はじめに
推理漫画の金字塔として名探偵コナンと人気を2分する金田一少年の事件簿。シリーズ累計発行部数は1億部の超人気作で、本格推理ものとしてその評価は高く、特に堂本剛主演のドラマ版から人気に火が付き以降様々なメディア展開され、最近では金田一パパの事件簿も話題を攫いました。今回は原点とも言えるこちらにスポットを当てていきます

演劇部の合宿での悲劇
七瀬美雪は不動高校2年生、幼馴染の金田一一とは腐れ縁でスケベでどこか頼りないです。緒方夏代は彼が’’天才’’と言われた人物の血を引いていると評価しています。演劇部の合宿でオペラ座の怪人の音響係となった金田一は電車でマジックで得意になっている布施光彦に恥を掻かせ見事な推理力です
日高織江・有森裕二・桐生晴美の不動高メンバーに加え黒沢和馬が離れ小島のホテルに案内します。何と劇場まで完備し、何か曰く付きのようで早速練習が始まります。仙道豊もおり、金田一は小道具のボーガンを誤射、怪人役の布施を怒らせます
桐生は役者となると豹変し、皆亡くなった’’月島’’の事を口にします。早乙女涼子は怒りっぽく日高を突き飛ばし神矢修一郎は月島さんがあんな事にならなけりゃと言い場は凍り付きます。日高は怯え有森は月島冬子が1か月前理科準備室で誤って硫酸を頭からかぶってしまい手術で治せない程焼けただれてしまったと語ります
月島は飛び降り自殺をし皆月島を想っています。他の客で剣持がおり不愛想で、鉗子で食事を取る者もいます。日高が行方不明となり悲鳴が聞こえ舞台に行くと重さ数百キロはある鉄の照明機材の下敷きになり死んでいます!剣持は実は警視庁殺人課の警部で事故だと決めつけますが、ワイヤーの切り口から金田一は他殺と推理します
例の鉗子の男は結城映作で即死だと診断します。剣持の取り調べに黒沢は顔に包帯の「歌月」という客もいたと言い、その部屋はズタボロで「地獄の業火に焼かれよ」と記されクルーザーも流されこの島から出る事は出来なくなります
第2・第3の犠牲者
桐生は月島の幻影に取り憑かれた’’誰か’’の仕業とし、美雪はファントムの夢を見て、窓越しに仮面男も見つけ動けません。早朝雨の中桐生の絞死体が見つかり金田一は密室殺人だと断言します。早乙女・仙道が怯える中劇場の舞台道具がメチャクチャにされ、「怪人」の仮面と衣装もなくなっています
美雪は「オペラ座の怪人」そっくりに殺人が起きているとし、金田一は動き始め緒方は実は彼がIQ180の天才だと期待します。事件のカギを握る秘密の「カード」がどこかに隠されていると推理、黒沢は緒方に娘の墓について語り何か意味深です
緒方は音響室で何かを見つけたところで襲われます!美雪の呼び出しでラッキースケベの金田一、天井から水漏れで上の階で緒方がバスタブで後頭部割られており死亡、しかし劇のストーリーになぞらえているのなら溺死でないとおかしいと見抜き付け爪が取れている点からもこの殺人は予定外のアクシデントだと推理します
早乙女に「怪人」からの脅迫状が届き、ほんの悪戯心で3人で月島を酷い目に合わせた事を悔いります。美雪が金田一耕助の孫だからと早乙女を元気づけると怪人が現れ「歌月」は逃げ奴を追うと金田一は有森とぶつかり「怪人」は窓から飛び降りたようで殺人鬼は死んだのです
ところが金田一はこれはトリックだと見破り「歌月」の正体に目星を付けます
「歌月」=怪人の正体とは⁉
金田一は劇場を調べ始め、日高犯行時緞帳が下りており、音響室で緒方の付け爪も見つけます。緞帳が下りていると音響室からの声は聞こえなくなり、’’アリバイ’’がトリックだと気付きます。食堂に時計がなくボーガンも「怪人」に取られたという話から金田一は謎はすべて解けた…と確信します
関係者全員を食堂に呼び遅れて来た有森を空いている席に座らせ、金田一の推理ショーが始まります。「歌月」はゴムボートを使って島を脱出し、本当は何食わぬ顔でこの島を訪れる…犯人はこの中にいると宣言します!日高は悲鳴が聞こえた際はまだ生きており、これは緞帳のせいで聞こえなかったのだと推理します
悲鳴の録音されたオープンリールを緒方に見つかり殺したとも…金田一は時間が来れば犯人は自分から名乗り出るとします。すると突然有森が立ち上がり避け、金田一はボーガンの矢なんて飛んで来ない、自分が犯人だと証明したと迫ります。時計を使った発射装置で、金田一は早乙女の席に誘導、有森の腕時計を10分早めていました
桐生殺害は’’窓’’にワイヤーをめぐらし桐生に窓の下を見る様仕向け一気にワイヤーを引き絞殺、彼女の靴を履き‘’死体’’を吊るしたのだと…例の「怪人」との遭遇も窓の手すりに泥等なくそのまま残って衣装だけ落とし金田一と最初にぶつかったのが有森だと状況証拠もあります
有森は本性を現し早乙女にナイフを突きつけ月島と愛し合っており3人が悪戯心で彼女を酷い目に合わせた事が判明、彼女は自殺し有森は’’復讐’’しかないと決意しますが金田一は「それでも天国に憧れる」と彼女がこんな事を望んでなかったと諭します
時間になり有森は自らボーガンを浴び金田一の諭しも空しく有森は逝きます。こうして孤島のホテル「オペラ座館」で起きた殺人劇は静かに幕を下ろし、剣持は4年前黒沢の一人娘が服薬自殺していた事実を明かします。有森は一人暮らしで月島の遺書も見つかり悲しいすれ違いが生んだ事件だったのです
剣持はその推理力から金田一を認めます。金田一は有森の墓参りに行くと美雪を誘い、美雪は生まれて初めて学校をサボったところでこの巻は終わります
まとめ
ボケっとしたスケベの金田一が実はIQ180の天才で金田一耕助の孫として痛快な推理劇を繰り広げ、その開幕となるオペラ座館殺人事件は以降のプロットとなります。導入から殺人→推理→犯人明かし→エピローグという流れが定着していき、金田一少年の事件簿は名探偵コナンとはまた違った人気を博します
金田一少年の事件簿は所謂見立て殺人が多く、今回はオペラ座の怪人になぞらえた殺人が繰り広げられます。また、孤島に閉じ込められるパニック描写や仲間が一人ずつ死んでいく恐怖感も煽り、その中に巧妙に仕組まれた犯行の痕跡・アリバイ・トリックを金田一が解いていきます
今回は月島を愛した有森の犯行で、動機を作った3人はほんの悪戯心だったにも拘わらず大事となり、結果月島は自殺してしまうのですが、様々なすれ違いが重なった悲しい出来事でした。今回犯人の有森は死んでしまいますが、天国で月島と会える事を祈りたいです
当時ここまで劇場型の推理劇を繰り広げる漫画は稀で、一躍大人気漫画となった金田一少年の事件簿、起承転結は決まっていますが様々な工夫から多くの事件が今後も待ち構えていますのでお見逃しなく!2巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
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