前回までのあらすじ
ロイエンタールと協力して統合作戦本部ビルを破壊し降伏勧告、アイランズはヤンに託そうとしますがトリューニヒトは狡猾に彼の汚い過去を暴き、ビュコックが実力行使に出ると地球教徒に襲われ同盟政府は降伏します。ヤンはその策もあるが私のサイズに合った服じゃなさそうだと従います
あと一歩というところで停戦を申し出てきておりラインハルトは勝利を譲られたと悟り、足かけ12日間に渡った「バーミリオン星域会戦」は終結します。2人の直接対決は死傷率7割を超える軍事上の常識を超えた正に死闘でした…

2人の天才の邂逅と「バーラトの和約」
ヤンはこんな生き方しか出来ない不器用な自分を呪い、フレデリカはそんなヤンがどうしようもなく好きだと惚気、4万隻に囲まれてユリアンの紅茶を飲むのは結構乙な気分だとします。ラインハルトは会見を求めて来て、ヤンは単身ブリュンヒルトへ、ミュラーが出迎えます
ラインハルトは卿とは因縁があると昔語りし唐突に私に仕えないか誘います。ヤンは帝国人とは違う水を飲んで育ったと断り、民主共和制は専制君主制に勝ると豪語、ただラインハルトの様な稀有な君主となれば話は別だと…卿を自由の身にしたら?と問うと退役しますと即決、ラインハルトは満足して帰します
ラインハルトの核心を突いた問いにヤンは揺らぎ帰路に着きます。ハイネセンにラインハルトは降り立ち双璧の占領下にあります。幼帝は行方不明でヒルダは謹慎しており、出過ぎた真似をしたと謝罪、ラインハルトは少し時間を貸してくれと謹慎を解きヒルダは忠誠を誓うという意味を心の底から理解します
「バーラトの和約」が成立し、同盟は帝国の所謂「属国」となりレンネンカンプを高等弁務官としラインハルトは本国へ凱旋し、これをもって「神々の黄昏」は終結します。オーベルシュタインは女帝を退位させ開祖ルドルフ大帝以来490年に渡ったゴールデンバウム王朝の終焉です
新皇帝ラインハルトが即位し戴冠、ローエングラム王朝がここに始まります!同盟の主な首脳達は皆退きユリアンも軍を辞めヤン夫婦の結婚式、めでたく退役し憧れの年金生活です。ユリアンはボリスに地球に連れて行って貰うと言い、地球教の総本山へ赴き知見を広げる腹積もりです
ダヤン・ハーン基地に隠された精鋭
途中帝国の巡視艇に拿捕されますが上手く切り抜け、ユリアンはヤンから頼まれたダヤン・ハーン基地に赴きポプランが迎え入れます。指揮はメルカッツが取っており、秘密裡に戦力を保っています。ユリアンはレサヴィク星系で1820隻が爆破されるので独立艦隊の善処に期待するとヤンの言付けを伝えます
ヤンは今は待つ時期だとし、乾季は5,6年はかかると推察し民主主義の灯を絶やさない為です。基地に女っ気がない事に限界のポプランも地球に同行する事になります。ポプランは出発前にクロイツェル伍長をユリアンに会わせ、美形で愛称は「カリン」、何かと焚きつけますがユリアンは先方は眼中にないだろうとドライです
ユリアンは誰かに似ている気がして、カリンは同盟の若き英雄にあんな軟弱そうな奴!と意識しています。途中フェザーンに寄り太陽系まで2か月の旅、地球の総本山に近いヒマラヤに着陸します。ヤンを危険視するレンネン~ですが平穏そのもので、オーディンではラインハルト暗殺を地球教徒は企みます
ヒルダの従兄弟のキュンメル男爵は病弱でラインハルトは過去の慣習の払拭の意味でも最初の臣下の邸宅への訪問と決めます。キュンメルはこの夜大きく体調を崩し、地球教徒の魔の手が忍び寄ります。メックリンガーが現れ彼がペットを飼っていない点を不審に思いヒルダも漠然とした不安を感じます
少数でキュンメル邸を訪問したラインハルト、快く迎え入れられますが、戦士としての鋭敏な感覚が何かおかしいと感じさせます。ケスラーの元にトリューニヒトが現れキュンメルがラインハルトを暗殺する気だと密告し、ケスラーは血相を変えて向かいます
「キュンメル事件」と地球教
自慢の中庭で食事を楽しむと、地下にゼッフル粒子発生装置を作動させた、スイッチを押せば大爆発すると脅迫し、キュンメルはこの場を凍り付かせます。ところがラインハルトはここで殺されるなら惜しむべき何物もないと超ドライで彼の当ては外れます
憲兵隊が到着し包囲した頃、ラインハルトのペンダントに興味を示したキュンメル、拒否されたので無理矢理触れに行き殴打されスイッチを落とし取り押さえられます。キュンメルからサイオキシン麻薬の成分が検出され、今回の事件は「キュンメル事件」と呼ばれる事になります
帝国が地球への出兵を決定した日、ユリアンは地球の土を踏みます。オーディンの地球教支部はケスラーに殲滅され、キュンメルの罪も問わず主犯は地球教徒とし、ラングはゴドウィン大司教を尋問、共存は根本的に不可能と考えます。地球にワーレンが制圧に向かいます
地球教の地下シェルターに赴いたユリアン達は喜捨物を欠かさず渡し内部に侵入します。ユリアンは人たらしらしく目ざとく地球教徒に取り入り下の階に行ける事になります。資料室も見つけ収穫もあり、そこに総代主教猊下が現れ謁見室に入って行きます
食堂で3人は落ち合うと暴れる男がおり、ポプランはサイオキシン麻薬の拒絶反応だと悟り食事に混ぜられていたと3人はトイレで吐き出します。水にも入っている可能性もあり、この窮地にワーレン艦隊も迫っている場面でこの巻は終わります
まとめ
今まで戦場で何度も相対した天才2人がついに会見します。豪奢なラインハルトと素朴なヤン、その人となりの対照的な立ち位置が絶妙です。ヤンを欲するラインハルトですが、彼は退役すると欲がありません。民主主義を信望する身故の意地もあったかと思います
「バーラトの和約」で同盟は帝国の「属国」となり一見平和が訪れますが、これで物語は終わらないのです…特に地球教徒を中心とした不穏な空気が漂い、実際「キュンメル事件」が発生、ラインハルトの身にも危険が及び、これを機に地球教徒一掃をとワーレンを向かわせます
同時期新婚の2人の邪魔にならないように気を遣うユリアンは見分を広める意味でも地球に赴きます。巧みに地球教徒の施設に潜入しますが、不可解な出来事が多く、食堂で暴れた男からポプランはサイオキシン麻薬の拒絶反応だと看破し食事に混ぜられていた事を悟ります
宗教系はどうしてもきな臭いものが多く、特に銀英伝での地球教は様々な場面で暗躍し帝国・同盟を苦しめる事になります。ワーレンが一掃してくれれば良いのですが、宇宙全土に蔓延る地球教徒は後残虐な行為に打って出て読者を震撼させますので覚えておきましょう…23巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
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