「銀河英雄伝説(藤崎竜版)」15巻の数々の激戦と成長譚~メルカッツを客員提督としヤン艦隊充実!新兵の訓練時に典型的な遭遇戦=ユリアンの初陣へ…スパルタニアンの過酷な近接戦で派手に戦果を挙げるユリアン~

  1. 前回までのあらすじ
  2. 戦争の天才と同時に統治の天才=ラインハルト
  3. ユリアンの初陣
  4. ヤン査問会で不在時にガイエスブルクがワープアウト
  5. まとめ
前回までのあらすじ

通信を切り激昂したグリーンヒルですが、リンチと相打ちとなり救国軍事会議は指導者を失い、ヤンは事後処理に当たり、気落ちするフレデリカは2時間だけ休み復活、激務が救いとなります。ビュコックも助け、ユリアンの元にトリューニヒトが現れ地球教徒に匿われていたようです

数日後トリューニヒトは表舞台に復活、公衆の面前でヤンは握手を求められヤンは彼を過小評価していたと悟り、したくもない握手をせざるを得ません…

戦争の天才と同時に統治の天才=ラインハルト

イゼルローンからメルカッツ亡命の報が入り、ヤンは全面的に信じ厚く迎え入れる事にします。40年以上もの間同盟と戦って来た宿将が60を迎えようという歳になって全く違う人生を歩み始めるのです。中将待遇の客員提督ゲスト・アドミラルとしてイゼルローン要塞司令官顧問に任命されます

概ね昇進は見送られましたがユリアンは軍曹待遇となり戦闘艇スパルタニアンに搭乗資格を得ます。この年は帝国・同盟で戦火が交えられなかった特異な年で、ラインハルトヤンも過去より未来に多くのものを持つ年齢です。地球のカンチェンジュンガ山の地球教総本山で総大司教グランドビショップ猊下は裏で暗躍しています

ラインハルトは晴れて宰相として新体制の始まりで、ヒルダを首席秘書官とします。行財政改革で公平な刑法・民法の制定と税制度の改革を押し進め、壮麗な建築物群の半数を閉鎖等戦争の天才と同時に統治の天才でもあるのです。シャフト技術大将にフェザーンが取り入り、奇策をラインハルトに提案します

ガイエスブルクをイゼルローン回廊に移動要塞としてワープアウトさせるというもので、オーベルシュタインはフェザーンが絡んでいると看破、ラインハルトは案に乗るしかなく、オーベル~はフェザーン本星の存在まで掴んでおり調査を続けます

一方同盟は大幅な人事入れ替えが行われユリアン達新兵は過酷な体力錬成に追われ、アッテンボローは新旗艦トリグラフ分艦隊2000が哨戒訓練でイゼルローンを出発します。ユリアンも居る中同規模のアイヘンドルフ艦隊と典型的な遭遇戦となり、ユリアンの初陣です

ユリアンの初陣

ユリアンはスパルタニアンで出撃、小型艇を大型艦に近づけない為に小型艇同士を戦わせるのが定石です。ワルキューレとの近接戦ドッグファイト撃墜王エースポプランの言葉を思い出し、ユリアンは1機撃墜します!命の重さを感じながら感傷に浸っている暇もなく、今度は乱戦です

ヤンメルカッツ緊急で最大限の援軍で反撃不可能な一撃を加え味方を収容し撤退という意見に同意し彼を旗艦に同乗させます。アイヘンドルフはまさか新兵の寄せ集めとはつゆ知らず、ヤンへの用心もあり消極的になっています。ケンプ艦隊も全艦をもって戦場に向かい国境警備に不手際は許されません

2機撃墜しつい調子に乗るユリアンですが運もエネルギーも尽き補給の為帰投します。増長したと反省し、再出撃すると巡航艦の斉射に遭い損傷、ユリアンは巡航艦に肉薄し光子ミサイルを放つ所を射撃、何と巡航艦まで墜としてしまいます!しかし兵の動きの悪さを看破され、アイヘンドルフは紡錘陣形です

