前回までのあらすじ
ラインハルトはヒルダに心を開き、姉やジーク兄に少しでも近づけたと感じますーと呑気に考えていたのも束の間、フェザーンの戦没者墓地の完工式に赴いたラインハルト、そこで親衛隊が不貞の輩を発見、彼からヴェスターラントを忘れたか?と問われ皇帝は揺らぎ処罰もならんと肩を落とします
酒に溺れ落ち込むラインハルトをヒルダが慰めると、何とラインハルトは帰らないで欲しい、予を1人にしないでくれとヒルダの物語が大きな転換点を迎えます…

嬉し恥ずかし朝帰り♪
イゼルローンではフレデリカが共和政府の樹立を宣言、「八月の新政府」と呼ばれ人口は94万、ささやかながら最後の砦です。一方ハイネセンではどの面下げてトリューニヒトが行政官としてロイエンタールの元に仕官し、皇帝は彼の羞恥心の質と量を誤解していたのです
朝帰りしたヒルダ、早速ラインハルトが現れ、事の重大さを悟った彼女は立てず父に託します。当然皇帝として妃に迎えたいと言われ、突然の事でヒルダも動揺しており改めて返事をすると皇帝を帰します。マリーンドルフ伯は私にはすぎた娘だと感じつつもっと平凡な男性と恋してくれたら分相応の一生を送れたのに…と嘆きます
2人がうまくやれたのかは謎ですが(笑)、ケスラーが例のヴェスターラントの男が自殺したと報告、鄭重に葬ります。「グエン・キム・ホア広場事件」を皮切りに旧同盟領各処に暴動や人為的な事故が多発、逮捕者の中にはシトレ元帥も含まれます
トリューニヒトとルビンスキー、ドミニク、ラング、ド・ヴィリエは通じており各々の利害は一致しています。目的達成の為には強大になり過ぎた帝国の弱体化が必須で、皇帝とロイエン~を戦わせる腹積もりです。作戦成功率を上げる為1人の髭の高級将校が紹介され皆満足です
「ウルヴァシー事件」
ヒルダは1週間ぶりに大本営に出仕し、例の件もあり若干気まずいものの、ヒルダは皇帝の無趣味ぶりが気になり、その事でかビッテンフェルトと古典バレエを見物に行き、今度はルッツが詩の朗読会、ミュラーが前衛音楽と皇帝の「芸術の秋」は深まっていきます(笑)
皇帝は「旧同盟領の視察」を予定通り行うとし、戻って来るまでにヒルダから返事を定めておいて欲しいと律儀です。安易に返答は出来かねる問題で、この機会にヒルダはアンネローゼに相談する事にします。ロイエン~に叛意アリとの噂が流れ始め、それでも皇帝は視察行を決定します
裏でラングが暗躍し、オーベルシュタインは釘を刺します。ヒルダは体調不良による残留という事になり、皇帝はまずウルヴァシーに向かいますが、そこで「ウルヴァシー事件」と呼ばれる変事が始まります。ロイエン~は腹心に警備は最高ランクのものとせよと命じていました
ヴィンクラー中将は最高のおもてなしをしようと躍起になりますが暗殺され、ある大将が裏で暗躍しています。読書に勤しむ皇帝ですが、ミュラーが危機を感じ事実襲われルッツが助けます。その報を聞いたロイエン~は即対応に追われ、何者かが俺を陥れようとしていると感じます
完全にハメられたロイエンタール
皇帝を殺す者も1人しか歴史に残らない、その1人に誰がなる?と脅し、皇帝の首には10億帝国マルクの賞金が掛かっておりここでマインホフが翻り人造湖まで連れて行くと撃たれ死にます。負傷しているミュラーに託しルッツが殿となり皇帝を守り、上級大将だけにただ者ではありません
人造湖に着いたもののブリュンヒルトは基地から攻撃を受けており、リュッケ・シュトライトとも合流、シャトルが盾となり皇帝は卿らの無念決して忘れぬ‼と心に誓います。ロイエン~は事の次第から主犯が誰か案じ、グリルパルツァーは皇帝が逃れたと聞き歯噛みします
ルッツは善戦し死体の山を築き、やっとブリュンヒルトが離陸、ルッツは2日間戦い抜き森林を焼く炎で死に、グリル~からの報告でロイエン~はもうどうにもならんよと諦めています。反逆者になるのは一向に構わんが反逆者に仕立て上げられるのは我が矜持の許すところではないと…
皇帝はルッツを元帥に叙し、以前ロイエン~を煽った件からその考えは今も変わらぬと実力のない覇者が打倒されるのは当然の事だとします。足枷の取れたロイエン~がベルゲングリューンに皇帝に忠誠を誓うなら今ここで俺を殺せ、でないと皇帝にとって災厄となるだろうと凄むところでこの巻は終わります
まとめ
2大主人公の各々の求婚はお互い不器用なだけに可笑しいものでしたが(笑)、無骨で硬派な物語だけに一種の清涼剤のように心華やぐ一幕でした。一夜の過ちとはいえ、立場的に女に興じる事等何の問題もない皇帝でしたが過去の貴族の悪癖を払拭する意味でも、ラインハルトは誠実でした
事の重大さが身に染みたヒルダでしたが、徐々に精神も落ち着き、アンネローゼに助言を求める事とします。皇妃ともなれば聡明な人物が所望され、そういった意味ではヒルダは適任ですが、ここでもオーベル~の影が付き纏い、敵も味方も嫌気がする程彼は嫌われているのです
そんな中「旧同盟領の視察」にウルヴァシーを訪れた皇帝達が危機に陥ります。何とか脱出出来たもののルッツが死に、責任問題は避けられそうもありません。この絵を描いたのはルビンスキー達だと思われ、髭の大将=グリル~も関わっていそうな気配です
元々野心家であったロイエン~ですが、ここまでハメられると却ってその野望が疼きこれに乗じて宇宙を手に入れる覚悟が芽生えます。以前上司を失ったベルゲン~は今度はロイエン~の窮地に何を思うのでしょうか?止まる事の知らない銀英伝の怒涛の展開に酔いしれましょう…31巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
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