はじめに
ウイングマンやI’sの桂正和先生が描く異色ヒーローものとして人気を博したZETMAN。その美麗な作画と、謎多き展開に多くの読者が引き込まれました。累計発行部数は400万部を超える人気作に、今回はスポットを当てていきます
手の甲に輪のあるジン
とある組織の老人が手の甲に輪のある青年を探しています。小葉は炊き出しのボランティアをしており、とある男の子が来るのを待っています
オヤジ狩りをしている男に男の子(ジン)が制裁を加え、礼金として1万円をせびったため、冷たい反応が返って来ます。小葉はジンを見つけ、炊き出しの残りを渡します。お礼にジンは困った時助けてあげると約束し、小葉は手の甲に輪があるジンを天使だと感じます
男達に襲われている水商売風の女をジンが救い、謝礼で1万円と勤務先の名刺を貰います。ジンはじィちゃん(ゴロー)と暮らしており、勉強を教えて貰っています。ジンが人助けと称して謝礼を受け取っていることを知っているゴローは、ジンに金の使い方を教えるため街に出ます
買い物や食事を楽しみ、ゴローがジンに普通の生活が送れるようになって欲しいと話していると、変質者が橋から身投げしてしまいます。ジンは人助けだと川に飛び込みますが、変質者は死なせてくれと言い、自ら這い上がって来ます
ジンは多くの死体を見つけ、困惑します…ゴローはジンに関わらせたくないと言うと、変質者に腕を斬られてしまいます。変質者は「目醒めるの初めてなんだよ」と変貌した姿になり、ジンを吹っ飛ばします
とある組織の老人は神崎という男を探しており、どうやらそれはゴローのことのようです。ゴローはZ・E・Tの所在を知っているのだと言います
ゴローは変質者に向かっていきます。メルトダウンを起こしているので5分ともたないだろうと言いますが、案の定変質者は溶けだします。一連の怪事件はお前の仕業かと問うと、「プレイヤー」という言葉を残し、変質者は逝きます
ジンはゴローの片腕を探し当て、あてがいますが、当然治癒する訳もなく、ゴローはジンに最後の勉強だと言い残して死んでしまいます
ゴローの死と明美
ジンはゴローを台車で運ぶと、病院を回りますが、どこも相手にしてくれません。追い返されたジンはゴローとの楽しい思い出が脳裏に浮かび、感情の変化に戸惑っています
ジンは以前助けた女の働くセクシーパブに行き、事情を説明します
例の組織の人間がゴローの家に辿り着きますが、廃墟になっており、事情を聞いていた男を殺してしまうと、掃除人と呼ばれる者が現れ、老人(天城光鎧)目の前で死体を手の剣で刺すと消してしまいます。アマギは研究所に向かいます
女(明美)はゴローを病院に連れて行き、警察に届け、ジンを家に連れて帰ります。明美はかつて子供がいたようで、ジンのことを気に入り、一緒に風呂に入って優しくします。ジンは両親がいないと告げると明美はジンを抱き締めます
ジンはこの温もりが2回目だと言い、ゴローにはもう会えないのか?と問います。明美の胸で泣き崩れるジン、明美は一緒に悲しみます。明美のマンションの郵便受けが何者かに潰されます
明美が襲われてジンが覚醒
ジンはゴローの件をずっと引きずっており、1週間ゴローに買って貰った服を着続けます。明美の家に友人が訪れ、ヒモだった梶村という男が郵便受けを壊したのではと話しています。明美はゴローの形見のペンダントもジンに隠さず渡し、思い出に浸りたいなら徹底的に浸れば良い、ジンは養子にすると決意します
友人が帰り、ジンが部屋から出て謝罪すると、梶村が部屋に侵入して襲って来ます!梶村はコケにされたことを怒っており、明美の頬をナイフで斬ってしまいます。完全にキレたジンは覚醒し、梶村を屠ってしまいます。憑りつかれたように殴り続けると、糸が切れ、ジンは意識を失います
病院に運ばれたジン達、検査でジンの心臓が中央にあり、傷も治ってしまったことを不審がる医師は、クローンでなくゼロから人間を作り出した学者のことを思い出します。その人造人間は超人的な能力を持っていると言うのです
ジンは置手紙を残してゴローの家に行きますが、家は無くなっています。おもちゃ屋で正義のヒーロー・銀河超人アルファスの映像を観たジンは、「ありえねぇ」と失望します
研究所で光鎧が謎の生命体を目醒めさせると、暴れ始め、光鎧は失望します。博士がこいつはプレイヤーで失敗作、Z・E・Tを探しなさいと説きます。逃亡から10年もの間、プレイヤーが静かに潜伏していることに疑問を感じる博士は、そっとしておきたいと言いますが、アマギはそれを許しません
プレイヤーの絶滅こそが正義だと信じてここまで来たという光鎧は、やはり神崎が頼みの綱だと感じます
警察に保護されたジンを優しく諭す刑部は、明美を守るためにやったことは正当防衛だと主張し、ジンは顔を上げます。警部が辛い時こそ顔を上げろ、地ベタに希望は転がってねぇぞと語り、ジンに明美を引き合わせるところでこの巻は終わります
まとめ
手の甲に輪のある主人公・ジンは不思議な力を持っているようです。その小さい身体からは想像もつかない強さを持ちますが、思考は幼く、人助けの代償に1万円を稼いでいます
一緒に暮らしているゴローはジンを教育し、人並みの生活を送れるように育てますが、変質者の出現から、命を失ってしまいます。変質者は醜く変形し、ゴローは何か事情を知っているようですが、まだ未知数な部分が多いです
光鎧はジンのことを探しているようです。また、プレイヤーと呼ばれる者を恐れており、その絶滅こそが正義だと主張します。Z・E・Tと手の甲の輪がカギのようですが、こちらも謎に包まれています
親切にしてくれた明美を守るため、キレて覚醒したジンは人外のような強さを見せます。この覚醒の時の描写と、アマギの研究所にいたプレイヤーのフォルムは酷似しており、ジンの手の甲の輪といい何か関係があるようです
物語の導入部分という勘が強く、まだまだ謎が多く残る1巻でした。複雑怪奇な物語は、ジンを中心に動き始めます…続巻もコミックスで読みましょう!!
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