前回までのあらすじ
当然雷神の鎚の射程に入りますが暗号文を送信、司令塔がシステムダウンし要塞に侵入出来ます。これがヤンの仕掛けた置き土産だったのです!肉弾戦は薔薇の騎士に任せユリアンは居住区のある一室に赴きキーワードを入力、メインコンピューターとします
ヴェーラー中将はダッシュブルク参謀に変装したヤンの置き土産に捕まり、大慌てで戻るルッツ艦隊にユリアンが雷神の鎚を発射します…

30歳以下の未成年は同行出来ない大人だけの宴会
ルッツ艦隊は直撃を喰らい要塞のスクリーンをオンにして帝国軍にも映像を見せヴェーラーは心折れ自害します。バグダッシュの働きを認め、ユリアンは先のヤン暗殺未遂の件をしばらく休戦という形とします。メルカッツは特にヤンの少数をもって多数と戦う邪道を完璧に極めし者と讃えます
ヤンは義理で勝利記念集会に出席し即イゼルローンに移動、ここで悲報が届きます…ビュコックとレベロの死です。去年のラインハルトの宣戦布告から翌々日、司令部に軍服で現れたビュコックはファイフェル少佐に30歳以下の未成年は同行出来ない大人だけの宴会だとヤンに託します
チュンは38歳なので先輩面はキャゼルヌだけで十分でしょうと同行し、ビュコックはムライ・フィッシャー・パトリチェフを呼び出し5560隻の艦艇の譲渡契約書をヤンに渡して欲しいとさながらジョークのようなもの、ヤンは欠点も多いが民間人を犠牲にしない民主国家の意義を体現する男だと…
親征にはビッテンフェルト・ミッターマイヤー・グリルパルツァー・クナップシュタイン・アイゼナッハ・ファーレンハイト・ラインハルトと艦列を連ねます。皇帝を補佐する首席幕僚にロイエンタール、ヒルダも旗艦に同乗し、最後尾は「鉄壁」ミュラーです
約13万隻の怒涛の進撃で同盟全土を飲み尽くし、対する同盟は2万2000隻…勝敗は誰の目にも明らかでした。ビッテン~は大規模の通信妨害作戦を喰らい完全に孤立状態となり、ミッター~との間にビュコック艦隊が現れ分断する気です
ヒルダは一片の通信文をもってヤンと同盟を共食いさせる気で、オーベルシュタインの領分だろうと笑いラインハルトは未だヤンに敗れた件を引きずっています。エミールのお陰で緊迫した空気が和み救われます
マル・アデッタ星域会戦
ビュコックはマル・アデッタのスーパーフレアとトンネル状の空間を巧みに利用し待ち構えます。次世代の双璧と期待される2人は気を吐き個性としては対照的です。沈黙提督=アイゼナッハは酒豪ですが従卒の献身で(笑)1杯と2杯のコーヒーに不自由しない遠征となります
シュトライトの諫めにもラインハルトは応じず闘気が漲り、マル・アデッタ星域会戦が始まります。グリル~が回廊突入に成功しますが、スーパーフレアの直撃に遭います。ミッター~をしてこの泥臭い叩き上げの戦術に敵ながら敬愛に値するじいさんだと…
グリル~は半数を失いクナップ~が突入、機雷がしかけられており、回廊後方出口に向かう巧みなファーレン~と比べても上級大将以上と下との能力差は開く一方です。しかも待ち伏せていたファーレン~をカールセンが挟撃、十字砲火はいかんと退き皇帝を守る艦隊もあと3つです
カールセンの突進にミュラーが鉄壁を示し更にファーレン~が挟撃、残る盾は2枚とし後をビュコックに託します。ビュコックは天低方向から急接近もミッター~とアイゼナッハもおり届かないか…と思いきや、ここで切り札=スーパーフレアが全艦隊直撃、艦列は滅茶苦茶で皇帝めがけて突進して来ます!
気高き老人提督、逝く
ラインハルトは敵の攻勢は限界点を越えていると看破し、事実半包囲されカールセン戦死、それでも堅固であたかもあの老人の精神のようです。すると後方から艦影が見え、ヤンかと思われたそれはビッテン~でファーレン~を抜き去り突撃、その破壊力を見せつけます
ヒルダの言を入れミッター~が降伏勧告するとビュコックは通信を入れ、チュンとブランデーを飲み民主主義の名の下専制君主制とは相いれないと拒否し、全艦全滅、ラインハルトの命令で将兵全員が敵将に対し起立・敬礼します。ハイネセンのレベロも殺され同盟最後の元首は自国の人間に殺害されます
エミールは凄い戦いでしたと興奮し、他の銀河系でも何処へでもお供します!としラインハルトは銀河系だけで充分だと満足します。マル・アデッタ星域会戦は終結し、その僅かな時間の後皇帝にイゼルローン失陥の報が、ヤンにビュコック・レベロ訃報が届き歴史の激流はその激しさを増していくところでこの巻は終わります
まとめ
今巻の主役はビュコックでしょう。ランテマリオ星域会戦に続き、同盟の宿将として特に地の利を有効活用した布陣で圧倒的大差の隻数を補います。彼の老練なそれは次世代の双璧程度では太刀打ち出来ず、実は充実の帝国も上級大将以下の人材が枯渇している事が分かります
30歳以下の未成年は同行出来ない大人だけの宴会だというだけあり、同盟に身を捧げた老練な兵の士気は高く、圧倒的な数の帝国と互角の勝負を繰り広げますが最後はビッテン~の突撃で勝負ありです。ビッテン~はここぞという時の切り札として有効ですが、諸刃の剣である事を覚えておきましょう
ヒルダの言を入れミッター~が降伏勧告しますが、ビュコックは民主主義の名の下専制君主制とは相いれないと拒否し、この命題を読者に強烈に訴えかけます。ラインハルトのような聡明で覇気ある君主は常にいる訳ではなく、友と同等の関係を築く民主主義の良さも垣間見え揺れるところです
ヤンはこの訃報を折角イゼルローン再奪取した直後に知らされます…ラインハルトも同様で、このニュースに2人の反応が気になるところです…26巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
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