前回までのあらすじ
二日後、棋院にヒカルは現れず、アキラも楽しみにしていたのに不意にします。更に若獅子戦にも来ないのです。ヒカルは失意のまま学校におり、もう打たないと気落ちしています。ヒカルが図書室でふて寝していると何とアキラが現れ、佐為がいないのにもうお前とは打てないと逃げ出します
一方和谷は一人暮らしを始め、九星会出身の棋士が中国に行き、あの伊角も行ったらしいと噂します…

伊角の訪中
伊角はプロ試験に落ち気持ちを立て直し成澤先生の誘いで訪中し親善試合に望みますが、子供相手にも完敗、その強さに驚きます。公園で黄昏るヒカルに和谷が皆努力している、おまえだけだぞ止まってんのは!とせかしますがヒカルは逃げ出してしまいます
親善試合も終わり帰国というところで、伊角は例の趙ともう一度打ちたいと言い、趙は地方で棋戦なので劉が教練の李先生を説得ししばらく滞在できる事になります。中国棋院の訓練室に通され、熱心な研究会に触れ、楽平という和谷そっくりの子を見つけ驚きます
楽平は去年11歳でここに来た俊英で、早速伊角は打つ事にしますが、楽平は強く完敗です。研究会では言語が分からない中碁の話ならだいたい内容は分かると気張りますが、夕食後も勉強と一日中碁漬けの上何か月も何年もこの中に身を置いていると分かり場違いだと焦りを感じます
早碁を打つ事になりこちらも完敗、そこで楊海という日本語が分かる者が現れ、少し話をします。伊角は去年のプロ試験でヒカル・和谷・フクと3連敗を喫し、立ち直らせたのは越智に対する意地だったと回顧します。自身の力を信じようと思えたあの時のような気持ちをこの中国棋院で保てるか不安になります
父から電話が掛かって来て、伊角はプロ試験が始まるまで2か月ここに滞在すると決め、楊海のところに転がりこむつもりでしたが、楽平に負けるようではこの部屋に置けないと一局2子置きで打つ事になります
中国で揉まれる伊角
結局伊角は指導碁をされ、認められ滞在を許されますが、楊海は楽平に何か含むところがあるようです。翌日中国No.1の王星と打つ幸運が訪れ、中国のトップ棋士:華松力も検討に加わる等で刺激を受けます
趙も帰って来て、楽平は遊びに行こうと誘いますが、楊海はもう一度伊角と打てと1週間後の対局を決め、楽平の背景についても語り、同郷で不真面目な楽平の目を覚まさせる意味でも伊角を利用します。楊海は感情のコントロールを身に着けろと諭し、伊角は徐々に頭角を現します
楽平との約束の一局となりますが、楊海は開始ギリギリに行くよう仕向けます。負けたら後がない伊角はプレッシャーを感じつつ俯瞰しており落ち着いています。楊海は楽平に盤外の動揺が勝負に影響すると仕向けますが、真面目な伊角はキレて楽平に素直に謝ります
楊海は対局に平常心でのぞむ事が出来れば常に冷静な判断をして乱れないと評し、伊角はひとつ壁を越え2目半勝ちとします。楊海の思惑通り楽平は伊角のお陰で感化され碁に熱心になり相乗効果を生みます。伊角は切磋琢磨し、父に電話で1週間前に帰国しプロ試験を受ける事を告げ1年先を行っているみんなの世界にーと気張ります
一方葉瀬中ではヒカルの母がプロを辞める事になったら…と慌てています。事情をよく知らない先生も今から受験勉強に切り替えても厳しいと感じています。あかりに不戦敗の事を指摘され、辞めるかもと話し三谷は勝手だなと激昂し、打倒海王目指して熱かった時期を思い出させます
失意のヒカル、久々の一局で涙
椿や河合等ヒカルを知る者は碁新聞のヒカルの不戦敗を見て怒り心頭です。和谷は越智とヒカルに棋士会会長の室田九段が電話したと話しこのまま辞めてしまうのか?と複雑です。ヒカルは寝る前団体戦を懐かしく感じ、それでも佐為は戻って来ません
囲碁部の連中から三谷の相手をして欲しいと言われますがヒカルは乗り気にならず帰ります。あかり達3年は中学最後の大会なのです。大会の日、ヒカルは会場に現れ、あかり達の対局を眺めながら、走馬灯が過り、打ちたいと思っちゃいけないと自戒します
ヒカルは碁を打ちたいと思ったりしたら佐為は二度と戻って来ない気がすると感じているのです。伊角は帰国し碁新聞を買うとヒカルの不戦敗を知ります。伊角は和谷と会い、近況を報告し、流れでヒカルの話題となり、思い立ってヒカル宅へ訪れます
ヒカルは気配を感じ佐為だと勘違いし、アキラが本因坊戦3次予選決勝まで進んでいる事を今悟ります。タイトルホルダーの桑原は倉田にアキラにと新しい波の到来を喜ぶ天野にヒカルは必ず戻って来ると断言します。伊角はヒカルと一局打とうと打診し、去年のハガシの反則負けについて触れます
碁を辞めようがとやかく言う気はないがオレの為に一局打って欲しいと頼まれ、佐為に断りを入れ伊角の為に打つ事にします。久々の碁でもヒカルは勘は鈍っておらず、お互いの腕が上がっている事を悟り、強くなったと感じます
いつしかヒカルは涙し、碁盤を見つめながら、いた…どこをさがしてもいなかった佐為が…こんなところにいたーと感じるところでこの巻は終わります
まとめ
今巻の前半の主人公は伊角です。彼は昨年のプロ試験に受からず、九星会も辞めていましたが、碁への情熱はくすぶり続け、訪中し向こうの中国棋院で揉まれます。時代の変遷と共に囲碁の勢力図も変わり、現在は中国・韓国・台湾に台頭されている日本の現状が伺い知れます
英才教育を施され、若くから揉まれ、トップでいられるのも30代くらいだというのですから、中国で囲碁で食べていく事の困難さが感じられます。伊角はこのチャンスをものにししばらく滞在し、自身の腕を磨き、再びプロ試験を受験しようとします
逆に佐為の喪失で完全に碁への情熱が失せたヒカルは失意の中にいます。佐為の真の実力を悟り、それでも我儘に自分勝手に振る舞っていた事を悔いるヒカルは、手合をしばらく休み知り合いからも心配されます。伊角はプロ試験時に反則負けを喫した一件からヒカルの事は常に頭にあり、休んでいる事を知り家に赴くのです
ヒカルは言い訳しながら渋々一局打つのですが、碁を打ちながら佐為がこんなところにいたーと涙します。今巻から全く佐為は出て来ませんが、ヒカルの頭の中には常に佐為がおり、酷い事をしてしまったと後悔し続ける中、伊角との一局から変化が生じます…ヒカルは立ち直る事が出来るのでしょうか?17巻に続きます…
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