前回までのあらすじ
露西亜人形殺人事件…高遠はトリックノートを自分と重ねて昔の自分を見て同情したのかもしれません。その後山之内の未発表遺作が送られて来ていつきは「露西亜館 新たなる殺人」という題で今回の事件と似ていると…公園で子供にマリオネットを操っていた男が高遠で本当の「指揮者」は山之内本人だったとします
実は候補者全員に殺意を抱いており桐江を殺人に誘う巧妙な罠だったと…私と君は決して交わる事のない平行線だがいつも隣にある、双子の兄弟のようにね!と去り、このライバル関係は続きそうです…
茜島のゴブリン・サーカス
ミス研夏合宿の候補地を格安でプロデュースする羽目になった金田一(笑)剣持の伝手で茜島のレッドサンリゾートに赴き視察、八木沼順三は剣持夫婦の馴れ初めの地だと得意げです。毎年ハイシーズンが近づくと公演の為に小さなサーカス団が来てくれ、それはゴブリン・サーカスです
黒木田紅子、3人ピエロの「ジョーカーズ」、海老沢弓人、犬神拓郎と紹介されると悲鳴が聞こえ、それは小椋乃絵留で倉庫が荒らされ巨大な足跡と共にMONTER IS BACKというメッセージが残されています。小椋顕人と姉弟で、アネット根来が諭します。海老沢はMONSTERの復讐だと騒ぎ、ピエロ達は剣持を警戒します
空中ブランコで息ピッタリの小椋姉弟、犬神は美雪に台風が来るから予定通り帰れないかも…と話します。金田一は乃絵留の着替えを覗き見、美雪にファイヤーショーにされます(笑)無人の電話交換施設が全焼し、更にホテルの敷地内で煙が上がり巨大なドラム缶の下敷きになりエドが焼け死んでいます!
ドラム缶は中身満タンで持ち上げるだけで4~5人必要、アネットが石川は無関係であの大男は1年前ここで行方不明になってそれっきりだと言います。剣持はアリバイ検証を始め、金田一は犯人の’’目的’’はまだ達成されていない可能性を示唆、剣持は検証して全員シロとは言い難いとします
ドラム缶・密室トリックの謎を解け!
剣持は石川について語り、失踪し前団長の殺害容疑が掛けられてると…同じ様な手口の為団員達に復讐を企ててる可能性があり、現場検証でドラム缶は総重量400キロを超えます。アネットは石川の怪力なら動かせるとし、火文字の燃えカスはスモーク花火のようで意味深です
フミは顕人に惚れ英語劇の台本作りを手伝わせ、死んだ父もフミ同様演出兼役者で誰もやりたがらない汚れ役をするのがまとめ役の団長の仕事だと口癖だったと話します。金田一も乃絵留に惚れ言い寄られますが、乃絵留は金田一耕助の孫を上手く利用しているだけのようです
金田一は乃絵留に呼び出され例の覗きをした部屋からサムが「モンスター」に燃やされようとしている場面を覗き見します。部屋から煙が出て鍵で開けると密室に「モンスター」は居なくサムの焼死体だけです。紅子は悪霊と騒ぎますがアネットはサム本人の仕業としジョンは発狂します
通気孔に関節を外せる海老沢が挑戦しますが入れず、金田一は美雪とのやり取りからドラム缶のトリックを見抜き’’計画犯罪’’だと断言、また、冒頭の剣持のクイズのくだりから錯覚と閃き密室の’’模型’’を作ります。フミは顕人と急接近、金田一に手伝いさせられ大事な証拠品の6本線の謎を知っており、謎はすべて解けた…と確信します
あの朝アリバイがあった人物こそ容疑者
関係者を集め、金田一は何と美雪と2人だけであのドラム缶を持ち上げ、中身が入っていなかったからです。ホースを使い上から下のドラム缶に中身を移すトリックで空のドラム缶をエドの上に置いてから流したのです。ジョンのピエロのメイクを落とすと大久保勇夫で6年半前指名手配された3人組のひとりです
エドの死体を発見しメイクを落とされるのを恐れ燃やしたのは2人でしたが真犯人の思惑通りで鉄壁のアリバイを手に入れたと…逆説的に言えばあの朝アリバイがあった人物こそ容疑者だと金田一、答えは例の紙切れで、一二三から金田一二三の事でレポート用紙にメモしたのが下の紙に写ったのです
犯人は顕人と乃絵留姉弟で、金田一が密室殺人の謎を解きます。海老沢に例の部屋を下から覗き見させると「モンスター」が美雪を燃やそうとしており、ドアが開きそれはフミでした。実は模造紙で室内が妙な形に仕切られており目の錯覚でそう見えていたのでした
通気孔は小さい顕人なら通れ、乃絵留は犯行を認め顕人は父と石川が3人のピエロに殺されたと明かします。顕人は共犯ではなく1人で計画立てたと逃げ空中ブランコから自決を試みますがアネットに助けられ、皆から生きろと諭されます。事件後ジョンは犯行を否認、1週間後金田一は再び茜島に訪れます
そこには何と死んだはずの石川がおり、記憶喪失も回復の兆しがあり2人の可愛い妖精の空中ブランコから石川は記憶を取り戻し、観客に真のゴブリン・サーカスを見せるところでこの巻は終わります
まとめ
今回はサーカス団が取り上げられ、ネタの豊富さには事欠く事がありません。特にドラム缶と密室殺人のトリックが秀逸で、重いドラム缶も空なら2人でも運べ、密室殺人も目の錯覚を狙った巧妙なもので顕人なら通気孔を通れた等サーカス団ならではのトリックです
狙われた3人が常にピエロ装飾していたのも素顔を明かさず6年半前の「日帝銀行5億円強奪事件」に関わっている事も判明、強盗犯と気付いた小椋姉弟の父は彼等に殺され動機となります。若い2人の犯行でしたが、よく練られたもので大人顔負けの犯行でした
ラストの空中ブランコのくだりが涙を誘い、肝心の石川も記憶を取り戻し大団円を迎えます…自決や収監が多い金田一少年の事件簿ですが、こうやって感動的なラストで締めるのも味があり物語として上出来です…26巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
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