前回までのあらすじ
安堂が正直に感情を吐露すると、犬屋敷は「僕は…やってみるよ…最後まで…意味…ないかもしれないけど…」と答えます…
隕石に向かう犬屋敷
全世界の助けを求める声が聞こえるという犬屋敷は、「運が良かったら…(隕石の)軌道を変えて僕はどこかの海に落ちるよ」と前向きです。安堂との電話を終え、エネルギー源である水をたらふく飲み、飛び立とうとすると、麻里が現れます
咄嗟に散歩に行くと嘘をつく犬屋敷ですが、すぐにバレ、泣きすがる麻里に「帰って来る。約束する」と言い残し、犬屋敷は飛び立ちます。はな子はどこまでも追いかけて犬屋敷に吠え立てます。忠犬です
飛行機を飛び越えぐんぐん上昇し、宇宙へ飛び出た犬屋敷は、隕石に向かいます。なんとか隕石に到着すると、安堂から電話が掛かってきます。安堂はアルマゲドンだと地面を採掘して深く掘って核で爆発したと聞き、犬屋敷はその通り地面を深く掘り、光線で攻撃しますが、びくともしません
アメリカ連合軍が空けたと思われる大きな穴を見つけた犬屋敷は、何か方法がないか模索します。再度深く掘り、無数の光線で攻撃しますが状況は変わりません。安堂が諦めるように説得する中、一筋の光が現れます。なんと獅子神なのです!
獅子神・犬屋敷の自爆
なぜここにいるのか獅子神に問うと、「俺にだって…死んでほしくない人…しおんとチョッコーには死んでほしくない」と言うのです!万策尽きた犬屋敷に、獅子神は軌道を変える方法があると言います。なんと自爆するというのです!
獅子神は頭のシュミレーターで計算した結果ここで自爆すれば軌道を変えられると言います。自爆のスイッチである目を奥に押し込んでくれと獅子神は犬屋敷に頼みます。獅子神は腕がないのです。安堂はそのことを知り、獅子神に必死で謝ります。その想いは隕石上の獅子神にも伝わります
犬屋敷は獅子神のスイッチを押します。犬屋敷は即その場を離れ、獅子神は自爆します!隕石が爆発する中、犬屋敷はまだ大きい隕石が地球に向かっていることを悟ります。犬屋敷はシュミレーターでミサイル攻撃した場合は状況は変わらず、自爆した場合は隕石が無くなると計算が出ます
犬屋敷は安堂に獅子神のおかげで地球は救われたと嘘を付き、自分は自爆しようと決めます。「これが運命だったんだ」と言葉を残し、自ら自爆のボタンを押します。地球から様々な声が聞こえてくる中、犬屋敷は家族との様々な思い出が走馬灯のように過ぎる中、それを抱きしめるような形で自爆します!非常に感動的です
安堂や犬屋敷の家族は、空の光に犬屋敷の自爆を悟り、皆涙します
感動のラスト
結局アメリカの攻撃で隕石がなくなったということに世間ではなっている中、学校で父の話題になった麻里は涙します。パートをしている母はレジでボーっとしています。弟は再度カツアゲを食らいますが、反撃し、いじめっ子に一太刀入れて、「見てた?父さん」と呟きます
安堂はしおんに獅子神が二人のために命を張って地球を救ってくれたことを明かします
泣きながら帰路に就く麻里は、書店でジャンプに自分の作品が入選したことを知ります!母に知らせに行くところでこの巻は終わります。ハッピーエンドです
まとめ
地球滅亡の危機を救うため、隕石に向かった犬屋敷。万策尽きて途方に暮れていると現れたのは獅子神でした。多くの人を殺し、許されない罪を重ねた獅子神でしたが、しおんと安堂のことを救いたいという純粋な想いがあり、自ら自爆を志願します
獅子神の想いも空しく自爆しても隕石は残り、結局犬屋敷も自爆することで、隕石は消滅します。最早これしか方法は無かった訳ですが、犬屋敷は最後まで自分の大切な人達、世界中の人間を救うために、自爆という手段を選びます
実に犬屋敷らしい最後でした。初老のおじさんとしては異例の、なんてカッコいい死に様でしょうか!空前絶後の老人英雄譚、新しいヒーロー像がここに生まれます
最後に麻里の漫画が入選するという形でハッピーエンドで今作は終わりました。父親がいなくなっても、犬屋敷家は強く生きていくことでしょう。犬屋敷の意志を継いで…
終わりに
如何だったでしょうか?犬屋敷という初老のうだつの上がらない主人公が織りなす奇跡みたいなお話、10巻という長すぎない巻でまとまっており、非常に読みやすく、一部暴力的なシーンもありますが、ラストは感動的で、非常に心に残る作品です
犬屋敷の無力で、無為に過ごしていた時が、機械に変わることで一気に景色が変わる様が何とも言えない魅力となる作品です。自分も犬屋敷のように人のために生きることが出来るのか…獅子神のように悪用してしまわないか…色々考えさせられる内容でした
SFの世界でもあり、日常の地続きのような世界観で、世の中の片隅に本当に起こっているような臨場感で、スピード感もあり、ガンガン読み進められるいぬやしき。お手軽な巻数なので、また何回でも犬屋敷に逢いに行きたくなりますね!最後までお読み頂きありがとうございました
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