前回までのあらすじ
査問会は高圧的に行われ、ベイ少将が身辺警護を司り会場ではまず経歴の確認から始まります。決して成績優秀ではなかったヤンを小馬鹿にし、クーデターの際アルテミスの首飾りを全て破壊した点が不可解だとまくしたてます。ダラダラと続く査問会の目的はヤンを疲弊させ有罪の方向に持って行く気です
イゼルローン回廊の哨戒グループが大質量のワープアウトを確認、何とそれはガイエスブルク要塞です…

要塞砲の撃ち合い
ミュラー艦隊もワープアウト成功しケンプは狙うはヤンの首だとイキります。そのヤンは軟禁されており、辞表を何度も書き直しています(笑)キャゼルヌは戦慄しヤン不在のイゼルローンで出来る限りの事をすると決意します。フレデリカはクラッキングを仕掛けヤンの居所をつき止めます
トリューニヒトの本音はヤンが消えてくれればいいのに…で、ネグロポンティは期待されています。現場に赴いたフレデリカですがベイに軽くあしらわれ、ビュコックを頼る事にします。査問会でヤンは模範解答の表があったら見せて欲しいとまで言い、辞表をドラマチックなタイミングで出したいと思案します
ガイエスブルクは更に前進し、ケンプは「主神の槍」のエネルギー充填、通信でも堂々たるものです。硬X線ビーム砲は60万キロの距離を2秒で征服しイゼルローン直撃、大打撃です!シェーンコップは共倒れの恐怖を敵に教える意味で反撃を提案、キャゼルヌは「雷神の鎚」で反撃します
こちらも被害甚大でそれ以上に両者心理的衝撃を受けるのです…
ヤン、やっと査問会から解放
一方ビュコックに会うフレデリカは事情を説明、レベロとホアン・ルイに連絡しヤン提督救出作戦が始まります!査問会でヤンは怒りついに辞表を出しますが、そこにイゼルローン侵攻の報が入り風雲急です。フレデリカは4週間キャゼルヌ達が頑張ってくれると信じトリューニヒトに直接話をつけに行きます
ネグロポンティは議長の信頼を取り戻す為にヤン暗殺を企みます。ベイに阻まれる中フレデリカはレベロ達の計らいでトリューニヒトに会えます。トリューニヒトはフレデリカの進言を聞き入れますがもう遅いかもしれないと言い、事実ヤンに憂国騎士団の魔の手が忍び寄ります
ところがマシュンゴが身を挺して無双しヤンは助かり、ビュコック達と再会、全てはフレデリカのお陰と悟りヤンは感謝します。ヤンがやっと解放された頃、イゼルローンでは主砲を撃ち合ったケンプの真意は別にあり裏で歩兵部隊の侵入作戦を企みます
名将=メルカッツ健在!
歩兵戦となり先手を打たれた為薔薇の騎士とユリアン出動です!シェーンコップは無双を誇り、才能のあるユリアンは戦闘艇戦といい歩兵戦といい正気じゃやってられません。3日後敵を撤退させたシェーンコップは逆にガイエに乗り込むか?と提案しますが慎重派のムライはヤン不在がバレたら不味いと自重させます
アムリッツァで大敗したケンプはヤンの出方に奇妙さを感じ、先手先手で動くとミュラー艦隊出撃です。ユリアンはキャゼルヌ家に赴き夫人の器量良しを感じつつ主砲被弾で司令部に戻ります。撃ち返すと今度は後背至近距離に2個艦隊がレーザー水爆で穴が空けられ、キャゼルヌは浮遊砲台と後手後手です
穴からワルキューレが侵入してくるので事を済ませた(笑)ポプラン達空戦隊が対応、部下達には3機1体となった集団戦法を叩き込み、ワルキューレをはやくも圧倒、ここで状況を楽に出来ると何とメルカッツが艦隊の指揮権を一時お貸し願いたいと申し出ます
ケンプは高揚し自制心に乏しくなり、メルカッツは腰の低い態度を崩さなかった為ヤン艦隊の皆に好感を持って迎えられます。浮遊砲台が撤退しスパルタニアンをパトリッケン少将が駆逐、すると4手に分かれたヤン艦隊が一気に包囲し危機、ミュラーが救援に向かうと浮遊砲台の餌食です
艦隊にはそれぞれの司令官が定めた戦闘教義があり、ミュラーのそれは鉄壁で極端なまでの防御力です。パトリッケンと入れ替わり包囲されるもミュラーはほぼ損害を出していません。名将は引き際をわきまえており、メルカッツはサッと退きケンプはイライラしラインハルトに「我が軍有利」と報告します
ラインハルトは極端な話要塞に要塞をぶつけて破壊しても良かったのだと豪胆で、双璧を援軍に向かわせ、後方に下げられたミュラーの元にヤンがイゼルローンにいないという噂が入るところでこの巻は終わります
まとめ
スペースオペラと名高い銀英伝、その勇名を確実なものとしたのがこの要塞対要塞の発想です。主砲を撃ち合う様は壮観で、お互い切り札を出し惜しみせず被害も甚大、皆猜疑心に苛まれます。ここで先手を打つのはケンプで歩兵戦・空戦と畳みかけますが、ヤン不在を感じさせない同盟の対応が熱いです
歩兵戦なら薔薇の騎士、空戦なら撃墜王と駒に事欠かず、更に艦隊戦ではヤン不在をあのメルカッツが補います。彼は亡命後腰を低くし味方の信頼を獲得、ここぞという場面では指揮権を得て力量を発揮と流石としか言えません。キラ星が如く提督が集う帝国に対し泥臭い同盟には好感が持てます
ヤンも査問会から解放され、4週間の間守り抜ければ勝機はあります。ケンプは威風堂々とした正面突破を試みますが上手く行かず、極端な話ラインハルトが言うように要塞に要塞をぶつけても良かったのです…発想の柔軟さに欠けるケンプ、双璧を援軍に送られこのまましくじってしまうのでしょうか?
ミュラーの元に捕虜兵からヤンが要塞にいないという噂が届き、これでいつものヤンの魔術師のようなキレの無さとも辻褄が合うのです…この化かし合い、看破しヤン不在の内に帝国が墜とすか、同盟が守り切るか非常に手に汗握る攻防です!17巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
おまけ
銀英伝の再アニメ化で話題となったのが「銀河英雄伝説 Die Neue These」です。今風にリブートされイケメン・イケボが揃い親しみ深かった旧アニメにはない洗練され緻密な艦隊戦も人気となりました。現在Ⅳシーズンまで発表されており、続編が期待されます
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