前回までのあらすじ
両チーム選手が入れ替わる中、レオナルドがまだ控えでハウアーと2トップとしなかったのも達海の読み通りです。大阪でやってるスタイルをこのメンバーで再現してくると読み切った達海、八谷からの雑なパスを夏木がスーパーボレー、星野が弾き窪田が拾うとケンのゴールで同点とします…
石浜に移籍話
結局MVPはハットトリックを決めたケンとなり、40過ぎた人間のプレーとは思えません。達海はダルファーの性格も踏まえ急造チームで大阪のスタイルを高いレベルでやれると思ったのだろうとし、我が強過ぎたのが敗因、楽勝だねとほくそ笑みます
達海は岩淵をそのまま使う気だったのですが佐倉の助言からケンを使い大当たり、リーグ後半戦山形対ETUの再戦を喫して別れます。平泉は達海は若いから選手との距離が近くて羨ましいとしますが、達海は出来るうちは現役続けた方が良いと返し、流れで持田の足の事を聞きます
休ませて治る…という類ではもはやないようで、持田の生き方に他人がとやかく言える問題ではないとし、プロとしての持田の覚悟に覚悟を持って応えるだけだよ、達海の状況も同様だったのだろうと返します。有里は何とかETUの3人をまとめてタクシーを拾います
石浜に甲府から完全移籍で欲しいというオファーが届き皆驚きます!親友の清川すら知らなかったのです。後藤は5年間手塩にかけて育て成果も出始めている今季になって他所に出す理由はないと言いつつ赤崎は鋭く指摘、実は達海の意向で来たオファーは選手に全て伝える約束になっていたのです
翌日石浜は条件面等含めて最初から行くつもりなんかないとし、皆安堵しますが、練習後達海に呼び出されます。清川は練習で石浜を圧倒し石浜は驚きます。藤澤は石浜がチームメイトに愛されている事を知り、この移籍話はETUにメリットは少ないと見ます
達海は石浜に甲府の戦術を語り難しいがやり甲斐はある、石浜の課題は戦術理解度を高める事で、今ベンチに置いているのも石浜が伸びるから敢えて外からゲームを見せてるとメリット・デメリットを伝えた上で残ってくれないか?と打診します
「旅人にあってきます」
結局石浜は甲府に移籍を選択、清川と車でETUの事は好きだが清川みたいに自分に厳しく出来ないと達海に言われた本音にハッとした事を回想します。同じタイミングで入ったものの甘えのある石浜は敢えて厳しい状況に身を置きETUには戻って来ないつもりで、レギュラー獲って直接対決でサイドの攻防戦やろうぜと約束します
石浜の決定に皆驚く中、緑川は達海の気持ちも考えろ、自分の身体ひとつを商売道具にしてプレーする信念があるからプロなんだろと説きます。翌日一転して快く石浜を送り出すチームメイト、藤澤はプロサッカーとは深く通じ合えた仲間との別れを常に覚悟してなければならない世界なのかもしれないと感じます
横浜は成績不振で元木監督を解任し、達海も明日は我が身だとヘラヘラしています。会長はチームが最も輝いていた頃を皆忘れられないとし、達海はどうして欲しいの?俺一人じゃ無理だよと返します。個々がどれだけ役割以上の事が出来るかで、そういうフットボールをやりたいと言い、達海は置き手紙を残し消えます
「旅人になってきます」と書かれており、明日からキャンプなのに…とフロント陣が揉める中有里は「旅人にあってきます」だと推理、ウチみたいな貧乏クラブはお金使えない分頭使うしかないとし、かつて達海の全盛期に笠野がGMだった頃が立場に関係なく様々な人間が議論を重ねて作っていたと会長は納得します
10年前の達海とETU
大学生の試合を視察する笠野に達海は会いに行きます。笠野のリストからこの試合に来ると予想した達海、大人の考え方するようになったと笠野は喜び、お前とETUを駄目にしちまった男からすりゃ…と10年前を思い出します
賑やかな観客席からのまとまらない応援を力に変えてくれるのが達海です。FKで達海は敵チームを翻弄し、意表を突く低い弾道で決め、もうすぐロスタイムって土壇場であんなコース狙っていくとは…と村越は驚きます。達海には海外移籍の噂があり津川から記者に漏れた情報です
GMの笠野は人たらしでゴローにETUサポの良さを語り、無名だったのにいい選手がETUに多いのは笠野のせいで、その筆頭が達海です。足に不安が残る達海は早目に練習を切り上げ、当時幼かった有里に東京Vの成田に勝てる?と次の代表のエースを決める対決だと騒がれている事を指摘されます
達海はクラブが一つになってる、ここ数年じゃ一番だと感じ、有里も満足です。永田(兄)は笠野に津川の達海自ら海外移籍を断ったと都合良く報じられている事に苦言を呈しますが、永田のいいアイデアを褒めつつ笠野は会長達の事は俺が何とかすると諭します
津川は唐突に飲料水CMの達海起用を宣言、東京ダービーで成田に勝てと経営者目線で自分勝手で、達海が反論しようとすると笠野が割って入ります。永田兄弟は荒れ、兄はこのクラブは何か大切なものを見落としている気がすると感じます。夜のグラウンドで達海と笠野が落ち合います
腹を割って話し、達海は会長には頭くる事もあるけど笠野が言ってたクラブ作りはいい方向に向いてると割り切っています。達海は笠野に絶対的信頼を寄せています。東京ダービーでもうじき子供の産まれるゴロー・シゲ、この日初めて羽田は試合を観に訪れます
いつもは飄々としてるのに勝負事になると目の色変わりやがる、相手が大物の時は特にな…これが達海の選手としての本能ってやつか?と笠野が試合を見守る場面でこの巻は終わります
まとめ
今巻は3つのトピックスがあり、まずは持田の選手としての覚悟とそれに応える平泉の男気でしょう。最早休めば治るといった状況ではないのに、自らを削り出た試合では眩い輝きを放つ持田、非常に特殊な立ち位置にある選手です。達海も自身と重ね、これは追々明らかになっていく達海の過去と繋がります
二つ目は石浜の移籍です。ETUに手塩にかけて育てられた石浜ですが、同期の清川の必死さと自身の甘さを痛感し、この決して全て良い条件ではない甲府移籍を達海の助言もあり決めます。達海は包み隠さず本音で話し合い、石浜に本気で考えさせる監督の鏡と言うべき姿勢を見せます
移籍は様々な要因が複雑に絡み合う出来事で、プロサッカー選手が必ずぶち当たる問題です。藤澤が感じていた通り、プロサッカーとは深く通じ合えた仲間との別れを常に覚悟してなければならない世界なのでしょう、厳しい世界です
最後に達海とETUの過去についての回想です。達海はエースとして期待され、津川は達海を商品のようにぞんざいに扱い軋轢はあるもののそれも含めて達海は笠野GMの作るETUが好きでした。何か破滅へと向かって行っている感が強い中、彼等の現在地への答え合わせが出来そうなこの回想、15巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
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