前回までのあらすじ
ヤンはこの作戦に悲観的で、「雷神の鎚」の有効射程距離が同盟のデッドライン=D線です。過去5回と同様の口火からホーランドのミサイル艦1000隻が死角から放火、物凄い火力で流体金属層突破し四重装甲層被弾と肉薄します。ところが横方向からラインハルト艦隊が現れ、この作戦を見抜いています…

ラインハルトの囮作戦
ミサイル艦は横撃に弱く、ホーランドは泣く泣く撤退、するとラインハルトはそのまま本陣に突進し回廊の航行不能領域を利用し敵を半包囲状態にし、ミュッケンベルガーは彼を認めざるを得ません。欲にかられた帝国軍が「雷神の鎚」の射程内を横切りグリーンヒルはD線内に侵入し混戦となります
ラインハルトは上申し囮を使って「雷神の鎚」で一掃する案を出しますが、危険も伴い、その役を任されます。例えこれで亡き者にされようともラインハルトは止まる事を知らないのです。ヤンは撤退を勧め、囮の意図を掴み追うのを止めますが時既に遅しです
射線上にラインハルトがいるにも関わらず「雷神の鎚」を発射する気で、ラインハルトは全艦回廊天頂に張りつけと指示、物凄い破壊力で5000隻以上が消滅、ラインハルト艦隊は傷一つなしで帰投します。ヤンは自身にもう少し地位と権限があったら…と嘆きます
ユリアンはヤンの無事を知り安堵します。同盟の戦死者は帝国を大きく上回り「雷神の鎚」発動までは勝っていた為悔やまれる敗戦です
ラインハルトの出世と貴族との醜い争いへ
ラインハルトは中将に昇進、叙勲式で皇帝は20歳になったら歴とした家名を与えると伯爵にする気で、当然他の者は反対します。これでラインハルトは貴族社会との醜い戦いを強いられる事になります。アンネローゼに逆立ちを見せるラインハルト、今回はキルヒアイスが会う事は許されませんでした
するとベーネミュンデが現れ姉弟の出世に何を企んでいるのか分かってしまったのと毒づき、フレーゲルは彼女を利用しようと考えます。彼女は死産1回・流産3回と不運で毒が盛られた可能性もあり宮廷は不条理です。奪われた姉を取り戻そうと皇帝陛下の座を簒奪する気だと指摘します
ラインハルトは妄言だと取り合わず、ワザと彼女を怒らせ矛先を自分に向けさせます。アンネローゼはコルヴィッツに館の警備を秘密裡に増強させ備えます。ブラウンシュバイクにフレーゲルはあの孺子を再度前線に送り込み殺す気で、ブラウン~は帝国軍3長官に同盟への侵攻を具申します
出兵には金が掛かるので増税させ、さり気なくラインハルトも参加させる気で、結局意見をたらい回しの上ミュッケン~に委ねられます。1か月後同盟ハイネセンではホーランドがカリスマ化されており、ヤンはまたラインハルトが出てくれば夢見る英雄様じゃとても太刀打ち出来ないだろうと苦言します
ホーランド無双
ラインハルトの憂慮をキルヒアイスは看破し全て手を打ってくれて安堵します。特にアンネローゼの警備強化で後顧の憂いがなくなったラインハルトはミュッケン~の旗艦ヴィルヘルミナへ1人で来るよう言われ、彼は此度の戦貴官は戦わなくて良いと言うのです!
剣を突き立てこの戦に要らぬとし、貴族の権力争いを持ち込んでいると…参謀長に大貴族の息のかかったノルデン子爵が現れます。後方待機を命ぜられ、ティアマト星系に同盟のビュコック中将が対します。一兵士から提督にまで栄達した老将で、誰もが彼に敬意を払う正に「老練」というにふさわしい司令官です
ウランフ・ホーランド両中将は政府の意図を訝しがり、ホーランドは艦隊ドクトリンで動くと聞きません。モンゴル帝国の末裔のウランフを罵り、部下の士気も異様に高く防戦ではなく主戦だ、新しい時代だと勝手に動く気です。一方ラインハルトが後方待機の件をノルデンは巧みに煽って来ます
ラインハルトは怒り心頭ですが従い、彼を予備兵力とした編成です。ミュッケン~は1000隻先手を出し、ビュコックは各艦隊500隻出すよう指示するとホーランドは古いっ!と旗艦で突進、部下が呼応し彼の煽りで1万隻全てで突っ込みそのまま左翼方向に急展開、側面に付け怒涛のホーランド無双です
帝国艦隊が一挙攻勢を受け散々たる有様、後方待機のラインハルトにも牙を剥き、彼は正々堂々受けて立つ、全艦後退せよ!と命令するところでこの巻は終わります
まとめ
イゼルローン攻防戦は膠着の末ラインハルトの囮作戦が功を奏し吊られた同盟軍諸共「雷神の鎚」で消し炭にしようとしますが、5000隻が一気に消滅という恐ろしい威力です。それでもラインハルトは機敏に対応し避け切り、この功から中将に昇進し、更なる試練が待ち受けています
貴族社会に入る事となり、腐敗したそれは帝国の病巣で非常に醜い派閥争いです。ベーネミュンデがいよいよ牙を剥き、彼女の過去に同情の余地はありますがあってはならない愚行です。特にラインハルトを疎ましく思うフレーゲルの暗躍もあり敵だらけのラインハルトにはまだまだ成すべき事が多いです
そのフレーゲルの差し金から今度は逆に帝国がティアマトに攻め込み、ミュッケン~はラインハルトを後方待機とします。これ以上功績を上げられては厄介で彼も焦っており、開戦すると逆に同盟のホーランド無双で窮地です…これを救えるのは無傷のラインハルトしかおらず、いよいよというところで彼は全艦後退と指示するのです!
戦うなと指示されており、それを忠実に守る為なのか?味方の事等関係ないという事か?彼にしか分からない明確な意図がありそうな中、5巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
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