前回までのあらすじ
ミッターマイヤーは紡錘陣で突破、円錐陣に変更し混戦です。ビッテンフェルトは半分は旧ファーレンハイト艦隊の混成軍で統一性に欠き、更にワーレンも急襲、旗艦への被弾で彼は再び義手を失います。ところがミッター~反撃に加え皇帝の大艦隊も迫り、ロイエンタールはやっとヤンの苦心に染み入ります
完全に裏切るタイミングを逸したグリルパルツァー、メックリンガーの前進もあった為ロイエン~が殿となりハイネセンを背に布陣する事になり、グリル~が最悪のタイミングで裏切りロイエン~の旗艦が被弾、彼が血を流し崩れ落ちます…

ロイエンタール、気高く逝く…
ベルゲングリューンがグリル~を急襲、グリル~は迷った末ワーレンに降伏を申し込みます。ロイエン~は気丈に立ち振る舞い、定期的に鎮痛剤と造血剤を注射するだけでなおも全軍の指揮を執り続け判断と指示は的確を極めます。壊滅から立て直し後退を完成させる手腕です
ビッテンフェルトはグリル~投降に納得いかず、ワーレンに皇帝の命で俺を討てと言われたら卿は従うか問うとワーレンは「ああ」と即決です(笑)ハイネセンに戻ったロイエン~はエルスハイマーに政務と事務の全権を委ね、トリューニヒトを呼び彼の醜聞を見聞きし汚物として撃ち殺します
裏で手を回していた事を確信し、俺が生涯の最後に殺した人間が武器を持っていなかったとは…不名誉な所業だと嘆きます。朧げな中コールラウシュと息子が現れ、ロイエン~はミッター~にその子の将来を頼めとし、ハインリッヒに抱かせ彼女は出て行きます。グラスを2つ出しミッター~を待ちます
ロイエン~もヤンと同い年で同じ年に亡くなります。ミッター~はウイスキーを飲み干すとロイエン~に国旗を被せその訃報に皇帝は俺自身が戦ってこそ彼を満足させてやれたのだろうか…と逡巡します。ラングは発狂し自白を始め、ヒルダも衝撃を受けつつアンネローゼと通信し事情を話します
ヒルダ、アンネローゼの後押しもありプロポーズを受け入れ皇妃へ
ミッター~は皇帝に寛大な処置をお願い申し上げる故早まらぬよう布告しますがベルゲン~はビューローの説得虚しく2人の上司を失い限界で壮絶に自決します。ミッター~は皇帝へ終戦報告に向かい、バイエルラインは彼が泣いている姿を一生忘れません
皇帝は卿は死ぬな、これは命令だ…とついに初期メンバーは2人だけになります。ミッター~はロイエン~の子を育てる気でヒルダに相談、まずはエヴァに聞いてみるよう諭され、エヴァは喜びフェリックスと名付けます(古い古い言語で「幸福」を意味します)
ルッツの婚約者は遺族年金を謝絶し、ヒルダはルッツの名を記念した基金の設立を提案します。ここで初めて子を授かった事を悟った皇帝、改めて求婚し、ヒルダはアンネローゼの後押しもありついにプロポーズを受け入れ皇妃となります
一方ユリアンは兵の調練に精を出し、今回戦わなかった事で指導者としての評価を得ます。盛大に新年を迎え、皇帝は正式にヒルダを皇妃として迎えると発表します。家令のハンスは皇帝も意外に手の早い御方だったのだなとこれは不敬罪です(笑)
そんな中皇帝が死んだという噂が流れます…ベーネミュンデがミイラ化した子供の遺体を腕に抱いており、こうしてゴールデンバウム王朝の正統は絶えます。通信で総代司教猊下は偽物と判断したルビンスキー、頭痛発作が頻発しド・ヴィリエとお互いを牽制し合い切り時かを見極めます
ユリアンついに動く!
2人の結婚式に出席する為オーディンよりアンネローゼが現れ久々の再会です。贅沢に関心がない皇帝らしい挙式ながらヒルダは戦いの女神ミネルバが如き美しさで宮内尚書がド緊張の中笑わせ、皇帝万歳、皇妃万歳と盛り上がり、一躍時の人のマリーンドルフ伯も国務尚書を辞する気で後任にミッター~を推します
ハイネセンで暴動が起き式中にも拘らず不敬なオーベルシュタインですが、兇時は延期出来ず、ヒルダも皇帝を立て良き指標となりましょうと讃えます。旧同盟の各地で暴動が多発しイゼルローン共和政府が食料を調達、市民の期待が高まっており、旧同盟の物流システムのバックアップはオーベル~が取っています
ラングに一任していたもので、皇帝は採用し同盟の物流は一時的に回復します。オーベル~は家族想いのラングを脅し地球教徒の枢機卿の所在を調べ上げます。フレデリカはヤンの遺体をハイネセンに埋めたいと考え冷凍カプセルに入れたままです
ユリアンは熟考の上皇帝と戦って自治区を認めさせ200年に及ぶ帝政と民主制の戦いを終わらせる唯一の方法とします。回廊出入り口のワーレンはユリアンが動いた事を悟るも帝国本土への侵攻を目指しているようで何かしらの奇策、養父に倣うか…と6600隻に対しヴァーゲンザイル艦隊は8500隻です
ユリアンは帝国本土の先の基地惑星を攻撃するように見せかけ艦隊を2分しアッテンボローと半包囲し、回廊に押し込むところでこの巻は終わります
まとめ
銀英伝が美しいとされる点は親友同士が双璧として相まみえ、敗れたロイエン~の実子をミッター~が我が子として育てる事です。子宝に恵まれなかったミッター~がロイエン~の息子をフェリックスと名付け育てる…2人の鉄の友情の証です
皇帝もヒルダを正式に皇妃として迎え、アンネローゼも呼び寄せ結婚式を挙げます。慣例には倣わず質素なものとなりましたが軍隊式で2人が美男美女だけに映える式でした。それでも止まる事が出来ない悲しさが専制君主制というものなのでしょうか…
今回のロイエン~騒動で戦わなかった事で評価を高めたユリアン、熟考の上皇帝と戦って自治区を認めさせ200年に及ぶ帝政と民主制の戦いを終わらせる唯一の方法とします。回廊外でワーレンが待ち構える中、向かった先は逆の帝国本土側で何か意図がありそうです
必勝の鉄則=回廊内に敵を引きずり込む戦法は彼等の常套句で、見事ヴァーゲンザイルをハメ回廊内に押し込むユリアン、流石ヤンの一番弟子です…33巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
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