前回までのあらすじ
魔犬の森の殺人…剣持に連れられ千家は金田一に礼を言い収監、二ノ宮の父が研究所の研究員でユーリはユータの血を引く子で大切な’’友達’’だったのです。千家との幼い記憶を思い出し翌朝目覚めるとフミがおり揉め、金田一フミの事件簿が華麗に始まります(笑)…
不動芸術高校映研部で美雪銀幕デビュー⁉
玲香の新作映画はキスシーンもありだから今回チケットを送って来ず金田一はきゅんとします。比べる美雪は落ち込み、そこで蔵沢光から映画のヒロインにスカウトされます!美雪は玲香を意識しその話に乗り、星野かなえ、遊佐ちえみ、泉谷シゲキ、真田コージ、門脇靖浩、黒川美穂が出迎えます
「大追跡」という過去作を観せられビルを飛び移るシーンは真田がスタントなしでこなします。するといきなり画面が真っ暗になり呪いのフィルムと脅され、蠍座が浮き出ます。蔵沢は「サソリ座の惨劇」と呟き、どうやら「大追跡」の前に作ったお蔵入りした作品のようです
門脇のフィルムは8ミリで感光の為1回勝負で美雪は苦戦します。ピチピチレオタードで洗面台のシーンでは金田一は石鹸に剃刀が仕込まれてるのに気づき機転を利かせその場を凌ぎますがスケベは相変わらずです(笑)金田一達は黒川の着替えを見てしまい激昂され、元懲罰房で中からカギは閉められないのです
翌朝時間に煩い泉谷が来ず、舞台の幕が上がり蜘蛛の糸に絡め捕られた蟲のように泉谷の死体が見つかります!見立て殺人で剣持はアリバイは皆なく誰もが殺す事が出来たとします。ここで撮影で使うとポアロをフミが連れて来て、蔵沢は撮影は続行しシネマ祭に間に合わせる気です
金田一は「サソリ座の惨劇」を見せて欲しいと請い、あの映画は泉谷・真田・門脇・蔵沢しか観ていないと言われます。金田一が部室のダミー人形を持ち上げるとそれは死んだ真田です!
「二重密室」と睡眠薬の謎を解け!
門脇がフィルムから真田の包帯が左右逆転している事に気付き金田一は再度「大追跡」を観て「違和感の正体」を把握します(黒川の背中にはサソリの痕があります)時間と場所の特定も出来そうで、金田一はラベンダーの芳香剤を部室入り口にワザと撒き部員に避けて入らせます
蒸す室内でお茶を飲み、金田一は実験と称し踏切線から跳んで欲しいと請います。「大追跡」の真田は肝心のビルへ移るシーンで逆の左足で踏み切っていて、部員は全員同じ足で踏み切っており例のシーン左が利き足の別の’’誰か’’がスタントマン=5人目のスタッフとして参加していたと看破します
その5人目を誤って殺してしまったと問い詰め、蔵沢はボロを出しここで強烈な眠気が皆を襲い、蔵沢がウーロン茶に薬を盛った⁉と金田一も卒倒します。フミの悲鳴で目覚め、ドアをブチ開けると門脇が殺されており、これもサソリ座のロウソクの「スコーピオン」で見立てです
蔵沢がおらず映写室に向かうとカギを握った(ポアロが吠えます)蔵沢が座って死んでいます。睡眠薬は紙コップに仕込まれてたようで、蔵沢はマイカップで飲まずに済んだのです。蔵沢の腕時計がブカブカで、握っていたカギから完全な密室だった事も判明します
スプライシングテープから本多影行に捧げるフィルムが映し出され蔵沢の遺書で事件は幕を閉じたかに見えました。金田一は自殺ではなく真犯人「スコーピオン」に殺されたとし、3人の映研部員の中の誰かだと断定します。蔵沢含めあの殺人現場は’’二重の密室’’だったと…
部室の片づけをする3人を見て金田一はフミに12‐9=3だと当たり前の事を尋ねます。蔵沢はマイカップを使うものの遅効性の毒が仕込まれており、犯人がどうやって自分だけ睡眠薬を飲まなかったのかがカギです。金田一は残った5つの紙コップからごく自然に紙コップを飲まずに済む方法を看破します
最大の謎は「二重密室」の謎で、金田一は蔵沢のブカブカの腕時計が気になります。星野にポアロが吠えたて芳香剤を掃除したからで、金田一は蔵沢の手を同様に吠えた事からカラクリを見抜き、謎はすべて解けた…と確信します
「スコーピオン」の犯行の動機とは⁉
関係者を集め先日同様にお茶を飲もうとし、睡眠薬の心理トリックを明かします。あの場には9人おり紙コップは3つ余るはずが5つ余っており、剣持達が来ることは想定外だったのです。帳尻合わせをし14個のコップとし、自分が使うであろう上から7つ目のコップには薬を入れておらず、犯人の紙コップは水が血の色になります
金田一は犯人は遊佐だとし、一番格下の「立場」を逆に利用した、自分の「兄」の復讐の為で死んだ本多影行の実の妹だと…その事を認めた上で遊佐は例の「二重密室」のアリバイを主張、金田一は犯行の再現を行います。フィルムにスプライシングテープでカギを付け引き、ロウソクに沿って映写室に引っ張られます
部室まで伸ばしたフィルムの先に付けたカギを映写室で回収する為の’’動力源’’として使われ、遊佐は何度もリハーサルを行い角に引っ掛かるカギをロウソクを滑車代わりにする事で確実に映写室に行くようにしたのです
フィルムは蔵沢の腕時計を通るように細工し腕時計に引っ掛かり上手く蔵沢が握っていたように偽装、「二重密室」を完成させたのです。ポアロがカギに付いた匂いで吠えた件から見抜いた金田一、遊佐は観念し昔語りを始めます。影行はアクション俳優志望で自主映画でも命がけのアクションをしたいと話していました
影行は死に遊佐は自主映画を調べまくり「大追跡」に出演し誤って落下死していた事を蔵沢達が話しており、復讐鬼「スコーピオン」となったのです…2週間後面会に来た金田一は実は「大追跡」で影行は「スタントマン」ではなく「主役」で見せ場だったと明かし、遊佐は救われます
命がけで主役を演じていた事が分かり映画作りの大変さを学んだ美雪が金田一と一緒に映画を観に行くところでこの巻は終わります
まとめ
今回の事件のカギとなるのは怪盗紳士の殺人でも登場したポアロの活躍でしょう。ラベンダーの香りに異常に反応するポアロは今回もその類まれな嗅覚を発揮、金田一に気付きを与えます。フミ含め過去キャラが脇を固め基本1話完結の為各話良いフックとなっています
玲香の女優としての活躍から感化された美雪でしたがそこは素人、大根役者で不動芸術高校映研部の過去の因縁にぶち当たります。本多影行の死は妹の遊佐には許せる事では無く、執念の復讐だったのが分かります。部での格下という「立場」を上手く利用した紙コップのトリックが秀逸です
腕時計がブカブカだった件は悲恋湖伝説殺人事件の遠野を思い出させます。似たような気付きでしたが、今回のブカブカを上手く利用した「二重密室」のトリックは良く練られたものとなっています。次はどんなトリックが待っているのか…と興味深い金田一少年の事件簿、22巻に続きます…
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