前回までのあらすじ
いつもは飄々としてるのに勝負事になると目の色変わりやがる、相手が大物の時は特にな…これが達海の選手としての本能ってやつか?と笠野が試合を見守ります…
成田に忍び寄る世代交代の波
永田は日本代表=東京Vという程の時期もあり、名門で今も成田達代表クラスを揃える相手でつい達海に期待してしまいます。立ち上がりから飛ばしてくる東京Vは達海に2人マークで潰します。笠野はついに達海シフトを敷く程で光栄じゃねえかと感じます
成田はフリーでボールを受けると華麗に達海をかわしシュートがバーに阻まれ、追われる側は必死だ、達海の方が余裕があるように見えるとします。津川は笠野に怒り、ハーフタイムまで凌げれば修正出来ると言われ成田じゃ駄目なんだよ…日本のサッカー界の顔はと相変わらず達海推しです
2人が言い合いをしているとPKとなり成田が決め東京V先制です。ハーフタイムで達海は大事なのはいつもの自分らのプレーをする事、楽しんでいるスタンドを見ればそれが出来ると語り、村越は達海にチームリーダーの求心力が備わっていると感じます
達海はマークマンに真意を問い、勝負事なんてのは楽しんだ方が勝つもんだろ?とマークを外し更に曽根まで見事に抜きゴール前フリーから凄まじいシュートがポストに嫌われます!切り返しで浮かせたボールをダイレクトで狙い、入ってたら歴史に残るようなゴールだったとは笠野です
ワンプレーでスタジアムの雰囲気を変えられる達海は怖いと成田はマークマンに徹底させ、当の達海はスタンドを見上げ楽しんでいこうじゃねえのと呑気です
ダービーで達海会心のゴール
成田はエースのプレーだからこそここまでスタジアムにいる人の心を揺さぶれるんだ…と代表での達海の鶴の一声からチームの意識が変わり達海にボールが集まるようになったと回顧します。自身と同様自分がゲームを決めないと納得出来ないピッチ上の全てを支配したいと思っている男だとします
ところが達海はマーク2人を上手く利用し周りを活かしチャンスが生まれ、達海が引き気味でプレーしだしてETUの動きが良くなり、成田はエースとしてのエゴを捨てチームの為にプレーする事を選んだ…いや、それがお前の考えるエースとしての在り方なのだと納得します
達海はまるで鳥になったかのようにスタジアムの隅々までくまなく見渡せ集中出来ています。ところが突如左足を痛めてしまいます。堂々巡りの津川を他所に笠野は達海が自分らしくプレーしてくれりゃ…と後押しします。ETU怒涛の攻撃からポストに嫌われ、波状攻撃で最後は達海が決めます!
成田は仲間を活かすプレーに徹しながらも決定機には顔を出し確実にそれをモノにする…狙って出来る事ではない、圧倒されながらまだお前の時代にさせる訳にはいかないと気張ります。津川は笠野と考え方に多少のズレがある事を認めつつ、根底には達海のあのプレーを沢山の人に見て貰いたいという単純な思いだとします
その輝きが逆に彼を追い詰める…
村越投入で達海が表情が固い事に気付きます…足が痛むのです。出来過ぎだと感じる笠野は最早ETUという枠に留まっている選手じゃないかもしれないと感じます。村越のシュートはギリギリ阻まれ、カウンターで戻る達海はこけてしまいます
成田は自負があり必死で手にしたプライドや経験はそんなに簡単に手放せる程軽いものではないんだと持ち過ぎ、奪われカウンターで前に居るのはエベルトンと動けない達海です。そんな状態でも達海は自らボールを呼び込み、フットボールってのは騙し合いのスポーツなんだってばと逆転ゴールで勝利です!
日本代表記者会見では達海中心のチーム作りをすると話されます。一気に話題となり練習場にも多くのファンが訪れ皆達海目当てな中、松原は達海は怪我の影響で練習に参加しません!と言い切ります。今は他チームの後藤ともんじゃをつつき、代表招集を辞退しなきゃならないのは無念だろうなと同情されます
京都に移籍した後藤はまた違う景色が見えて笠野に感謝しており、CM撮影を終えた達海も笠野を信頼しています。笠野が感慨に耽っていると、記者の梨田からイングランドのクラブが達海を獲りたがっていると噂話が届きます。怪我してても顔を出せばグッズが売れるとなおクラブの事を考える達海は健気です
達海目当てのファンばかりで、他の選手は面白くありません。緑川のいる清水に0-2で敗れ、達海が離脱して1勝4敗と顕著な結果にその存在感が嫌でも目につきます。にわかファンが増えゴロー達もいないとゴール裏もまとまりに欠けます
笠野は包み隠さず噂について達海に話し、達海も心揺れつつ出たい気にはなんないとします。代理人のリチャードは達海に浅草寺を案内され、達海の人気に本物だと確信します。達海のワンマンチームと言われ、そんなつもりでプレーした事一度もないんだけどな…と寂しげです
CMも出来上がり明日から流れる中、肝心の達海がスタジアムに居なかったら…期待に応える為にと津川が駒田監督に次節達海をベンチ入りさせ途中からでも出場させろと迫るところでこの巻は終わります
まとめ
今巻は全編10年前の達海とETUの話です。代表の中核を担う成田に世代交代を迫る達海ですが、本人は飄々としており、あくまでマイペースに、自然体で、我が強い訳でもなくそのプレーで人を動かすのです。その抜きんでた才能は最早国内に留まっているべきではない程のものだと笠野も感じています
ダービーでの会心の2ゴール逆転勝利は達海の人気を不動のものとし、ついには日本代表で中核を担わせるとまで監督に言わしめますが、当の達海は怪我で招集辞退、ETUでも欠場が続きます。こういった一時的な爆発的人気は多くの要因を孕み、達海の身の回りの状況がみるみる変わっていく様が恐ろしいです
達海に釣られて多くの者が寄って来て、純粋にサッカーを楽しみたい達海の首を絞めるのです…ETUの達海依存は顕著で、にわかサポも増えあの大好きだったスタンドの光景が変わりつつあります。肝心のゴロー達もいないのです。当時はまだスカルズはおらず、まとまりに欠ける中でのこの状況です
それでも津川は達海を商品としてクラブの利益になる事しか考えておらず、正に破滅へと向かって行っているのが非常に痛々しく感じます。監督として飄々としている達海にこんな過去があったとは…GIANT KILLINGは初期設定が秀逸だった事もあり、こういった伏線が見事に回収されていくのは爽快です
どこかいわくつきだった達海の監督就任にもこのような背景があったからなのか…と納得してしまいますが、この回想はもう少し続きます。達海が今ETUの監督として何を想うのか考えさせられる中、16巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
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