前回までのあらすじ
兵藤が國崎を煽る中(お互い知っている風です)、相撲は’’大きく’’’’重く’’なきゃいけねぇのさと蔑まれ、桐仁はウチの大将見てそんな事言えんのか?と語り、小関も’’心’’が重要だと説き、四方田は栄大の大将に勝ってから言えと返し、あれから三か月…鬼丸と草介が全力で殺し合おうと対します…

バカ対バカの兄弟対決
個人戦は3位が天王寺、優勝は草介に決まります。勝って角界入りを約束していた草介、これで火ノ丸は団体戦で勝つしかなくなります。決勝:栄華大附属相手に満身創痍のダチ高は先鋒を國崎にする奇策です。相手は兵藤、何と実の兄弟で両親が離婚し兵藤と別れたのです
国宝級と言われながら国宝と呼ばれぬ理由は、バカだからです(笑)兵藤は立ち合い背を向け案の定國崎怒りの突き寄りを食らいますが、トリッキーさと身体能力で時に大物を喰います。バカの相手はバカにしか出来ないと國崎は八艘飛びを見せ張り合います
先に見つけたものを兵藤は更に上手くなり去っていく事を繰り返され頭にきている國崎、目隠しから蹴返しという嫌らしさに足取りで返しますが食らわんと逆にふざけた相撲は続きます。上手投げと見せかけ腿をつねる等明らかに兵藤ペースで進みます
エース級がひしめく栄華大附属に素人からレギュラーに登り詰めた兵藤は飽きっぽくも純粋に「相撲が好き」なのです。兵藤の問いに國崎は頭からぶちかましの真っ向勝負で「相撲が好き」だと答えます。体重差23kgの為兵藤有利な中、合掌捻り式反り投げ:ネオ・チヒロ・SP2号を放ちますが、読まれ外掛けで兵藤の勝ちです
最強の6人目:桐仁躍動!
國崎は何が一番ムカつくって、バカで空気が読めず自分勝手な兵藤がマジで強ぇって事だとし、ポイントゲッターの國崎の敗退はダチ高には痛いです。ただもうそんなやわなチームじゃないと二陣をついに桐仁に託します。國崎は稽古で一本目の最初の「20秒」ではついに彼に一度も勝てなかったのです
三ツ橋が全力を出し切れたのも最強の6人目がいたからなのです。ダチ高が動揺しないのも桐仁が20秒間だけなら最強の力士だからです。立ち合い澤井の正攻法に対し勢いを利用して’’とったり’’を放ち、瞬殺かに見えましたが流石澤井は堪え「一部の例外」かと納得します
時間の無い桐仁は実力者の澤井相手に小手投を放ち、不気味な桐仁の強さを警戒しカウンター得意と判断、様子を見られ20秒が過ぎる中ぶちかましから失速したと見せかけ原型三点投げーで勝負しますが、無情にも物言いで、同体・取り直しとなります
全てを出し切った桐仁には最早余力は無い中、漲るぜぇともう一番取れる事を喜び、クレバーな澤井は異様にスタミナが無い事を見抜きます。一度は諦めた土俵に立っている幸せを感じる桐仁はぶちかましから頭捻りー渦切で瞬殺し、名塚は彼が「鬼切安綱」だと気づきます
これで1-1となり、中堅はユーマです。医務室でレイナに緩みを正され、引き締まったユーマに火ノ丸は自分自身の為に戦ってこいと送り出します。我が強くバラバラな栄華大附属をまとめるのが四方田で、その実力は確かです
完全に力士となったユーマ
四方田は冷静に体重差を生かして前に出ようとしますが、ユーマは後ろに跳ぶ奇策に出て追い突きがまともに入ります!ガス欠かに見えたユーマが躍動し、楽しそうに相撲を取っています。引き技に弱かったものの、稽古で克服し、廻しも掴ませずあの四方田が何もさせて貰えません
ユーマが会心の大振りの一発を放つも、四方田は掛け突きを誘いついに廻しを取り、組んだら終わりと思われた中踏ん張りを見せ膠着状態です。すると四方田が鼻血で止血タイムとなり、ここで四股を踏む草介の準備運動だけで場内が彼に釘付けになります
ユーマはダチ高相撲部が俺を強くしてくれた…感謝を形にするんだと気張り、態勢有利だった四方田の左の腕を返し体重差があろうが押せるのです。ところが巻き替えで四方田は自慢の’’あんこ型’’の体型:相撲取りの武器=大きな腹を活かし腹で吊る相撲の王道を見せます
ハズレ年と言われバラバラの部員をまとめ上げた四方田は強く、我武者羅に暴れるユーマをもってしても抗えず栄大の勝ちです。それでも荒れずに負けを素直に認めもうすっかり力士となったのです。火ノ丸に相撲は楽しかったか?と問われ、充実した時を過ごしたユーマがやめらんねぇかもな…相撲と感じ入るところでこの巻は終わります
まとめ
今巻は団体戦決勝の栄華大付属戦の先鋒・二陣・中堅戦という事で、火ノ丸の出番はありませんでしたが、両校の個性が爆発し白熱の展開が見応えありました。先鋒は実の兄弟対決となり、國崎のいつも後から来る兵藤に常に追い抜かれる屈辱という構図が面白いです
普通兄が弟に追いつかれるケースが多い中、この兄弟は飽きっぽいものの天性のセンスを持つ兵藤がいつも國崎の前に立ち塞がります。トリッキーさ抜群の両者の攻防は非常に面白く、ポイントゲッターだった國崎が敗れるのも波乱です
三ツ橋の頑張りもあり秘密兵器として温存されてきた桐仁が最強の6人目として躍動するのも鮮やかでした。身体的な制約で長時間相撲を取れない桐仁でしたが、同体・取り直し後瞬殺し、国宝「鬼切安綱」は健在だったのです
更に満身創痍のはずのユーマも気張り、あの栄華大附属主将の四方田をあわやというところまで脅かす善戦を見せます。結果的に負けてしまいますが、ユーマは肉体的にも精神的にも成長し、相撲に完全にハマり力士として立ち振る舞う姿は眩しくもあります
このように主人公:火ノ丸抜きでも充実の団体戦の取り組みが熱い火ノ丸相撲、終盤に差し掛かった団体戦決勝の行方が気になります…17巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
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