前回までのあらすじ
吸血鬼伝説殺人事件…緋色は自責の念を感じて生きており、もうすぐキミのところへーというところで金田一は湊が輸血すれば助かると閃き、両者は一命を取り留めます。金田一は高遠の手紙から今回のペンションが新たな事件の「温床」になりかねない…その挑戦に真っ向勝負だと単身自転車を漕ぎ進めます…
三度オペラ座館へ…
三度オペラ座館に赴く金田一達、黒沢オーナーが事故死し偲ぶ公演会に船で向かうと氷森冬彦、響美土里、白神海人も一緒です。響静歌が待ち受け、白神は館の以前の所有者一族と判明、ファントムの仮面をあしらった招待状を持って来ますが静歌は出した覚えがないと不可思議です
劇場では城龍也、絵門いずみ、湖月レオナ、三鬼谷巧、影島十三と揃い、氷森と湖月は同い年です。4人組による小演劇「オペラ座の怪人」が明日公演です。白神は湖月にストーカー事件の話をしこちらも意味深です。夕食時停電しますが静歌がロウソクで対応、湖月は火が苦手な様です
影島は離れの塔を眺めるのが好きで、幻想的な眺めですが塔のロウソクが上から消えていく不思議です。劇のリハーサル時衆人環視の中劇場で絵門が巨大シャンデリアの下敷きになり即死です。ワイヤーカッターで切られた形跡があり白神は殺人だと断定します
電話・非常用の無線機も通じず犯人は怪人「ファントム」だと白神、金田一達は塔を調べ剣持が1人残るとファントムに襲われます!探偵気取りの白神はカッターが「間接的な凶器」だと断定、犯人はとてつもなく冷静で頭のいい人間と一致します
氷森と城は「ファントム事件」について言い争い金田一が気にしますが影島はキミには関係ないと内緒の事件のようです。塔に剣持の警察手帳があり塔を調べるとファントムの住処の様な部屋があり、ここで湖月からファントムに襲われる…と電話があり、三鬼谷が足をくじき置いていきます
更に静歌が靴が脱げたと離脱、影島が残り金田一は湖月の元へ急ぎ部屋で窓ガラスを割られ倒れています。白神は霧生鋭治が生きてこの島に隠れ潜んでいるとし、「あの事件」の真相を迫りますが金田一は湖月を休ませ、足を挫いた三鬼谷を迎えに行くと彼の手首が落ちています!
剣持の安否も心配され、図面から海岸のルートが気になり2人で探索すると三鬼谷が殺されています!
2人の探偵の推理合戦
美土里は軽井沢の火事について触れ、金田一は関係者から霧生が役者として致命的な大ヤケドを顔に負ったと明かされます。影島は敢えて霧生にファントム役をやらせ湖月との名演が話題となり、スターになった湖月の舞台に必ず仮面の男が現れそれは霧生でいつしか湖月は誘拐・監禁までされます
ここで美土里の悲鳴で冷凍庫に入ってた大量の鶏肉が散乱し、白神は明らかにファントムの仕業でこの中に居ると…皆慎重になり2階に部屋替えする事になり金田一は剣持の不吉な夢を見ます。白神が全員を集め絵門・三鬼谷を殺し剣持を拉致したのは城だと断言します
絵門殺しのトリックを暴き、三鬼谷も別ルートで殺害・放置し湖月の窓もドライアイスで極低温に冷やし室内の石油ストーブとの温度差・台風がもたらした強い風でぶち破ったと…金田一は穴だらけだと反目し、二重の確率の低い「偶然」に支えられなければ実行不可能だと反論します
結局城を一晩閉じこもって貰う事になり、長い夜になりそうです。湖月は鍵の袋に毒グモを発見、暖炉に投げ込み城が本当に劇場に閉じ込められる事になります。何とか火が消え3つのカギを取り戻し城の元へ夜食の差し入れに向かうと城が劇場で死んでおり密室殺人です!
