前回までのあらすじ
百乃花は角番で1勝7敗と後がないベテラン技巧派日本人大関で、刃皇に土を付けた事がある数少ない力士です
鬼丸相手に変化から出し投げを見せますが、鬼丸は残し一気の寄りと力強い相撲で7勝目、4大関撃破で優勝争いに名を連ねます。國崎は余裕が無ぇってのがある意味一番危ねぇんだ…と警戒し、邪魔する者は壊してでも…と堕ちる大包平と鬼丸が十一日目で対戦する事が決まります…

唯一無敗の大包平にも土
大包平は10連勝としますが荒っぽく、敗れた妙斧山は右肩を痛めます。189cm・135kgと軽量の部類ながら最近は前に出る意識が強く強引に形を作る様になったのです。加納とは大学が一緒だったレイナは誰に対しても紳士で女子からも人気があったと言います
この大包平の変貌っぷりに驚く鬼丸は今日の大和号戦の様な一気のぶちかましなら勝てると意気込みます。国技館で偶然トイレで居合わせる二人、火花を散らす中、個室から三日月も出て来て大包平の強さを語られ、レイナに抱き着いた為鬼丸は怒ります
鬼丸のぶちかましに対し大包平は柔の受けで、羅城閉門ー無道も自身の顔、殺られる前に殺れ!と修羅の相・無道です。閂で壊す事も辞さない大包平の攻めに致命の間合いで斬り結ぶ鬼丸、これもワシの一面…受け入れろとその凶暴性を飼い慣らすのです
捨て身で生きると鬼丸は無道・馭で押し、不知火型ー鬼炎轟進で攻めますが大包平の肘が入り、残した鬼丸が楽しそうなのに俺だけみんなと違う、楽しんでる奴らには敵わないのかな…と感じます。ここで俯瞰して相撲を見れた大包平は無道・神色自若で「心」が据わり仕切り直しです
刃皇はこの境地に達した者が二人も現れるとは…と感じ入ります。鬼丸の突っ張りも離見の見で落ち着いている大包平は羅城開門 武者返しで危険な投げで鬼丸強引に抜けて来たところを更に出し投げ→外小股と畳み掛けますが、鬼丸は動じません
無道・掛け突き 轟・破城掌で返し、二人の際立つ強さに観客は釘付けになります。激しいぶちかましを受け止められたものの鬼丸は大股 鬼無双の連携でついに大包平を敗ります。負けたのに不思議と充実感がある大包平、自身が相撲好きなんだと改めて感じ、鬼丸も同意します
三日月も敗り2敗キープで鬼丸千秋楽
刃皇ー三日月は長い相撲となり得意のおっつけで横綱に廻しを取らせません。中学から相撲を始めた三日月は相撲に出会い幕内上位の真剣さに心地良さを感じています。三日月が先に仕掛け上弦の月・朧から畳み掛け土俵際追い詰めますが刃皇は打っ棄りで仕留めます
自らインタビュールームにやって来た刃皇は国宝世代を褒めつつ経験・歴史・格それらの埋め難い差によって勝敗を分けたと豪語、それでも勝ちたいと言うのなら噛み締めなさい…一つ一つの経験を…濃密なものにしなさい、以上!と宣言、孤高の巨人です
12日目は鬼丸ー三日月で、三日月は鬼丸に真剣勝負の場で勝った事がなく、石高OBからの声援を受けながら草薙戦で完封、大典太戦では突きの嵐を捌き切り今場所未だ誰にも廻しを与えていません。三日月は雄叫びを上げ、立ち合い鬼丸のぶちかましには負けても瞬時に横に付け鬼丸封じです
無感の運足 月歩で「天賦の才」を見せる三日月に対し掛け突きからついに廻しを取った鬼丸が覇爛万丈の相を見せ両者滾ります。厳しいおっつけを鬼丸は背負い下手投げで強引に外し大股 鬼無双から百鬼薙と無限の崩しが止まりません
ところが三日月は上手捻りと手斧掛けの合わせ技 花天月地を放ち、鬼丸は跳んで小兵の「技」を見せます。最後は鬼丸が内掛け 龍尾刈りから腕取り 百千夜叉堕で仕留め力士とは刹那を生きる者を体現します。鬼丸は巨兜、北青龍と連破し2敗をキープし千秋楽はよりによって太郎太刀です
千秋楽:部長と因縁の対決
壊し屋:蜻蛉切は腰の負傷もあり太郎太刀にも敗れ13連敗となりヤマいく人間の気持ちを理解します。長門部屋で苦汁を舐めていた太郎太刀の「心」は不安の只中にありましたが、怪我をしても懸命に四股を踏む鬼丸に感化され「心」の火を入れ直し鬼丸のライバルになる為にここに来たと吹っ切れ今があります
四つ相撲を捨てた太郎太刀は押し相撲一本へと転向し、「国宝連中に割って入れるくらい…お前に胸張れるくらい強くなるから…次会う時は土俵の上だ!」と数珠丸を敗り千秋楽です。ところがその前に…14日目夜:鬼丸ー五條家という山場を迎えます!
