前回までのあらすじ
雫は酔い醒ましに出掛けると香りから画廊の個展に行き着き、オヤジのイメージそのものの絵を見つけ作家の女性は私の記憶にある一本のワインの心象風景だとし、そのワインを問うと彼女は記憶喪失なので分からないと答えます…
カオリの過去をワインから探る
気付いたら病院のベッドで8年が過ぎワインの味わいだけが記憶の彼女は現夫は担当医で恩人だと語ります。指輪をしていた事からどうやら過去に結婚していたようで、カオリの過去を知りたい雫に水澤は今更過去を取り戻す必要等どこにもないと一喝です
引っ掛かりを感じる雫は「天」「地」「人」全て揃わなければ「実り」はないとし、そこにカオリが現れ過去を知りたいと助けを求めます。食とワインから過去を繙き、美島の店で芸術家らしい表現をし、涙する彼女の失われた記憶の中のワインは「シャンポール・ミュジニー」だと確信します
陰性のワインで心象風景に儚いときめきも感じ美島は一計を案じ「十二使徒」含め雫の情熱に心動かされた、きっと上手くいくと期待します。遠峰はある寺院に赴き住職に3つの湧き水を利いてみてミュジニー等を感じ「使徒」がここに降臨したと確信します
雫は美島の店で客が頼んだワインを片っ端からテイスティングしカオリの記憶の中のワインと「第一の使徒」を探します。神がかったデキャンタを施し女性ファンつくかもしれません(笑)閉店間際紳士が妻の命日だと超高価なワインを注文します
カオリの失われた記憶を取り戻させる決意をする水澤
20年前に妻を亡くし5年間の結婚生活だったとし、雫はテイスティングし森の向こうに泉を想起、恋人同士が愛し合っており官能から愛の物語だと感じます。実は彼は音楽家の真壁宗助氏で雫は「第一の使徒」・カオリの絵に限りなく近いがほんの僅か違うと苦悩します
ロベールを訪ね「ワインの神秘」を教えられ、1本目は菩提樹・2本目は鳥のせせらぐ泉の水を飲む想起をしそれは「ボンヌ・マール」でした!ヴィンテージ違いからヒントを得た雫はカオリにその1本を飲ませる役割は水澤だとし、精神科医の彼のクリニックを訪れブラインドでワインを飲ませます
水澤は新婚旅行でサオリを想起、カオリが飲みたがったワインは特別だと水澤は渋りそのワイン=「シャトー・ランシュ・バージュ」’83年でカオリに飲ませるのは私でなければならないと失われた記憶のワインが何なのかー翻意します
香織のキスで植物状態の古森目醒める!
マキに座禅を組み雑念を払い集中する為の「水」で「第一の使徒」に99%間違いないと目星を付けた遠峰、一方雫は水澤達のメインのワインに敢えてヴィンテージはグレートとは言い難い物を用意します。水澤はカオリを信じ私の為に飲んでくれと請い、カオリは失われたパズルのピースが揃っていきます
何かを思い出したカオリは全然大した事なかったと意味深で、名を香織だと確信、それで十分だと満喫します。後日香織は決着を付けるべく雫を呼び出し、ある病院には古森拓郎が入院しており事故で植物状態です。香織は彼と恋人同士だったが不倫関係だったと明かします
離婚して再婚へ…という矢先交通事故で気が付くと香織は病院のベッドで記憶喪失となり今に至ります。古森の妻が現れ8年間ずっと看病しており、彼女が買い物に出掛ける隙に香織は古森にそのワインを口移ししキス、後は奥様と二人でワインを楽しんで貰いましょうと後にします
妻が戻ると古森は反応があり目を覚ましたように涙し妻驚愕です!香織はスッキリし雫達をランチに誘います。職場にセーラがおり、雫を呼び出し「シャトー・マルゴー」を飲みながら使徒について飲んでないけど確信は持ってると意味深で雫は敢えて飲まないで臨む気です
セーラからその事を聞いた遠峰は雫の出方から自身も敢えて選んだ使徒を飲まずに臨むと敵愾心剥き出しで、マキに明後日の勝負までこのワインは取っておき、勝利した時祝杯を上げると強気な所でこの巻は終わります
まとめ
今巻はワインの不思議な力を暗に示しています。良く匂いから過去を遡って思い出す事はあると思いますが、今回はワインです。ワインのそれは人によっては強烈に記憶として残るようで、今回の香織の記憶喪失と元交際相手との縁を現夫の苦悩も含め見事に描きます
まるで禁断の果実かのように水澤が頑なだったのも香織に過去を思い出され去って行かれるのを恐れたからです。結果香織は過去と決着を付け古森も覚醒、夫婦はお互い今まで通りですが、ワインの力で過去を取り戻すという摩訶不思議さがこのワインの世界にはあるようです
過去をフラッシュバックさせる程豊潤で味わい豊かなワイン、敏感な方にはその1杯1杯が特別でかけがえのない時なのかもしれません。使徒探しと並行して、雫はこの不思議な体験を通して更に腕に磨きが掛かります。触発された遠峰すら使徒を当日まで飲まないと頑なです…6巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
おまけ
神の雫はTVドラマ化されています。当時旬だった- KAT-TUNの亀梨和也(雫役)、田辺誠一(遠峰役)と配し日本テレビ系「火曜ドラマ」枠で放送、全9話で人気を博し話題となりました。当然主題歌もKAT-TUNが担っています
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