前回までのあらすじ
更に紅茶の淹れ方が上手いユリアンは絶賛され、翌日ヤンは統合作戦本部ビルへ赴きイゼルローン要塞に出兵の動きありです。キャゼルヌは事務系で非常に優秀な先輩で、給料分は働くと言うヤンに今度こそ勝って貰わんと困ると諭すと、ヤンは恐らく我が軍はまた負けるでしょうねと現実的です…

第6次イゼルローン要塞攻防戦
キャゼルヌを自宅に招き、ヤンはイゼルローン要塞について語り5回攻め込み全て失敗、戦死者は1000万人を軽く超えておりやられ方はいつも「雷神の鎚」を撃たれるパターンです。出兵の理由は選挙が近いからで、トリューニヒトは民衆を扇動し戦争を煽ると票が取れるのです
彼を軽蔑するヤンは第5次攻防戦を振り返り、シトレ大将は並行追撃作戦で要塞に肉薄しあわやという場面を作りますが敵味方関係なく「雷神の鎚」を撃たれヤンは力づくで墜とすのは不可能と悟ります。第6次攻防戦はロボス元帥の元出兵し、早速妨害電波を補足、レーダーが役に立たない時代です
ワーツ・キャボット両少将に伏兵を追い払うよう指令し、特に参謀長ワイドボーン大佐は期待されています。ヤンと同期で10年に1人の逸材と評されるも階級は同じ大佐なのです。いつものパターンだと様子見しているとヤンはグリーンヒル総参謀長に3000隻が縦陣を通り過ぎ本体を狙っている事を指摘します
本体を急襲後去り、偶発的に見えたこの攻撃は実はラインハルトによるものだったのです!ラインハルトは少将になり武功を立てて昇進する事を目指し遊猟を楽しむかのようです。ミュッケンベルガー元帥の元ラインハルトは勝利した後5日の休暇を与えるので指令に従うようにと兵を上手く操縦します
キャボット高速機動集団は高速艦のみで編成され、縦陣に対し3000の同数を横陣で迎え撃つ構えに盾と矛だと勝負を挑み、あっけなく全滅です!これは横陣が一気に取り囲むように包囲し横からでは的の大きさが段違いな為です。ワイドボーンは危険人物がいると考え対する作戦を立案します
秀才=ワイドボーン散る!
今度は逆のパターンで縦陣に横陣で挑みます…一連の攻勢は全てラインハルトの仕業で、ワイドボーンは戦術戦略シミュレーションでヤンに手玉に取られ敗れた過去を思い出します。ヤンと同質の匂いを感じたワイドボーンはこの敵と戦い解析し超えると意気込みます
ワイドボーンは緻密な計算と実直な作戦こそが勝利する、ヤンのような奇妙な思考が上手く行くのはシミュレーションだけだとしますが、ラインハルトは縦陣で突破すると見せかけ斜行陣で側背に移動するのが真の目的、ワーツ艦隊全滅は何とか避けられますがワイドボーンは27歳の若さで戦死します
グリーンヒルはエル・ファシルの民間人に娘もいた事もありヤンにどこか才能の煌めきを感じ対策を立案させます。ヤンはラインハルトが実戦で多くの戦術を試している野心家だと悟り、ユリアンは後師父を戦略・戦術家というより心理学者に近かったと綴っています
D線上のワルツ作戦
ヤンは側面逆進・背面展開を予想し囮を置いて1万隻で徹底的に包囲・殲滅する作戦で、兵力の出し惜しみで大魚を逃す事のないよう忠告します。17歳の少将に皆懐疑的でしたがラインハルトは実績で払拭し兵の信頼を得ます。ヤンの予想通りの作戦でラインハルトは何か胸騒ぎを覚えます
ラインハルトが物足りないと感じる中、同盟軍に行動を看破されていた事に誰も気づきません。3方向から完全包囲され、ラインハルトはライバルの存在を感じ生気が溢れ輝かんばかりです。旗艦タンホイザーも被弾しキルヒアイスが庇い負傷、それでもラインハルトは殿を務めるとこの状況下で逆転を考えています
一点突破の指示の元先頭に突出している1艦がおり、それはビッテンフェルトの猪突猛進です。無事突破し帰還するラインハルト、ロボスは6000隻で良いと出し惜しみしたせいです。その後戦場は要塞本体に近づき12月1日前面に全軍展開、攻略に掛かります
グリーンヒルはヤンにサインをねだり、それはエル・ファシルで救ったフレデリカからの依頼で当時サンドイッチを詰まらせコーヒーを貰い紅茶の方が良かった…と失言した事があったのです(笑)フレデリカはヤンの熱烈なファンで、士官学校を次席で卒業する優秀さです
グリーンヒルはヤンを評価し作戦会議に参加させ、ホーランド少将は次世代リーダーと目されるエリートです。彼はD線上のワルツ作戦を立案、ラインハルトは即座にその意図を掴み誤算は俺がいた事だと自信げです。2200隻に減った自軍がイゼルローンを救うと…
ヤンはこの作戦に悲観的で、「雷神の鎚」の有効射程距離が同盟のデッドライン=D線です。過去5回と同様の口火からホーランドのミサイル艦1000隻が死角から放火、物凄い火力で流体金属層突破し四重装甲層被弾と肉薄します。ところが横方向からラインハルト艦隊が現れ、この作戦を見抜いていたところでこの巻は終わります
まとめ
この巻は主にイゼルローン要塞攻防戦について描かれ、艦隊戦の壮観な筆致が時代の進化を感じさせます。旧アニメ版や道原かつみ版漫画ではやや簡素に描かれて来た艦隊戦もより緻密に、正確に描かれ、新アニメもそうですが月日と共にブラッシュアップされ艦隊マニアにはたまりません
まだ直接的な出会いとはなりませんが、この攻防戦でいよいよ主人公2人の巧みな戦術合戦が拝めます。野心家で戦術・戦略を実戦でこなし武勲も上げようとラインハルトは意識が高く、貴族社会の帝国に風穴を開けるだけの潜在能力を17歳にして備えているのが凄いです
対するヤンはライバル視されていたワイドボーンがあっけなく葬られ相手の危険度を実感、同じく若手ホープのホーランドのD線上のワルツ作戦に些か懐疑的です。一見ホーランドの策が功を奏した感がありましたが、そこにラインハルトが立ち塞がります…艦隊戦が始まり華やかになって来た銀英伝、4巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
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