鬼丸はレイナをワシに下さい!と迫り当然断られますがそれは博次なのです(笑)対するユーマは鬼丸を信用しており、可愛い妹を預けてもいいと思っており、小百合も同意します。ついに憲明が現れ、早速真っ向勝負の鬼丸にあっさり娘をよろしくと潔いです
鬼丸は月給130万で、その他手当等を合わせれば年収2000万程と「土俵には金が埋まってる」を地で行くのです。憲明はその収入があと何年続けられる?と冷静で、怪我と隣り合わせの厳しい世界でも鬼丸は相撲で幸せを目指すこの道を全力で進みますと誓います
二人三脚でワシ一人では見えなかった道の先…力士の頂点:横綱にと宣言、憲明も認めます。千秋楽、東横綱刃皇 雲龍型土俵入りでは由美と共に着物姿のレイナ、戦士の嫁として見守ります。千秋楽…相手は部長…ワシは最高に幸せな力士じゃと馴れ合わなかった両者の口が一瞬綻びます
12勝2敗同士、鬼丸への声援が上回る中、太郎太刀も堂々としています。鬼切は部長を見ていると「天才」にも届き得る「努力」ってやつの可能性を信じてみたくなると感じます。新入幕で優勝争いし、千秋楽が鬼丸という出来過ぎたドラマに太郎太刀は約束を果たしに来たと気張ります
立ち合い諸手突きでも止まらない鬼丸の勢いは凄まじく、激しい突きで太郎太刀はお前こそが俺にとっての「横綱」ーとしながら、張り合ってこそライバルだろうがと猛り、駿海は今場所の熱を生んでいるのは鬼丸だと説き、「横綱」たり得る資質だとし雄々しく二人が戦う場面でこの巻は終わります
まとめ
火ノ丸相撲の秀逸な点はジャンプという長期連載が難しい週刊雑誌に相撲という分野で長期連載を勝ち取った事が挙げられます。特に高校相撲編からの伏線を大相撲編で回収していく様は痛快で、本場所で次々と現れる強敵はかつての因縁が語られ、非常に腑に落ちる展開です
大包平に続き三日月も連破した鬼丸は前半の躓きを感じさせない熱量で躍動し、正に九月場所の台風の目として強敵をバッタバッタと倒していく様が爽快です。そんな緊迫した本場所に加えレイナを嫁に…というVS五條家まで挟むのですから、鬼丸激動の場所となります
力士の収入に驚きつつ危険と隣り合わせと本当にギャンブルをやっているような勝負の世界を生きる鬼丸ですが、レイナという伴侶と共にどんな時も二人で力を合わせて進んで行くと決意し、いよいよ千秋楽、ここで相手が部長という因縁も正に火ノ丸相撲らしい決着の付け方です
鬼丸が前半躓いた際も敢えて現れなかった太郎太刀の答えはこの土俵での一戦にあります。お互いギリギリ優勝に望みを懸けた大事な一番、そして1敗の刃皇の行方は…次巻最終巻です!28巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
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