前回までのあらすじ
黒死蝶伝説殺人事件…半年後金沢で2人の結婚式があり、夜光蝶は発見者が須賀に改定されヤマトスガチウスとなります。金田一は遠野は悲恋湖で死んだとしまったく新しい人生を踏み出そうとしている2人を祝います。ブーケは美雪が貰い花婿のあてはあると意味深です…
幼馴染のますみはモデルで活躍も、「葬送銀貨」の魔の手に…
体育祭でラッキースケベの金田一、東京・赤坂超高級ホテルでユリエ君沢のファッションショーが盛大に開かれモデルの高森ますみは帰宅後ヒロシに詰め寄られ花瓶で殴り殺してしまい死体の処分で大きなスーツケースを買うと幼馴染の金田一と遭遇、昔から妙にカンがいいのでチケットを渡し何とか別れます
マンションに着くと金田一が定期入れを拾ったと届けに来てトイレを貸す事になります。何とか証拠隠滅しますが金田一は鋭く、昔語りをしながら危うい場面を作り何とか帰します。ヒロシの目が明いており、フランスの銀貨を持っていて不審がります
ますみは青海沢埠頭で死体を沈め誰かに証拠写真を撮られています。長野県南アルプス天神岳駅で3人は落ち合い霧山小夜子を顎で使いファッションショーが開かれるホテル「仏蘭西館」に赴きます。鳥丸奈緒子はカリカリしており鍵谷善司は大らかです
明日のコンペは「キミサワ」と「六条」の一騎討ちでショーで決着を付ける算段です。
君沢ユリエはカリスマで犬飼要介と共に鳥丸すらこき使われます。六条光彦は鳥丸を勧誘し君沢に止められスージー星河が二流デザイナーだとこき下ろすと六条は鳥丸がいなくなりゃ「キミサワ」なんてひとひねりさと意味深です。ますみに「葬送銀貨」から脅迫が入り毒を盛れと指示されます
ますみはグラスに毒を盛り金田一に使われそうになり誤魔化します。弓削透は鳥丸の幼馴染です。ますみが毒を盛ったのは鳥丸のグラスですが、乾杯しても鳥丸はワインを飲みません。六条がもったいないと飲んで死んでしまいます。剣持と長島警部も現れ死因は毒殺です
メグレ伯爵は無差別殺人ではなく計画殺人だと断言、パーティー宛に届いたドレスにコインが入っており「葬送銀貨」の殺人予告でドレスがピッタリの鳥丸を狙ったと看破します。金田一は犯人が逃げてない証拠に水槽の熱帯魚が死んでいる事から毒入りカプセルを入れたと読みます
今回はこのメグレ伯爵と推理合戦となりそうです
「葬送銀貨」に操られたますみの凶行
鳥丸がブドウアレルギーである事はキミサワのメンバーは誰も知らず、鳥丸のサイズは京都のキミサワ本社に行けばフロッピーに保管されてるとは君沢です。六条側はコンペを決行するつもりで君沢は犬飼を後継者と考えているようです
金田一は例のワイングラスに金田一とますみの指紋が残っていない事を不審がり、「葬送銀貨」は更にますみを脅します。金田一はますみの事を鳥丸に問うと、最近服飾デザインの勉強をしていると将来を考えているようです。ますみが暗躍する中ファッションショーが盛大に開かれますみもキレイです
するとキミサワの取りを飾る一番大事なドレスがズタズタにされ、鳥丸は弓削にテーブルクロスを集めさせ装飾に悩み金田一の機転でグラスを割り潰します。ドレスはスージーの仕業でしたが暗転の後星を散りばめられたように輝くドレス、鳥丸の才能が光り鍵谷は鳥丸が君沢のゴーストだと明かします
今度はタキシードとコインが送られて来て犬飼が毒殺されます。メグレと推理合戦となり金田一はパーティー会場にいた者も殺害のチャンスはあったとします。ドアの表札から気付いた金田一はますみに犬飼の「遠隔操作殺人」について語り、上手く毒入りワインを自然な形で飲ませたと看破します
ドアプレートは水で字が書けるタイプで犬飼を空き部屋に差し向けたと…金田一に見抜かれますみは幼馴染に…と涙、美雪はますみを助けてと請います。ますみは「葬送銀貨」に呼び出され匂いから何か感じ襲われます。コンペはキミサワに決まりカナリヤの卵が全部下に落ちていてそれぞれ反応します
