前回までのあらすじ
ハズレ年と言われバラバラの部員をまとめ上げた四方田は強く、我武者羅に暴れるユーマをもってしても抗えず栄大の勝ちです。それでも荒れずに負けを素直に認めもうすっかり力士となったのです。火ノ丸に相撲は楽しかったか？と問われ、充実した時を過ごしたユーマがやめらんねぇかもな…相撲と感じ入ります…
IH最終日：結びの一番
副将戦は小関対ダニエルです。欧州出身で金髪のダニエルは容姿も相まり人気があります。実はダニエルは入部当初弱く、張り差しを食らいますが大和国そっくりの相撲を取ります。小関は右上手は取らせないと気張り我慢比べなら誰にも負けません
草介に感化され今の実力を身に付けたダニエル、親方はまるで一足早い鬼丸対草薙だと評します。ダニエルは右上手投げー大蛇断を放ちますが、小関は冷静で火ノ丸に一回だけ勝った事がある、俺と潮はライバルだからと辛抱強さを見せて掬い投げで勝利、大将戦に繋ぎます
大将戦は鬼丸対草薙で二人の国宝に委ねられます。鬼丸はチームメイトに相撲は楽しかったかと問い、皆に礼を言います。派手に見送られた鬼丸に対し、草薙は相撲の神に選ばれた神の化身です。鬼丸は草薙のような血統も体もねぇがそれがどうした？と母の影を見ます
IH最終日：結びの一番＝鬼丸国綱対草薙剣、いざ…発気揚々!!
「孤高の頂」を勝ち取らんと走る好敵手が居る幸運
あの敗北から三か月、平蜘蛛でぶちかまし立ち合いは鬼丸です。幾多の死線をくぐり抜けた経験から火勢を煽り、溜めから天王寺も見せた下からの突き上げが効いています。大典太と打ち合った重い突きで合わせ、草薙がもう土俵際です
皆の力を借りてここまで来たぞと凄む鬼丸を強烈な張り手で制し、草薙の一挙一動が肉体を、精神を擦り減らします。張り手で飛ばされその圧力は恐怖すら感じさせます。大和国は横綱は人間をやめるという事だと諭しており、気張る草薙に鬼丸は横じゃねぇとぶちかまします
ワシの活路は死地にあったと二連発・三連発と畳掛け、鬼丸の下手、草薙の上手で両者必殺の間合いです。一瞬でも気を抜けば殺られる中、互角の攻防で動けません。横綱という「孤高の頂」を勝ち取らんと走る好敵手が居た事は草薙にとっては幸運で、つい笑みがこぼれます
対格差をものともせぬ鬼丸必殺の投げ
新人戦と同じ展開でこの対格差で組み合い続けても消耗するのは鬼丸の方、長引けば不利な中隙もありません。心が試される中、回想で鬼丸は母との邂逅から相撲クラブに入り大和国に憧れたくだりが語られ、草薙は寄りを堪える反動を利用して右上手投げ：大蛇断ーを放ちます
草薙は横綱と見紛う程の眩しさを見て、鬼丸は相撲が好きだからワシはここにいると笑います。右上手投げを残され体が開いた時かなりの高確率で左を差しに来る、そのチャンスに一気の押しでこれが無差別級ゆえに生まれるありえない光景なのです
大和国が薫山へ与えた金星は目に焼き付いている草薙は圧倒的フィジカルの躍動も相撲の醍醐味と左四つです。右上手投げ：真・大蛇断に対し鬼丸は逆・百千夜叉堕で投げの打ち合いです。相殺され、再度ぶちかまし、レイナは堀がいなかったらここにいなかったと礼を言います
相撲を知れば知る程わかるあいつの凄さに目を奪われるとレイナは火ノ丸の相撲が好きだともらします。鬼丸の揺さぶりに己の限界を試されていると感じる草薙は大和国を超えろと強引に投げに行き、「仏壇返し」とも呼ばれる’’呼び戻し’’身神槌を放ちます
すると鬼丸は本能で咄嗟に廻しを離し、勝負所の執念…土壇場での立ち回り方に秀でた鬼丸は必殺の投げが右腕に力が入らず体力限界の中、何度でも何度でも限界を越えてくれるこの体がワシの誇りじゃと右下手投げー鬼車を放つところでこの巻は終わります
まとめ
先述しましたが、高校相撲の団体戦は剣道と違い白黒はっきりつく為場合によっては大将戦前に勝敗が決してしまうケースがあるかと思います。白熱の攻防が結びの一番まで続く展開は胸熱で、小関が勝つ事で勝負は大将戦（再戦）という極まりっぷりが光ります
三か月前の新人戦の伏線もしっかり回収し、この大一番に賭ける二人の気概が感じられます。体に恵まれないながら必死に心と技を磨き続けた陽の当たらぬ鬼丸と、横綱：大和国を父に持つ圧倒的血筋の草薙の対比が鮮やかです
相撲は無差別級の為、どうしても小兵は不利ながら、だからこそ応援したくなるのが人情というものでしょう。雄々しく自己研鑽を怠らなかった鬼丸が多くの過程を経てプロ入りへの一縷の望みを懸け、憧れだった大横綱の息子と試合う…美しい光景です
フィジカル的に劣る鬼丸がついに必殺の右下手投げー鬼車を放ちますが、今巻ではまだ勝敗は分かりません…18巻ではどんなお話が待っているでしょうか？
おまけ
先述していた火ノ丸相撲のアニメは第2クールまであり、全24話となります。半年間での放送期間で「高校生編」を最後まで描くにあたって、「火ノ丸が高校相撲の頂点に立つまでをシンプルに」「キャラクターの性格やドラマをなるべく前倒しにして見せる」をコンセプトに設定やエピソードの順番などにアレンジがなされています
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