はじめに
田中芳樹先生の大ヒットSF小説は特に銀河声優伝説とも言われた旧アニメが有名ですが、その後封神演義の藤崎竜先生が漫画化して人気となっています。原作含め累計発行部数1500万部の人気シリーズのこちらの漫画を今回は取り上げます

ラインハルト兄妹とキルヒアイス
西暦3586年銀河は専制君主制の銀河帝国と民主共和制の自由惑星同盟の2つに分かれて戦っており、戦争は既に150年以上も続いています。帝国首都オーディンでキルヒアイスの家の隣に貧乏貴族が越して来て、金髪の少年はラインハルトと名乗り、即意気投合します
姉のアンネローゼは美人でキルヒアイスは天使かと思う程です。転入したラインハルトは目を付けられますが小鳥ではなく猛禽で「けんかっぱやい」です。喧嘩で服を血に汚したラインハルトは姉が悲しむと逡巡し、キルヒアイスは噴水で水浴びし事なきを得ます
父は酒浸りで危なっかしいラインハルトにキルヒアイスは天使たちの騎士になると誓います。平穏な時を過ごしているとアンネローゼは皇帝に気に入られ後宮に行く事になります…父が金で売ったのです。ラインハルトは激昂しブラスターを構えますが撃たず、皇帝を斃して姉さんを取り戻すと涙します
貴族幼年学校で頭角を現す
皇宮が彼女の住まいとなり、ラインハルトの未来は保証されます。嘆くキルヒアイスにラインハルトは貴族幼年学校に入り軍人になると言い、卒業して准尉からスタート出来出世が早いのです。2人で宇宙を手に入れようと誘われ、迷った末キルヒアイスは受け入れ一緒に入学します
アンネローゼはグリューネワルト伯爵夫人の称号を下賜され皇帝の寵愛を独占します。トゥルナイゼンはラインハルトを意識しています。学校は厳しいしきたりがあり目立つラインハルトは早速目を付けられますが圧倒してしまいます
分刻みのスケジュールを的確にこなし、中間考査席次は全教科満点で首席がラインハルト、次席がトゥルナイゼンです。ラインハルトは志高く、射撃と白兵戦技で上回るキルヒアイスを右腕にし何万隻もの大艦隊を率いて貰うと気高いです
5年ぶりの姉弟再開
比類ない程淡麗な美貌を生色に輝かせながら語るラインハルトを見るのはキルヒアイスの喜びとなります。宇宙港で戦艦を見て圧倒され、入学から8か月、二人にとって初めての宇宙空間です。ラインハルトはわが征くは星の大海なり、宇宙を手に入れると志し、いつしかラインハルト様と呼ばれます
一方同盟の惑星エル・ファシルに帝国が攻め込み、大混乱の中300万人の脱出計画の責任者とされたのは若干21歳の若い中尉=ヤン・ウェンリーです。そのニュースに驚く2人、何と司令官リンチ少将が捕虜となりそれを囮に反対方向からゆうゆう脱出させヤンは英雄とされ少佐になります
15歳で学校を首席で卒業したラインハルト、トゥルナイゼンは相変わらず意識していますがラインハルトの眼中にはありません。主席は皇帝から勲章が授与されそれだけで価値があったとラインハルト、謁見の間にフリードリヒ4世が現れ、敵意を燃やすラインハルトでしたが何とか自制します
特別に少尉から始める事とされ、任地に赴く前に姉と会う事を許されます。2人で姉に会うのは5年ぶりで、アンネローゼは太陽の様です。今は会う事で精一杯の中、宇宙で力を手に入れ必ず姉さんを迎えに来ると2人は誓います
下宿先で軍服も良く似合う2人、軍人となり最初の配属先は軍病院事務課で腐敗しています。早速最前線に配置転換を希望し、姉の寵愛からの配慮でしたが納得の行かないラインハルトは敢えて死地に飛び込み、イゼルローン要塞から更に8光年先、雪と氷の惑星カプチュランカに赴くところでこの巻は終わります
まとめ
特に旧アニメが有名なので、この冒頭はそれとは異なり時系列に忠実なのが藤崎竜版の特徴です。原作・旧アニメでは深掘りされなかったラインハルト達の幼少期の出来事を美麗な筆致で楽しめファンにはたまらない内容となっています
姉を皇帝に売られ姉を取り戻す為に宇宙を手に入れると志高いラインハルト、それを実現出来る胆力が彼にはあるのです…後述するトゥルナイゼンが意識する中、どこ吹く風のラインハルトは超優秀で学校時代一度も主席を譲る事はありませんでした
キルヒアイスも忠実な片腕として騎士のようにラインハルトを見守り彼等はセットのように出世していきますのでお楽しみに!卒業し早速配属された場所は閑職で、姉の寵愛の為の配慮だったのでしょうが、出世を目論むラインハルトは面白くなく、自ら死地に飛び込みます
美貌の姉弟の姉が後宮に捕られ、弟が奪い返す為に宇宙を手に入れる…と気高い物語の始まりは非常にドラマチックであり、スペースオペラと謳われるだけあり壮大な内容となります。これから登場する多くの人物の思惑と共に大海に飛び出すラインハルトに幸あらん事を祈りたいですね
1巻から原作とは若干内容を変え掴みはOKといったところ、2巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
おまけ
田中芳樹先生の原作小説は本伝が全10巻となっています。後述する旧アニメ版はこれに準じた内容となっており、藤崎竜版は小説の外伝全5巻の内容も上手く盛り込む事で差別化を図りより楽しめる内容となっております
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