帰投したユリアンは命からがら再出撃し、味方のスパルタニアンがあらかたやられワルキューレが群がって来ます。ヤン艦隊到着で安堵しますが、ユリアンは集中砲火に遭います

ヤン査問会で不在時にガイエスブルクがワープアウト

アイヘンドルフは中央突破成功し各個撃破しようとすると前方にヤン艦隊1万が現れ、上手くアッテンボローと包囲戦とされ散り散りに撤退します。フレデリカユリアンが撃墜されたと報告しますが、実は味方艦の残骸に射出し生きて帰れたのです!派手な初陣にシェーンコップすら目を丸くします

敗戦の報告の前にフェザーンからガイエスブルクの事を聞いたケンプは、この失態を挽回する機会としてこの作戦をお任せ頂けないかと打診し、ラインハルトは即決します。ケンプは家族想いで次の戦いの最高司令官になったと誇ります。宰相府の食事でヒルダラインハルトと政治の話をする機会が多いです

持論を展開もラインハルトは軍事に偏りオーベル~は冷徹に過ぎる傾向があり、どちらにも属さぬヒルダの視点は貴重だと考えています…それはかつてキルヒアイスの役割でした。ケンプに加えミュラーを副司令官に任命し向かわせます。これを仕向けたルビンスキーは愛人のドミニクと同じ結論ヤンを一時的にイゼルローン不在にするで安心します

ケッセルリンクを派遣しネグロポンティ国防委員長を煽りハイネセンで「査問会」を開かせヤンを呼び寄せます。ヤンマシュンゴ准尉を警備として同伴させ、シェーンコップのお墨付きですが私なら一個中隊ですな!と強気です(笑)フレデリカ含め3人でレダⅡ1隻でハイネセンに出発します

帝国はワープ実験に成功し、ラインハルトはガイエスブルクに赴き例のキルヒアイスが亡くなった場所に1人佇みます。お前と姉上がいない世界には温かい光が欠けている…寒いのだと嘆きます。ラインハルトはイゼルローン前にワープアウトさせこれを攻略せよと命じ、皆ヤン不在を知りません

査問会は高圧的に行われ、ベイ少将が身辺警護を司り会場ではまず経歴の確認から始まります。決して成績優秀ではなかったヤンを小馬鹿にし、クーデターの際アルテミスの首飾りを全て破壊した点が不可解だとまくしたてます。ダラダラと続く査問会の目的はヤンを疲弊させ有罪の方向に持って行く気です

イゼルローン回廊の哨戒グループが大質量のワープアウトを確認、何とそれはガイエスブルク要塞だったところでこの巻は終わります

まとめ

客員提督ゲスト・アドミラルとしてヤン艦隊に温かく迎え入れられたメルカッツ、帝国との力関係で大差が付く中、彼の存在は非常に大きいものとなっていきます。力のバランスが帝国に偏り、同盟の主だった提督がヤンのみですから、ヤンは心強い味方を手に入れた事になります

安全と思われた訓練中に不運にも帝国軍と遭遇してしまったユリアン、初陣を飾ります。軍曹待遇のユリアンはスパルタニアンで出撃、才能を如何なく発揮し上々の船出です。空戦が緻密に描かれ、近接戦ドッグファイトの妙やその過酷さも描かれ、撃墜王エースで陽気なポプランの住む世界も垣間見えます

ここでもフェザーン・地球教の暗躍も描かれ、帝国と同盟を上手く操り漁夫の利を得ようと躍起になっています。敗戦の汚名返上とケンプがガイエスブルクのワープアウトによるイゼルローン攻略戦の総司令官に、ミュラーが副司令です。これは双璧ばかりに武勲を立てさせられないというオーベル~の思惑もありそうです

この超奇策に対し同盟は呑気なものでヤンはハイネセンで査問会の拷問を受けています。メルカッツが残っているとはいえ、ヤンあっての不敗神話ですから、残った首脳陣の奮起に期待したい所です…いよいよ銀英伝1派手な要塞対要塞という激戦が待ち受ける16巻ではどんなお話が待っているでしょうか?

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