前回までのあらすじ
獄門塾殺人事件…絶望した濱に高遠がすり寄りここで金田一は赤尾が高遠と明かします。剣持も到着し逮捕…というところでかわされ氏家は薔薇を刺され、濱も同様…のところ氏家に救われます。ついに高遠を追い詰めますが、「炎の脱出マジック」から川に飛び込み、捕まったのは人形、ところが金田一は見抜いています
結局高遠が一枚上手で逃げられ、最後に金田一は濱に藍野は殺していないと元気づけます。赤点スレスレの金田一が2人に置いて行かれ、公園では高遠と思われる男がマリオネットを操っています…
遺産相続の為「雪稜山荘」へ
金田一宅に黒沼繁樹が現れ仮面を付けたかのような風貌です。放浪中親切にしたおじさんから遺産相続で全部で8人ひとり当たり1億円手に入るというのです。「雪稜山荘」に相続資格者が集合して相続が決定する日まで過ごす事が条件で、5合目は険しい中瀬倉未沙・鱒井渉カップルと遭遇、一緒に向かいます
耶麻田雪雄が出迎え、月枝麻央、堂崎一志、相島豪太がおり、比良木麓郎が雪霊伝説について語ります。部屋割りを渡され遅れて来た堂崎次生は一志と双子の兄弟ですが仲が悪い様子です。夕食時次生・瀬倉は現れず雪雄がストーブ用灯油タンクを配り重いです
部屋に瀬倉はおらず灯油タンクだけ置きますが、その後も現れず部屋を開けるとピッケルで胸を刺され死んでいます!ストーブを使った形跡もなく密室状態で比良木は雪霊タカハシの仕業だと怯えます。各部屋から呼び出すと相島はおらず、次生も出て来ない中剣持が事情を聞き揉め出します
雪霊伝説について比良木は遭難した佐伯が無線でタカハシとヤマダの二重遭難について語り出し、その2日後佐伯の死体が見つかりまるで瀬倉のようだったと…無線は通じず下山する話も遺産相続の資格を失う為誰も「うん」と言いません。次生に加え相島が起きて来て、事情を把握、次生は意味深です
「真の動機」と「失われた輪」
美雪が眠れぬ夜を過ごし翌朝瀬倉の死体が消えています!起きてる者を起こしますが、今度は血まみれのピッケルが投げ込まれ鱒井が死んでいます。全員の靴が無くなっており、今度は次生が下山すると置手紙を残し消え、金田一はれっきとした殺人事件で生きてる雪霊がこの中の「誰か」かもしれないと感じます
遺産相続の他に「真の動機」があると読む金田一、何人かが俺達の知らない「失われた輪」で繋がってると…一志はあの「遭難事故」が「真の動機」だとしたらと閃き逃げ出しますが何者かに襲われます。金田一は元新聞記者の耶麻田から聞き取りをしある遭難事故が「失われた輪」だと感じます
一志に確かめに行くと部屋におらず、逆に次生が戻ってきます!金田一は双子を装い1人2役を演じていると看破しますが、外で一志が死んでいます!金田一の推理は的外れで久々にやらかし落ち込みます…気を取り直し一志の携帯から「幽霊~!」という言葉がボイスメモされています
金田一は次生が何か隠してるとし探すと風呂場で殺されており、壊れたマグカップがダイイングメッセージの可能性があります。金田一は各部屋の灯油の残量から密室の謎を解き、瀬倉の死体がガチガチに凍っていた件を探ります。金田一は皆で七並べをやりルールの件から閃き謎はすべて解けた…と確信します
関係者を集め瀬倉は液体窒素を使い体もバラバラにしてフィギュアの様に冷凍死体を組み上げたと…灯油タンクに瀬倉の胴体部分が隠されており、作業を終えてから灯油を入れたのです。瀬倉の死体は電動ノコギリで細切れにし鉄格子ごしに運び出したのです
完璧なアリバイを手にするという完全犯罪計画のトリックとは⁉
金田一は雪霊の正体を明かし割れたマグカップの向日葵が弁護士のバッチの事で黒沼と断言します。双子の兄弟は「下山を諦めた」と言って次生が戻って来た時まで金田一の推理通り兄の一志が1人2役を演じていたと…黒沼もその仮面を被る事で2人1役となり巧妙に鱒井を生贄にします
黒沼は次生が1人でやったと言い逃れしますが金田一は本から次生の指紋が見つかったら?と追い詰め黒沼は観念、4人を殺したと認め素顔を晒します。2年前の遭難事故で神城唯夏に助けられ、恋仲となりますが二重遭難で亡くなり、ボイスメモから緊急避難ではなく人殺しに遭ったと確信したのです
唯夏の仇を「雪稜山荘」を舞台にした復讐劇の準備に取り掛かり双子が反目している事から「1人2役」と「2人1役」を同時に行い完璧なアリバイを手にするという完全犯罪計画を思いついたのです。黒沼は全員の靴を隠した場所に剣持を誘い込み巧みに単独逃げ氷壁岳で死ぬつもりです
幸いすぐ黒沼は見つかり雪霊が導いてくれたのです。唯夏の想いを金田一から告げられ黒沼は改心し耶麻田は「雪霊タカハシ」は確かに居た、山を愛する1人の優しい男の魂だったと感じます。後日いつきから氷垣のサプライズが明かされ、氷壁岳は人を狂わす魔の山で金田一の母が遺産目当てで豪遊しているところでこの巻は終わります
まとめ
今巻も雪山でのクローズドの舞台、肝となるのは黒沼が覆面らしき様相で、双子の「1人2役」が黒沼も併せた「2人1役」を同時にこなしていた事でしょう。絶妙な匙加減でこの3人が入れ替わっており、3人が実際居るかのように記され一時金田一も騙されてしまいます
双子の入れ替わりはともかく、覆面の黒沼まで結託して入れ替わっていたという驚愕のトリックはかなり難易度が高く解くのは難しかった事でしょう。例によって雪霊伝説になぞらえた展開で閉ざされた雪山という事もあり遺産相続に上手い話はありませんね(笑)
前巻の赤尾の件もありまた高遠が変装している?というミスリードもあり油断出来なかった今巻、雪山ものの新たなトリックに読者を誘いまた金田一は逞しくなります…金田一の母が相変わらず不憫ですが(笑)父に地道に稼いで貰いましょう…31巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
コメント