前回までのあらすじ
タロット山荘殺人事件…雪崩が起き、スポーツ紙でも大々的に取り上げられる中、金田一と玲香は後日遊園地デートします。玲香は美雪の気持ちを確かめ今日に至り、玲香は小城を兄と呼び雪崩から助けられた、昔夢で左足をケガしたオオカミと仲良くなった事を語ります
北条は玲香の存在価値から敢えてスクープとせず、TV番組で玲香が「ライバル」へのメッセージとして「あきらめないわ」ですと宣言、美雪が勘付きます…
バルト城ミステリーナイト
10点で留年を避けられない金田一、朝基のウザさが光る中(笑)明智からバルト城ミステリーナイトに誘われます。定期テストで金田一は98点で朝基と同点、これは答案用紙のマークシートを使ったイカサマでした。美雪も一緒に3人で晴れて「蝋人形城」へと赴きます
途中人形みたいなマリア・フリードリヒを乗せ城の中は蝋人形だらけで、南山駿三が案内します。参加者は多岐川かほる・坂東九三郎・リチャード・アンダーソン・エドワード・コロンボ・当麻恵・真木目仁と一癖ある者ばかりです。バルト城所有権及び移設費用2億円を賭けミステリーナイト開幕です!
4日間閉じ込められ金田一・当麻・明智と意味深な描写です。舞踏会のような衣装に身を包み食事も豪華、金田一以外ビリヤードを楽しみ美雪が当麻の死体を見つけます!ところがこれは人形でビリヤードの球を2つ握っており3と9から坂東だと推理する金田一、ところが明智は逆に金田一が犯人だと強気です
ナインボールをしていた為6と9を間違えるのはその場に居なかった金田一と名推理、金田一が犯人で手紙の指示通り動いたのです。あくまでウォーミングアップで当麻を呼びに行くと全く同じ形で殺害されています!Mr.レッドラムが紛れていると読む金田一、コロンボが逆から読むとMURDERだと気付きます
日本犯罪史上例のない難事件の関係者が殺された3人
南山もレッドラムの正体を知らずただの雇われ執事でした。美雪はあの人がね…と意外な点に気付きます。1人で徘徊するリチャードは明智に何か気付き、犯人に襲われ串刺しにされます!放送がありリチャードの人形が横たわっておりまた見立てと見て部屋に急ぐとリチャードは死んでいます
金田一は蝋人形に杭を打ち込まなかった点を不審がり、見取り図からそれぞれ推理しますが皆見当外れです。暖炉の煙突から隠し通路を発見、すると今度は明智の蝋人形の首が切れておりドアを破ると明智は寝ており今度は坂東がおらず人形がありません。部屋に向かうと人形共々坂東は首を吊って死んでいます
リモコンのスイッチを入れると種明かしの放送が流れ何か釈然とせず、金田一は明智に会い明智犯人説を語ります。隠し通路等使う事で犯行は可能で、動機について問うと暖炉からコロンボが現れ中でリチャードのマントも見つけますが蜘蛛の巣を頭に付けておりここは未使用だと証明、明智犯人説はハズレです
明智をハメようとしており明智は日本犯罪史上例のない難事件が起こりある刑事がリストアップした事件関係者が殺された3人だとします。真木目と多岐川がマリアを襲いバルト城の主エリザベートの末裔で例の串刺しにしようとして南山に止められます。ここがリチャードの殺害現場だとはコロンボです
換気扇が壊れ室内は暑く人形の蝋が溶け泣いているようです。3日目、金田一は3つの謎について明智と「人形殺害」の隠された意図や西の塔の巨大な密室、「坂東人形」がいつどうやって運び去られたのか思案します。金田一は尻に塩が付き、これは坂東の人形が座っていた椅子で謎はすべて解けた…と確信します
Mr.レッドラムの犯行の真の動機=明智の執念とは⁉
美雪の気付きからワナを張る金田一、犯人が暖炉で探し物をしていると金田一が「回答編」を始め、レッドラムの逃げ場はありません。人形そっくりに殺害された死体はその人の部屋で見つかるという「法則」は心理的「刷り込み」でリチャードの死は例の杭を当てた人形に犯人が化けていた為成り立つのです
金田一は指輪を取り出し犯人は多岐川だと付きつけ、婚約指輪をしている事が美雪は気になっていたのです。明智の人形の首→明智無事→坂東の死の流れは坂東の人形のフリをしていたのが多岐川で「人形と入れ替わる」発想からリチャード・坂東2つの殺害のアリバイを手に入れたのです
多岐川は暖炉に衣装の証拠隠滅で燃やした際誤って手袋から指輪を落としてしまい暖炉に探しに来たのです。物的証拠がないと言う多岐川に椅子の汗の塩で証明した金田一、多岐川は犯行を認め昔語りが始まります。「犯罪研究会」で多岐川と恋仲にあった狭山恭次、完全犯罪を思いつき部員に実行を持ち掛けます
それは現金強奪で、新聞でも大きく報道されますが狭山は金は分けないと「完全犯罪」は「芸術」だと頑な、2人は3人に襲われ埋められますが多岐川のみ生きていたのです。多岐川は大阪で整形手術をし小説家となりあの連中が安心しきっている時にバルト城所有権をエサに一堂に集め狭山の犯罪計画で血祭りに上げると…
多岐川は火を放ち金田一は犯罪は「芸術」じゃないと諭し多岐川は自殺、建物が崩れマリアは絵の下の一角は絶対火が来ないように設計されてると導きます。結果残った全員が無事でマリアは行方不明、真下から狭山の白骨と「犯罪計画書」も発見、明智は例の事件は「3億円事件」だと明かします
この事件を追っていたのは明智の父で、時効を迎え親子2代の執念が実り父の遺影に明智がワインで乾杯するところでこの巻は終わります
まとめ
今巻では金田一の間抜けな犯行?、美雪の何気ない気付き、明智犯人説のミスリード等が彩りを添えています。特に今回の事件に因縁のある明智が犯人かもしれないという展開は読者を震撼させました。俗に言う「3億円事件」をここで持ってきた制作陣の力の入れようが凄いです
狭山諸共埋められかけた多岐川は執念で現在の地位を確立、今回のバルト城ミステリーツアーを考案し3人がノッて来る事を読んでいました。復讐の為の計画犯罪で、人形そっくりに殺害された死体がその人の部屋で見つかるという「法則」は心理的「刷り込み」なのがミソです
今回の動機も同情の余地はありますが金田一の言うように犯罪は「芸術」ではありません。明智家2代に及ぶ執念が実を結びラストで父の遺影にワインで乾杯する明智が印象的でした…13巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
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