前回までのあらすじ
大典太ー冴ノ山は万雷ー水の如しと譲らず下手を引いた冴ノ山が投げから一気の寄りで4勝1敗とします。鬼丸ー金鎧山は前日作戦会議で國崎にこの力士あんま好きじゃねぇだろ?と見透かされます。更に支度部屋で刃皇に「大相撲」を背負う覚悟がないと蔑まれ金鎧山は動揺します
お互い愛するものの為にーと気張り、鬼丸会心の当たりで主導権を握ると金鎧山の「悪癖」:引き癖が出て鬼丸は國崎が言っていた事の真意=大関に満足している事を見透かします…

金鎧山をも越える鬼丸の覇気
横綱は最高レベルの成績を常に求められ、一度でも負け越せば進退を問われます。家族がいる金鎧山はどうしても保守的になり、三年前の横綱昇進のチャンスも棒に振り、大関に長く在位して家族の為に長く力士でいる事を選んだのです
上を目指すでもなくそこに居座る金鎧山は鬼丸にとって最高に目障りなはずだと國崎は分析します。ここで吹っ切れた金鎧山が土俵際大関としての意地を見せ鬼丸もそれでこそ絶対に越えねばならぬ壁と燃えます。肩でのかち上げから巻き替え、掬い投げに細かい突きと大関の攻めが速いです
金鎧山は家族の想いを蔑ろにしてきたと反省し、カウンターを決め「愛」を力に変えるというのはこういう事だったんですねと理解します。叩き込みで勝負あったか?に見え鬼丸は残し、鬼丸は自然と横綱土俵入り「攻」の型ー「不知火型」で「愛」でも上回れとチヒロSP2号ー足取りの奇手で仕掛けます
ぶちかましに鬼丸は八艘飛びと若いからこその「純愛」…気炎万丈・青春の相を見せ、いい形から鬼車は不完全で金鎧山残すも、鬼丸は今よりもっと惚れさせてやるとついに愛・鬼車で仕留めます。若手が台頭しベテランが奮起する…これが俺達の見たかった大相撲だよと駿海・刃皇は感じます
草薙と因縁の対決へ
ライバルが鬼丸の変貌に慄く中、金鎧山の子が産まれ、楽しかったかいと刃皇に問われ悔しさを滲ませ、彼も前を向きます。テレビインタビューで鬼丸はレイナ…愛してるぞ、九月場所が終わったら結婚しようとプロポーズをし(笑)全国放送でやらかします
帰り際草薙が現れ(3勝2敗同士)刃皇と2敗同士の「優勝決定戦」に持ち込むと気張り、六日目で当たる二人は負けられません。翌日取材陣が部屋に訪れる等騒がしい中、鬼丸は改めてレイナと向き合い気持ちを伝えます。そこに狩谷が現れ、草薙の映像を寄越し、小兵同士通じ合う部分があります
草薙は親父譲りの右上手が強く、指一本でも廻しにかかれば=「死」です。鬼丸の変化が「横綱相撲」ではないと感じる草薙、お互い不満もある中IH団体決勝よりも成長したワシらの相撲を…観衆に見せてやろうぜと時間一杯です
高校で二度対戦し一勝一敗、その後6度対戦し全て草薙が勝っていますが、鬼丸の怪我もあり2年半振りに土俵の上で向かい合います。変化も頭にある中「受けて立つ」草薙に鬼丸は学生時代を彷彿させるぶちかましで草薙はずっと…この再戦を待っていたと滾ります
わからなくなっちまった「鬼車の打ち方」はイップス!?
強者として「格」の違いを見せつけるのが「横綱相撲」、大和国になりたい草薙はぶれない強さを見せますが、鬼丸は一本背負いー無刀一輪から足取りと揺さぶり、更に焼け撥と畳み掛け、動じない草薙に八艘飛びを見せますが最早君の横綱相撲…「真っ向勝負」では戦えなくなったと蔑みます
ところが鬼丸は強いぶちかましを放ち’’ワシの横綱相撲’’はもう始まっとるぞーとお前を越え横綱になると燃え盛ります。鬼の気迫で草薙が力負けし、奇手の連続で草薙の重心が上がっていたのです。攻めの緩急が更に増し、真っ向勝負の威力も増した鬼丸、皆が教えてくれた相撲です
掛け張り手 焼け撥 破城から小せぇのも大きいのもワシだと刃皇のどんな相撲道を歩む?という問いの答えが出せそうな鬼丸を草薙は指で廻しをかすめ一気に得意の右上手を取ります!お互い胸が合い鬼丸は右下手、両者必殺の間合いです
膠着の裏で殺し合う土俵中央、右手が安定しない鬼丸が廻しを切られ草薙寄るも土俵際堪え、わからなくなっちまった「鬼車の打ち方」はイップスだと思われる中全てを受け入れワシはワシを謳歌する!とあの頃を思い出した鬼丸が正調右下手投げー鬼車をついに放つところでこの巻は終わります
まとめ
今巻は二大大関との対決が熱い巻です。大関という地位は非常に難しい段階で、上に横綱という頂が見えつつまだ下に落ちる可能性も拭い切れない非常に不安定な役どころです。とんとん拍子に出世しても、連続優勝程度の圧倒的強さを見せないと横綱にはなれません
金鎧山にも横綱昇進のチャンスはありましたが、不意にしてしまい弱さを露呈します。大関在位6年は立派なものですが、裏を返せば現状に満足してしまっているとも言えます。大相撲は番付の変動で毎回不安定な足場の中、横綱になるには何事にも動じない圧倒的メンタルの強さが求められると言えます
金鎧山を倒した鬼丸は今度は草薙と強者との戦いは続きます。もう一敗も出来ない中、かつてIHで鎬を削った仲の二人、現在地はだいぶ違いますが、鬼丸は怪我も挟み混迷を極めながらも自身の真の「横綱相撲」について答えを見出そうとしています
蟹江先生も語っていた通り、鬼丸の右手は完治しており、鬼車を放てないのは野球選手等が陥ると言われるイップスなのかもしれません。鬼丸は死闘の連続で自身の強みであった右下手投げをついに完成させ、克服に至ったようなのです…白熱の取組、26巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
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