血痕跡が地下に続いており劇場の真下は日記にあった地下迷宮です。金田一は電池を拾い更に奥を探索、消息不明だった剣持とバッタリで白神は犯人は「ファントム」説か城だとしますが金田一は今ものうのうと生きていると完全に敵対します
塔で美雪が画鋲を見つけロウソクの謎も解け絵門殺害トリックに挑みますが図面的に全員不可能です。金田一はワイヤーの長さが不自然に長い点を気に掛けます。女郎蜘蛛騒ぎと砂時計から閃き、例の木漏れ日の地下で剣持に肩車され金田一は悟り謎はすべて解けた…と確信します
巧妙に仕込まれた心理誘導トリックとは⁉
静歌に動機が霧生の存在にあると問い、金田一は関係者を集め回答編です。金田一は警報ベル自体犯人の計画通りで冷凍された鶏肉もドライアイスを使っており、更に例の塔のロウソク消えの件もドライアイスを使ったトリックだと看破、ゆっくりロウソクを消して階段を降りていったような演出をしたのです
剣持は犯人にとって都合の悪い行動=劇場の’’鍵’’を預かった件から拉致され、「スリッパ紛失事件」も犯人の仕業だと…絵門殺害トリックも「節穴」と「地下空間」を使いリールのヒモを伸ばし絵門がシャンデリアの下に来るのを見計らって切り、それは湖月だと断言します
湖月は泣き演技にも見え、金田一は三鬼谷が湖月を溺愛し腕に文字を掘る程ですから例の足を挫いたのも芝居だったと…窓は自作自演で割り、塔~館の往復時間を2人が落ち合う事で省略、アリバイを手に入れたのです。三鬼谷の腕を隠し持ちあたかも自分が発見したかのように置いたとも…
流石に湖月も動揺が隠しきれず、金田一は畳み掛け毒蜘蛛・スリッパ騒ぎも密室トリックのお膳立てだったとまくしたてます。鍵袋毎毒蜘蛛を焼き殺すよう仕向けた心理誘導トリックで、鍵は偽装の鍵と入れ替えており、城殺害後煙突から鍵を投げ込み暖炉から発見させ密室トリック完了です
湖月は物的証拠と迫りますが金田一は例の電池を見せ回収出来なかったのはロウソクに火を付けられない湖月の心理で、電池の指紋も状況的に金田一の指紋が湖月の指紋の上につくはずがなく、これで湖月は観念、自身は「ファントムの花嫁」である事を選んだと自白します
例の大ヤケドを負った霧生と結ばれた湖月は絵門に2人で居るところを見られ騒ぎとなり霧生は消え、3人が火事を起こし樹海の遺品から「ファントムの花嫁」として手を下したと…劇場に火を放ち金田一は湖月を例の地下迷宮の崖っぷちの洞窟に導き無事です
静歌は霧生が黒沢との子と明かし事件は幕を下ろし白神は負けを認め金田一は放蕩の旅から実家に帰る事を決意、すると明智から高遠が脱獄したと電話があり因縁の2人の対決が現実味を帯びるところでこの巻は終わります
まとめ
三度訪れたオペラ座館で更なる悲劇が待ち受けており、絶海の孤島という事もありまたしてもお約束のパターンですが、内容的にはまた違った趣がありこちらも楽しめる内容です。特にドライアイスを使ったトリックが秀逸で、湖月のか弱さを逆手に取った大胆な犯行が明らかになっていきます
霧生と結ばれた湖月でしたが3人に殺されたと今回の復讐を実行に移します。ヒントとして湖月が火が怖い描写等もあり勘付いた方もいたかもしれませんが、今巻もライバル探偵役に白神がなり、ミスリードを施し読者を混乱させる手法が巧みです
因縁の場所で三度の惨劇となった今回、黒沢は死にオペラ座館も焼け落ちもうこの悲劇は繰り返さない事を祈るのみです。巻末で高遠脱獄の報が入り風雲急ですが、放蕩の旅を続けていた金田一も実家に戻り態勢は整いそうです…29巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
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