前回までのあらすじ
ジーノは相変わらず丸岡を翻弄し、中盤の村越・堀田と共に熟練の連携を披露、縦に仕掛け挟まれる夏木を世良がナイスフォローし外の堀田に打たせますが山形が気合のこもったディフェンスで凌ぎます…
雑草魂:佐倉のキャリア
瀬古のナイスブロックから小森→瀬古→丸岡ですがふかし不意にします。見出したのは佐倉で、達海と対照的にプレイヤーとしての実績がない中でのこの手腕に山井も驚きます。ストロングポイントの赤崎のドリブルは効果的ですが達海は慎重です
赤崎が抜いてもすぐもう1人ケアに来る為堅守は崩れません。回想では佐倉の過去が明かされ、プレイヤーとしては全く芽が出ない中、オタク・完全な趣味とも言える傾倒っぷりで高2の冬に部活を辞めます。大学3年春、スポーツライターにでもなろうかなと感じながら観戦しているとルーキーの達海の活躍に目を奪われます
「知的さ」「狡猾さ」というより「生意気さ」を感じさせ、佐倉は自分の胸に空いていた穴の正体:ずっとピッチに立ちたかった…にやっと気付きます。大活躍する達海はインタビューで俯瞰のイメージで捉えている事を語り、境遇は違えど頭の中は似ているのではと佐倉はサッカーの指導者を目指す事に決めます
情熱だけはある佐倉は仙台のクラブの事務のバイトを始め、そこから育成年代のアシスタントコーチで結果を出しユースチームの指導者として山形に招かれ5年前トップチームのスタッフに就任、監督まで上り詰め山形を1部昇格に導き、憧れの達海と同じ夢の舞台に立ちます
堅守で良く守っていた山形、一瞬の綻びから失点
佐野は時々ポカもしますがアグレッシブさこそが緑川との違いです。佐倉に考えるスキすら与えない程目まぐるしく攻めるETU、堀田は瀬古の発言から相手より劣っているという感覚こそ山形の献身的なチームプレーを生み出す源なのかと感じます
小森は佐倉の読み通り赤崎のキレが落ちていると一方的な防戦の中何とか山形は凌いでいます。後藤は山形から感じるチームとしての秩序は脅威で結果を出している佐倉に目を瞠り、対する達海はいつも以上に集中しており松原も声を掛け辛いです
メンデスからケンにいいパスが出ると石神に仕掛け丸岡→ケンでバーを叩きます!これで完全にホーム:山形ペースとなり松原は達海に声を掛けますが達海は寝不足で無口だったのです(笑)達海は選手がこの状況を俺と同じように捉えてくれるかどうかだと語り後半に備えて寝ようとする始末です…
山井の分析から藤澤は達海独特の相手を出し抜く意志を感じるプレーがETUにはまだ出ていないと感じます。宮野が急ピッチでアップしている事から赤崎がスタミナ切れで機能せずチャンスだと感じる佐倉、ここで清川→世良でETUは簡単に先制してしまいます!
山形は最終ラインがずるずる前に引き出されスペースが生じてしまったのです…山形にとって手応えすら感じる展開の中でスキを狙っていたETU、これで引いて守れる圧倒的優位な前半です。堀田は達海が語っていた0-0のスコアなら山形の方が間違いなくしんどいという言葉が的を射ていると感じます
佐倉、小森システムで勝負
前半1-0で折り返し、羽田は昨シーズンとの違いを実感し勝って勝ち点3を積み重ねていかねえとと気張ります。有里のお陰で眠気の吹き飛んだ達海は選手を褒め赤崎の頑張りで結果的に向こうのキーマンは前半影を潜めたとします。対する山形はヴィトリーノの移籍が響き単独でゴールをこじ開けられる選手はいません
佐倉は熟考し小森に声を掛けます。小森は佐倉を舐めており、選手実績のない佐倉が情熱でカバーし徐々に選手の信頼を勝ち得る中彼は変わらなかったのです。声を荒げる佐倉は攻撃の組み立てを小森に任せるとし、ケンやメンデス等佐倉の情熱を知る面々が賛同しチームがまとまります
赤崎OUT宮野INで小森システムに対し村越は嫌なプレッシャーをかけてきます。村越・宮野で小森を挟み、フォローの瀬古を堀田がナイスカット、夏木が落としてジーノですがGKファインセーブです。達海の読み通り小森にボールを集めており、例の椿が語っていた選手こそ小森の事だったのです
達海はこれまでの形はあくまでベース…佐倉の目指している形はこの先にある、けどこの試合では俺がそこまでは進ませないと自信げなところでこの巻は終わります
まとめ
先述した通り今巻は人気作となり長期連載も視野に入れた中位・山形戦をメインに全編試合描写という辺りが新鮮です。プロサッカーもの、しかも主人公が監督という一風変わった漫画ですが、やはり試合メインの描写は面白く、チームの駆け引きが非常に興味をそそる内容です
佐倉はプレイヤーとしては全く芽が出ず達海とは対照的なキャリアですが、その戦術眼と情熱で今のキャリアを築く異色の監督です。普通監督はある程度の実績がある者が担うケースが多い中、ここまで選手として実績のない者が監督を担っているというのも正にジャイキリです
スター選手で抜群の視野を誇った達海と、彼に憧れ同じサッカー観を持つと感じていた佐倉の対峙はドラマチックで、お互いが持ち駒で相手を出し抜こうと狡猾に組み立てていく様は他のサッカー漫画にはない爽快さがあります。特に戦術がハマった際の選手・フロント・サポの一体感が痛快です
達海もマークしていた小森システムで勝負に出た佐倉、戦術の変化にも予期していた達海は慌てる素振りもありません。中位のチーム同士の対決に加え、この監督の読み合いにも熱が入る中、21巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
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