金田一はデジャ・ビュを感じ今度はキのフロッピーが無くなっている事から霧山が次のターゲットだと探します。ますみはハメられて銃を持っており霧山は死んでいて、密室状態で香水の匂いから「葬送銀貨」を特定します。ドアが開きますみは君沢を撃ち即逮捕されます
ますみを操った「葬送銀貨」の正体と微妙なすれ違いとは⁉
金田一はますみから文鳥の事を語られ既視感の正体を悟り、君沢が「葬送銀貨」でなく真犯人は俺が必ず捕まえると豪語します。剣持が持って来たフロッピーはお宝で金田一は本社の住所と絡め決定的な証拠を発見します。スージーが鳥丸を襲い鍵谷に救われ弓削はサクランボのワインを飲ませ昔から優しいです
要の密室トリックは弓削がボトルに騙されてロマネ・コンティのニセモノを盛大に割りその事から金田一は謎はすべて解けた…と確信します。長島は君沢が集中治療室に移ったと告げ「葬送銀貨」がトドメを刺そうと入室、これはブラフで君沢が今夜がヤマとは嘘で一芝居打ったのです
密室殺人も「誘導殺人」を皆の前でますみに実行させる事が理由で、ワインボトルから気付いた金田一は「仏蘭西館」のルームキーを巧妙に挿げ替えていたとします。霧山の部屋のスペアキーを取りに行った人物の犯行で、それは鳥丸です。金田一の目の前で「心理的証拠」を残しており、「物的証拠」もあると…
六条殺害もブドウアレルギーを巧みに活かし弓削も利用されたのです。肝心の「物的証拠」はドレスで、キ・イのフロッピーの他にトに鳥丸の名がありません。カに烏丸で入っており、本社の住所の烏丸から誤入力されていたのです。パソコン苦手の鳥丸は詰めの甘さでますみに犯行は不可能と証明してしまいます
金田一はますみ同様鳥丸も男友達を衝動的に殺してしまった過去があると見抜き、ますみと鳥丸の共通項を列挙、精神的双子だとし、鳥丸がアキオを殺したようにヒロシを仕向け同様の行動をますみが取ったのです。鳥丸はアキオ殺害時君沢に救われモデルからデザイナーを目指す事になります
本当の母親以上と思っていた君沢が犬飼と通じており時期社長としようとしている事が鳥丸は許せなかったのです。ところが君沢は激昂し逆に犬飼が君沢を脅迫しており社長のイスをちらつかせ先走ったマネをさせないようにしていました。今回のコンペを受注する会社はロワゾで鳥から取った鳥丸のブランドだと…
罪を償いロワゾは残しておくのでいつでも戻ってこられるように待っていると2人は抱き合います。後日ますみを小学校の同窓会に呼び寄せ楽しい時を過ごし、剣持はますみの罪もそれ程重い刑に服さずに済みそうだとし、幹事の金田一がてんてこ舞いなところでこの巻は終わります
まとめ
金田一達の幼馴染として登場したますみがタロット山荘殺人事件同様犯人が分かる形で凶行に及び、同じく真犯人=「葬送銀貨」に操られ連続殺人を繰り返す展開で様々な伏線が入り乱れる複雑な事件でした。決め手となった鳥丸のブドウアレルギーや本社の住所が烏丸だった点等秀逸です
ますみと鳥丸は精神的双子のように同じ道を歩んでおり、鳥丸は上手く彼女を利用しますが、またしても鳥丸の勘違いで君沢はいずれ鳥丸を独立させロワゾというブランドを持たせる算段をしていました。金田一少年の事件簿ではこういった微妙なすれ違いが犯行の動機になりがちですが、本当に紙一重です
結果殺人は許される事ではありませんが君沢の鳥丸を想う気持ちは本物で、ロワゾを任せる算段でますみの罪も軽くなりそうで比較的明るい結末です。人間は相手の気持ちが読めないだけにこの微妙なボタンの掛け違いが動機となるケースが多い事を覚えておきましょう…18巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
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