前回までのあらすじ
更にユーマは思う存分ケンカして来い!と’’突き押し相撲’’できっかけを掴みます。当然大将の火ノ丸は圧勝し、3対0で大太刀高校の勝利です。続く草間高校にも全勝で予選リーグ2位通過とし、決勝トーナメント1回戦で悲願の石神高校戦、沙田=国宝ー’’三日月宗近’’との勝負に火ノ丸が気負います…

国宝の二人の緊迫の取り組み
沙田はスポーツ万能で、火ノ丸の相撲を見てこの世界に入ったものの、中学時代は敵なしでそこに火ノ丸はいませんでした。予選リーグでは今大会最重量の相手に得意の’’おっつけ’’で攻め手を封じると必殺の上手出し投げ:「上弦之月」で端から端まで吹っ飛ばします
ついに先鋒で相対する国宝の二人、地区予選の緊張感ではありません。頭からかち合い何と鬼丸が突き押しを見せ、鬱陶しい’’おっつけ’’封じです。手数の多さで攻める速射砲は回転数を上げ沙田の体の芯を捕え出し、笑みすらこぼれる沙田とは対照的に鬼丸の殺気は尋常ではありません
鬼丸は沙田を逆におっつけこの間合いを制し、脇が開くと中学3年以降誰一人触れる事さえ叶わなかった純白の廻しを掴み「鬼車」というところで沙田は上手を引きピンチを切り抜けます。すると瞬時に二太刀目:下手捻りー「鬼嵐」を放ちますが沙田は堪えるのです!
沙田は吠え「上弦之月」と対を成す技:左上手出し投げー「下弦之月」を放つも鬼丸は追いつき二太刀同時に斬り拓く「百鬼薙ぎ」で火ノ丸の勝利です。偵察に来ていた栄華大附属高校の草介もこの「合わせ技」に目を瞠ります。土俵上では喜びを表さず、苦汁を舐めた三年の真価が問われた闘いから解放され、火ノ丸は笑います
ワシの目標がワシらの目標になった
ただ団体戦なのでまだ続きがあります。気落ちする沙田を制し真田が小関と対します。金盛は「負けてくやしい」気持ちがあれば石高を日本一に出来るエースになれると促します。火ノ丸は精魂尽きたのか憔悴しきり、続く小関・ユーマ戦の最中に気を失い医務室で石高の優勝を知ります
廊下で話し合う小関とユーマは石高は火ノ丸戦以外は負けなしで、俺らどっちかが勝ってれば優勝したのはダチ高だったんじゃねぇのか?と悔しさを見せ、火ノ丸に日本一にしてもらうんじゃない、俺達皆でダチ高相撲部を日本一にするんだと気張り、火ノ丸はワシの目標がワシらの目標になったと喜びます
すると火ノ丸は尻もちをつき、草介に軽々持ち上げられます。不動の関東一位、どうりで匂うわけじゃー強さがと感じ、埼玉予選もあるはずなのにここに居るのは何か事情がありそうです。狩谷が本番はIHだと気張り、二人は去り火ノ丸は同じ頂を目指す者なら自ずと次会う時は土俵の上だと凄みます
久世草介は最後の日本人横綱「大和国」の息子=正統後継者なのです。草介は小四で出た初めての大会で対戦相手に大ケガをさせ、学生相撲の表舞台に立つ事を許されずにいます。記者は鬼丸の出現が眠れる国宝’’草薙剣’’の目を覚ます予感がすると期待します
夏のIHは5人制、部員集めも含めて課題は山積みです。火ノ丸は学祭でちゃんこ鍋を振る舞い部員確保大作戦だと張り切ります。レイナが現れちゃんこを食べますが不味いのです(笑)レイナはミスダチ高にして生徒会副会長で、学祭が終わるまでに部員不足を解消出来なければ「廃部」にすると告げます
ユーマのちゃんこの方が美味しいので1円にして出すとレスリング部の國崎が美味いと食いつき、エキシビションマッチの特別招待券を貰います。ちゃんこは好評なものの部員集めには繋がらず、そこで武道場でレスリング部が凄いと話題になっています
レスリングの覇者:國崎と小兵初心者:三ツ橋の加入で部存続!
武道場では國崎が必殺の巻き投げ:チヒロSP1号で各部の猛者を連破して盛り上がっています。去年の国体で日本一になった選手なのです。火ノ丸は大相撲には神事としての側面と興行としての側面があるとし、いい予行演習じゃと「塵手水」を披露します
國崎に言わせると相撲とレスリングでは「負けの重み」が違うとし、いずれ総合格闘技に進む俺にはぬるいんだよなあと自信げです。すると火ノ丸は自らが圧倒的に不利になる条件を提示し、会場のボルテージも上がる中、特別レフェリーがレイナとなります
一気に本気モードの二人、ゴングが鳴ると國崎が得意の超高速ノーモーションタックル:チヒロSP2号と仕掛けますが火ノ丸は即國崎を地につけ敗北を死と捉えるならこれはぬるいか?と問います。決まり手は「叩き込み」いや「素首落とし」で、レスリングルールならまだ死んどらんだろと挑発します
國崎は低い体勢から低空飛行機投げ:チヒロSP4号と矢継ぎ早に繰り出しますが火ノ丸は屈せず膝を突かせる事さえ叶わないのです。「倒れない」という事に関しては相撲取りの右に出る者はいません。すると「突っ張り」→「逆とったり」→「外小股」と「打・投・極」3拍子揃った相撲は言わば立ち技の総合格闘技です
まだフォール負けは喫してないと國崎は巻き一本背負い:チヒロSP1号を放ちますが、火ノ丸は初見ならまず防げなかったわ…と変形の掬い投げ「鬼車・破型」でついに國崎は天井を仰ぎます。「心」の生死ーを賭ける相撲がぬるいか?と問い、國崎も負けを認めます
レイナの目論見はハズレ、しかも國崎は「まわし」を即購入し相撲部に入るとし、意気上がる中レイナは火ノ丸を絶対許さないとまだ廃部を免れた訳ではありません。その後手を尽くして勧誘に精を出しますが力及ばずあと15分で学祭も終わり…というところで小兵の三ツ橋が入部したいと志願します!
二人の戦いに感銘を受けたと言うのです。これで部員は5人になり部は存続、そしてレイナが実はユーマの妹である事が判明します!ユーマはもう喧嘩はしねぇとし、あのチビをぶっとばす頃の俺は「ダチ高最強」なんかよりも胸張れる兄貴になってるはずだぜとまで言わしめたところでこの巻は終わります
まとめ
本レビュー筆者は数々のバトル・スポーツものを文章化して来ましたが、この火ノ丸相撲を書いていて感じる事は相撲の奥深さと繊細さです。必殺技やダメージの蓄積による勝敗がつきもののバトルものと違い、相撲は白黒がハッキリ出る為絶対に倒れられないというルールが際立ち、独特の緊張感のある競技なのです
国宝二人の対戦は緊迫感もあり、技の応酬はド派手で読んでいる者を引き込みます。火ノ丸相撲はこれから多くの取り組みが見られる為、今後もこの迫力ある技巧が目白押しなのでお楽しみに!
例によって部員足りず存続の危機に瀕しますが、ここでレスリングの覇者:國崎と出会い、彼も相撲部への入部を決めます!経験者ではありませんが、その異色のスタイルはダチ高相撲部になくてはならない重要な役割を担っていく事になります
小兵の初心者:三ツ橋も心打たれ入部しついに5人揃ったダチ高相撲部、IHに向けて体裁は整いました。レイナがユーマの妹という衝撃の事実も明らかになった中、3巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
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