前回までのあらすじ
異人館ホテル殺人事件…蓮子が夢見た女優の未来を用意して花江がデザインした衣装で舞台に立つという夢を支えに生きていた事が分かり蓮子は号泣します。どんなに悪い状況でも「最悪」の道を避けるだけの選択の余地は残っていると双子の幼い写真を見て金田一が染み入ります…
四ノ倉学園=「首吊り学園」
母から成績UPを目論み四ノ倉学園に通う事になる金田一、そこには千家貴司もいます。森宇多子の首吊り騒ぎがありますが皆慣れ事になっています。浅野瑤子は金田一に難問を出しますがクリアし、授業料免除で入学を許可され、代わりにイタズラの犯人を見つけて欲しいと言われます
室井矢一は反抗的で、「首吊り学園」だと騒ぎ今度は「コ」に続き「モ」という文字と共に「地獄の子守唄」から脅迫状が残されています。久米裕一郎は浅野を疑っている様子です。宮園彰は花壇を荒らされ怒っており、室井を古谷直樹が止めボスのようです
室井達が深町充の自殺の真相を知っていると宮園、翌日テストでお袋同伴の仁藤伸幸も古谷の手下です。席はランダムとなり金田一は早々に寝始め、後ろの室井がカンニングします。阿久津國夫・森も居る中悲鳴が聞こえ、密室をこじ開けると浅野が倒れており、古谷が首を吊って死んでいます!
「リ」と残されており、梶間軍治はあの時と同じだ、「呪い」だと怯えます。森は「深町君の亡霊」だと言い仁藤は怯えています。剣持に状況を説明した浅野ですが重要参考人として連れて行かれ、阿久津は彼女は我が身を犠牲にして粛清を加えたと優秀ですがちょっとイッちゃてます(笑)
夜金田一は子守唄が聴こえ深町の絵を見つけ、森は絵の少女の髪が伸びていると狂気じみています。剣持は浅野の他に室井も容疑者と言い、梶間は50年前から続く呪いだと戦後「戦犯」の監獄で今回の事件とそっくりな事が起きたと…40年の管理人生活で持ち主が変わっても必ず首をくくる者が出たのだと語ります
金田一が浅野の潔白を証明も、ざわざわした胸騒ぎが…
宮園は深町は古谷や室井達のイジメで自殺したとし、翌日浅野復帰もまた子守唄が聴こえてきます。室井が死んでおり「ウ」と記され死後3~4日経っています。また浅野は連れて行かれ、千家は以前深町がイジメられている現場に出くわした事があり、見過ごした自分が今度は狙われるのではと怯えます
司法解剖の結果室井と古谷は同日に殺され、同一人物の犯行で間違いありません。浅野は学校を辞める事になり、自宅でアルバムを見せ深町の顔も把握、すると深町の絵の女の髪が伸びている事が分かります!祖父の件からも浅野が疑われるのは当然で、仁藤は怯えています
例の絵は少しでも触れればブザーが鳴り絵に細工は出来ません。金田一は最後の獲物=浅野だと彼女の家に向かいますが無事で、ラッキースケベから密室トリックの謎を解き窓の「5cmの隙間」がカギです。金田一は関係者を集め浅野の身の潔白を証明、古谷・室井殺しは不可能だと説きます
浅野が見つけた古谷の首吊りは実は人形で、窓の隙間から捨て犯人は古谷本人で「偽装自殺」だと断言します。室井も同様で、浅野は無罪となり子守唄が聴こえ仁藤が死んでおり「タ」と自筆の遺書も見つかり事件は終わったかに見えましたが、金田一はざわざわしたイヤな感じから「何か」「警告」していると冷や汗です
宮園の夕顔の花の件から金田一は思い直し、ボタンの掛け違いを美雪に指摘され閃き、答案用紙・遺書から真犯人を特定、謎はすべて解けた…と確信します。関係者を呼び出してテストを行い、「地獄の子守唄」はこの中にいると断言します。テストは犯行に関わる50問で正解を知っているのは「犯人」だけです
一時「偽りの推理劇」を演じてしまった金田一、真の回答へ
最高点は15問正解した千家で、たまたま平均より多く正解しただけです。金田一はむしろ逆で0点を取る確率は7万分の1、それが浅野だと付きつけます。金田一の心理的ワナで、「偽りの推理劇」は彼女が用意したものだと…ラッキースケベは浅野からのヒントで「作られた回答」を信じ込んでしまったのです
深町を自殺へ追いやった3人への浅野の復讐で、仁藤にワザと自身が犯人だとウワサを流させ鉄壁のアリバイを手にする下準備をします。「子守唄」の「第3の意味」は順番の入れ替えで、コモウリタの順で犯行に及び、室井の答案用紙から実は一つズレた時間に受けさせており、彼だけ組み替えていたのです
証拠はあるのか問う浅野に、金田一は自身の答案を重ね同じ答えで室井がカンニングしていた事が判明、マークシートだから起きたのです。浅野は仁藤の遺書で食い下がりますが脅して間接的な遺書を書かせ、彼は筆圧が強く遺書を折って浅野瑤子様という宛名が浮き出て詰みです
金田一は深町の写真から夕顔じゃなく朝顔で夜中の3時頃撮られた物で恋人同士だったと見抜きます。絵の才能がある深町はイジメられており、そんな彼に惹かれた浅野は一夜を共にし例の絵のモデルとなりますが、深町は自殺し古谷達がアソビの首吊りごっこの延長で殺してしまった事を聞いてしまいます
これが動機となり「首吊り学園」で起きた殺人事件は幕を下ろし、拘置所に赴いた金田一は痩せた浅野に深町の絵を見せ、ナイフで削りこれは浅野がモデルだったのです。深町は復讐なんか望んでいなかったと諭し、浅野も改心、金田一はエリートコースに進むだけが人生じゃないと学校をサボるところでこの巻は終わります
まとめ
起承転結が決まっている作品の為、読者の飽きが気になったのかもしれません。今回の事件の肝は犯人=浅野が一時疑われるも金田一の名推理で無実となり、ところがこれは浅野が仕向けたワナで、気付いた金田一が真の回答を提示、結局最初から黒に近かった浅野の凶行と判明します
金田一の推理は毎回必ず正解というお決まりのパターンでしたから、読者もその事から受け身になりがちです。今回金田一に悩んで貰う事で、彼も絶対的ではない一人の高校生で、誤りもあるという教訓となる回となりました。それだけ金田一の推理は鋭く、時に諸刃の剣になるのです
こういったパターンを覆したり後述する千家等レギュラーキャラの入れ替わりを駆使し読者に飽きさせない工夫が見て取れます。浅野の純真な深町への愛が彼の絵から伝わった事は救いでした。更に勢いを増す金田一少年の事件簿、9巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
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