても習おうと思わないでしょ?と諭します

オーベルシュタインは人質を出しヤンを殺してしまうよう進言、候補がいなければ自分が人質になると言いますが皇帝カイザーに却下され、双璧は奴の復讐をする義理はないと冷ややかです。皇帝不予は原因不明の奇病で兵達に秘されています

魔術師、還らず…

レダⅡで会談に向かうヤンの随員は3次元チェスのカモ=ブルームハルトファイフェルパトリチェフです。ボリスは入れ違いでイゼルローンに現れ、ヤンは無事か?フォークが暗殺を企んでいると報じユリアンシェーンコップと慌てて追いかけます

レダⅡはのんびりしていましたが、正体不明の武装民間船から攻撃を受け、裏で地球教徒が暗躍、総大司教グランドビショップ猊下げいかド・ヴィリエがお気に召す結果となると強気です。ヤンを守って差し上げますと豪語した過去を思い返しその言葉の重みを自覚するユリアンは急ぎます

フォークの艦を後方から帝国艦が撃破し、損傷した為艦を移るよう言われロムスキーは独立革命政府の主席は私だとイキりますが、接舷されて出て来た兵はヤンを探し虐殺、ファイフェルから危機を知らされブルームハルトが狂信者共と把握、薔薇の騎士ローゼンリッター副連隊長として1人気を吐きます

パトリチェフと逃げるヤン、彼が肉壁となりヤンを奥へと逃がします。ユリアン達も突入し、地球教徒の仕業と知り慌ててヤンを探します。ヤンは狂信者に左足動脈瘤を撃ち抜かれ、ついには立っていられず、私がこれまで流してきた血の量に比べればささやかなものかとしゃがみます

ごめんフレデリカ、ごめんユリアン、ごめんみんなと謝りヤンの時は33歳で停止したところでこの巻は終わります

まとめ

「回廊の戦い」は戦術レベルでは完全にヤンの勝利でしたが数に勝る帝国の各提督を順番に戦わせる戦法に出られては勝ち目はありません。最早ヤンに勝機なしのところで皇帝不予により停戦と会談が求められ何とか命を拾ったヤン艦隊、これで念願の交渉の場を持てるのですが…

銀英伝の評価が分かれる点は登場人物が死にまくる事です。特に最近の漫画は死を避ける傾向にあり、推しのキャラの死は印象に残るものの読者に与える影響が大きく、以降嫌われる傾向にあります。今巻でもあのフィッシャーが死に、ミッター~は無事でしたが名優がどんどん旅立ちます

しかしまさかこの段階でヤンが死んでしまうとは誰が予期出来たでしょうか?Wダブル主人公として豪奢なラインハルトと全く対照的ながら明晰な頭脳で不敗神話を作り上げ、むしろ読者に馴染み易いのは圧倒的にヤンの方だったでしょう。多くの要素が絡み合ってのこの結末ですが、ユリアンの無念さを考えると気が重くなります

この物語はヤンあってのものでした。田中芳樹先生は敢えて登場人物を殺しまくり、これは評価が分かれるところではあるとは思いますが、それこそが銀英伝で、戦争の虚しさを案に示しているのかもしれません。ラインハルトも不予という異常事態ですが物語はもう少し続きます…この凄惨な出来事の後、29巻ではどんなお話が待っているでしょうか?

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