前回までのあらすじ
公園の段ボールハウスに行き着きます。遠峰は美女を抱きワイン談議に花が咲き相手は西園寺社長というパトロンです。雫は土井ロベールを紹介され豊多香の息子とバレ試してやるとワインを掘り当て飲み比べさせます。テイスティングで2本はその味わいと想起は異なります
雫は同じ畑の年違いの「兄弟」だと看破、ロベールは「テロワール」とし、褒美にお前達の望む「1本」を譲りついにギルマール登場、美島と15年ぶりの再会で、例のワインは2人が見つけた、中身は神様の悪戯だと意味深です…
急ごしらえの会食テイスティング成功
’’神様の悪戯’’だと同じ’99年ものをデキャンタした雫、商談相手は女性だと見抜いています。流石のテイスティング能力で’95年のサロンと言い当て、美島は料理とのマリアージュに不満げです。再会の乾杯で今日は15年前最後に食事した日で同じくアンリ・ジャイエを飲んだと…
当時留学生だと思われた彼女はブルゴーニュ有数のブルジョアで元伯爵令嬢、’’婚約者’’がいたのです。美島はロマネ・コンティに替えてくれと格の違いを指摘しますが、女性はそのまま美島に飲ませ、雫はこのワインの本当の姿が見えるはずだ…と感じ、事実美島は涙します
女性が伝えたかった事は「ずっと一緒にいたい」というメッセージで、雰囲気も良くなり雫達も交えて飲むと美島はワインを割ってしまった事を正直に明かし、雫が用意したのはエマニュエル・ルジュで似通っていたのはアンリが造っているという噂があり正に’’神様の悪戯’’が生んだワインなのです
アンヌは喜び会食は成功、デザートワインを知らない雫に説明し皆で飲みアンヌはチョコを取り落とし雫は微かなカビ臭さに敏感でブショネだったのです。持病があるアンヌは黙っててと口止めしますが、雫は正直に美島に脳腫瘍だと伝えます!15年という月日に美島は雫が若いがその若さも悪くないと評します
早急にアンヌを追いかけた美島、1本のワインが生んだ誤解が解け、モノポールで藤枝にご馳走になり雫は早くあのワインを飲みたいとし、みやびも遠峰とのテイスティング勝負に同席する事になります。一方遠峰はテイスティングルームで何と数多のシャーレに土を盛り、口にし畑を当てる芸当です
西園寺は天才と狂気は紙一重だと感じ、雫にも興味を抱きます
軍配は遠峰も改めて12使徒探しの対決へ
2日後神崎邸にそれぞれのバディを連れて来た2人、雫は勝負というよりそのワインが飲みたいだけなんだと投げやりです。霧生は豊多香が最も信頼していた旧友のベテラン・テイスターを招集、何とロベールなのです!2人はブラインドテイスティングし、雫は過去を振り返り涙します
先に言葉を発したのは遠峰で、ミレーの「晩鐘」だと揺るぎない「テロワール」を表現、対して雫は母との永遠の別れーとし幼い頃の思い出を閉じ込めた「一房の葡萄」だと表現します。シャトー・ムートン’82年と明かされ、正に母が亡くなった年です
格の違いを見せつけた遠峰、ロベールは豊多香が言った言葉通りで判定は明白、遠峰の勝利ですが雫は割り切っており親父のワインは譲れない、「神の雫」と「12使徒」は俺が探し出すと宣言、ワインを持ち帰りロベールは雫が「別れのワイン」の真意を読み解いたと認めます
試合には勝ったものの深遠なワインを本当に理解したのはどちらなのかーロベールは遠峰に宿題です。セーラはビール会社の広告撮影で帰国、遠峰と顔見知りです。みやびはワイン事業部の契約スタッフに納まり2人で赴くと閑職のような所です
セーラの撮影で雫はリーマンぽくなくてカッコいいと褒められ、流れでワインを飲みに行く事になります。築山は大御所でワインに煩く、ワイン講釈を始めますがセーラは’’幼児殺し’’と表現、雫に同意を求め、雫は神がかったデキャンタを施し更に容器を振りムートンが開きます
イタリアワインに煩い本間長介登場
セーラは20歳ながら5歳から飲んでおり、雫に興味があるようです。セーラは遠峰と落ち合いムートン’00年も’’誰かさん’’が強引に脱がせたらけっこういいボディしてたと評し、「マダム・ビーズ・ルロワ」の若い頃みたいです。ワイン事業部に本間長介登場でみやび悶絶です(笑)
テイスティング・グラスの20本の輸入候補ワインをブラインドで試飲となり川俣はステンレス・ポットに吐き出さず呑兵衛です。すると長介は飲まずにポットに流し捨て16番・20番以外0点の採点です。これはその2本のみイタリアワインで想像を絶するくらい世界のワインを飲んでるかもしれません
遠峰はセーラにワイン界の現状を伝え野心に満ちた若い力によって勢力地図が塗り替えられる時期に来ているとし、セーラは彼をお兄ちゃんと呼びます。テイスティング後採点の基準についてみやびと語らい、雫は長介や河原毛部長の才能からワイン事業部の輝かしい成功を祈り乾杯します
長介は伊ワインのみ扱うと聞かず、雫と喧嘩になり河原毛が伊・仏対決を提案、会社の出口ホールで試飲ブラインドして貰い票を取る事となり期日は1週間です。藤枝の出すワインに回転木馬を感じた雫に低価格でも良いワインがある事を示し、仏ワインの絞り込みに掛かります
一方長介の自宅には膨大なワインセラーコレクションがありワイン中心の生活です。雫が帰宅時ワインを割ろうとする男がおり、ワインのせいで20年繁盛した店が潰れそうだと悲壮で良い店ですが「女王様のレストラン」というグルメ雑誌に酷評され客足が遠のいているのです
雫はその総評を行ったのが遠峰だと悟り3日後の彼の再来店時に偉そうぶったコイツの鼻をあかす手伝いをさせて下さいと志願する所でこの巻は終わります
まとめ
雫が用意したワインは確実に美島とアンヌの心を動かし、会食成功でみやび安堵です。このように会食の席で高級ワインを嗜み商談を成立させる等庶民の知らぬ所で時は動いているのです。神の雫では使徒探しの他にこういった珠玉のエピソードで物語を彩ります
美人モデル=セーラはどうやら遠峰と関係があるようで兄妹のようですが、その生い立ちからワインに鋭く雫を気に入ります。セーラは今後も重要な局面で登場するキーパーソンの1人なので覚えておきましょう。更に強烈キャラとして長介が登場、流れで伊・仏ワイン対決となります
自宅に膨大なワインセラーを持ちワイン中心の生活を送る長介、何故伊ワインにそこまで入れ込むのかは今後明らかになっていきます。巻末に新たな展開として名店が遠峰の総評から評判を落とし店主がワインを割ろうとしており、流れで雫は遠峰の鼻を明かしてやると凄みます
神の雫の良い所は単純に12使徒勝負に固執せず、様々なエピソードも織り交ぜながらワインビギナーから玄人まで唸らすワイン漫画とした事です。3巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
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