前回までのあらすじ
オペラ座館殺人事件…時間になり有森は自らボーガンを浴び金田一の諭しも空しく有森は逝きます。こうして孤島のホテル「オペラ座館」で起きた殺人劇は静かに幕を下ろし、剣持は4年前黒沢の一人娘が服薬自殺していた事実を明かします。有森は一人暮らしで月島の遺書も見つかり悲しいすれ違いが生んだ事件だったのです
剣持はその推理力から金田一を認めます。金田一は有森の墓参りに行くと美雪を誘い、美雪は生まれて初めて学校をサボります…

「六角村」へ若葉の結婚式に赴くと…
小田切先生と若葉のラブホ写真が流出、金田一達の活躍でPTA会長と校長のラブホ写真と引き換えに退学が取り消されますが若葉は故郷の許嫁と結婚の為学校を離れます。結婚式の招待状が届き、小田切と共に青森県「六角村」に赴く事になります…「ダビデの星」をなぞらえた作りになっている不思議な村です
「塔の館」・「ツタの館」・「鎧の館」・「ステンドグラスの館」・「風見鶏の館」と周り欠けたダビデのエンブレムと位置がリンクしています。「時計の館」が若葉の家で若葉はよそよそしく、広い屋敷で迷子になり金田一は隠し扉から首のない’’ミイラ’’を見つけ時田に注意されます
結婚前夜の宴が催され、綺麗な若葉の後ろは兜霧子がいます。覆面の蓮城久彦も現れ会食、五塔蘭・風祭淳也・草薙三子・一色寅男・兜礼二と一癖も二癖もある面々です。若葉は「教会で一夜を過ごす」’’しきたり’’ですが、唐突に教会の鐘が鳴りカギを車のウインチでこじ開けると若葉の「首のない死体」が横たわっています!
「七人目のミイラ」がもらいうけたと記されており、俵田刑事が捜査、金田一は密室殺人だと断定し霧子が行方不明の為疑われますが、剣持の電話で俵田も金田一を認めざるを得ず、死体は若葉本人と確定します。住人の奇行に悩まされる金田一、気落ちする小田切を慰めます
「エデンのリンゴ」と「七人目の少女」
次の朝’’右足’’を切り取られた一色の死体が見つかり時田は「あの日の六人」は皆殺しだよと呪いと信じています。今度は草薙が’’左足’’を切り取られ死んでおり、それぞれミイラとリンクしている事が分かります。教会を調べる金田一は十字架が落ちて来て小田切に救われ、脅迫状が記されています
金田一はこの村の秘密「エデンのリンゴ」を発見、今度は霧子の死体が見つかります。ところが今回はミイラとリンクしておらず、金田一は時田を問い詰め村の過去から七人のミイラの起源をつき止めます。ミイラを調べる際時田が心臓発作で死に、金田一は例のラブホ写真から何か閃き剣持に電話します
塔の館で美雪が五塔に捕まりますが、火事になり五塔は殺され美雪は無事、礼二が重要参考人として連れて行かれます。怖くて1人で寝られない美雪と一緒にベッドで昔語りすると金田一は「七人目の少女」は生きていたと閃き、後は’’密室トリック’’だけです
教会のベッドの脚の下に’’カラスの羽’’が挟まっており、金田一は謎はすべて解けた…と確信します!剣持からの資料も届き金田一は’’風見鶏の館’’に関係者を集め「七人目のミイラ」の’’正体’’を暴く気です
27年前の事件の顛末と今回の事件の犯人は⁉
金田一は「六角村」そのものが大麻の密売によって造られたと暴き、27年前の事件で七人の少女のうち一人がトリックを使って生き延びたとします。人形を切断する事で’’六体’’の人形が’’七体’’となり、彼女の意思を受け継ぐ「分身」がこの復讐劇を計画したんだと…
金田一は霧子の「これで二人」が犯人のワナで若葉本人が殺したと断言します。教会の首なし死体は実は霧子で、車のウインチを使い天窓ギリギリまでベッドを引き上げ若葉は霧子の首だけ持ち出します。その際例のカラスの羽がベッドの脚に挟まったのです
犯人は若葉と待ち合わせ絞殺、改めて教会に侵入し霧子の死体と入れ替え若葉の首を切断、’’死体入れ替えトリック’’の痕跡をうやむやにします。風祭が例の人形のトリックを考案し詩織を逃がしたのです。犯人はその息子の小田切だと金田一は凄みます=’’六星竜一’’だと
本物の小田切は不動山市の白骨死体で若葉に近づく為に殺し、成りすましたのです。例のラブホ写真の決定的な違いが若葉だけがカメラに気付いていない事から金田一は気付きました。剣持の調べで小田切が偽物だと断定し、竜一は本性を現します!
格闘技を仕込まれており巧みに美雪を人質とし、母から復讐を刷り込まれ詩織は竜一が殺したのです。竜一は風祭だけは殺さず礼二を撃ち殺し、大麻畑にガソリンを撒きます。すると蓮城が竜一を刺し撃ち殺され、金田一と格闘、金田一も腹を撃たれます!
それでも金田一は若葉の気持ちを説き、竜一も心から愛していたのです。風祭が竜一を撃ち、許せ息子よ…と真実を明かします。風祭は大麻畑に火を付け自らを撃ち金田一は悲しい夢を見て幸い急所は外れていました。連城も死に、実は彼はかなり前から小田切が犯人じゃないかと睨んでいたようです
金田一は若葉が竜一に抵抗した痕跡が見つからず、自分が殺される事を薄々感づいていたとし、例の写真でかたく結び合った二人の手に27年前の悲劇が生んだ残酷な運命の流れの中でそれでも離れまいと愛し合った二人の’’想い’’のあかしのように感じる所でこの巻は終わります
まとめ
数々の伏線が張り巡らせてあった今回の事件、単純な連続殺人ではなく周到に計画された復讐劇だったのは驚きでした。若葉は内心小田切の本性を悟りながらも愛し合っており、ここがより事件を複雑化させます。一見頼りない小田切が実は獰猛な六星竜一だったという真相です
金田一少年の事件簿は象徴的な見立てや法則が出て来ますが、今回は「六角村」の「ダビデの星」と「七人目のミイラ」というキーワードでした。一見七人のミイラがあると見せかけ巧妙に切断・入れ替えて「七人目のミイラ」=詩織が生きており、風祭との子が竜一=小田切だったという顛末です
金田一は一連の殺人から名推理を展開、小さな痕跡も見逃さない胆力と、今回は腹を銃で撃たれても凄む漢気を見せました。うだつの上がらないスケベな金田一ですが、明晰な頭脳と出くわした事件を解決してしまう推理力、そして強い意思を感じさせます…3巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
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