前回までのあらすじ
ジェイソンは終演後アントニオに悪条件ながら全米ツアーに行かないかと持ち掛け、自身の後任として大をミュージシャンが支えてくれないかと話します。音大行きも決まっているアントニオはこの唐突な誘いに驚き、ジェイソンが大ともう一軒飲みに行きます…
アントニオと音合わせ
二日酔いの大の下にアントニオが現れ、演奏の感想を聞くと、大は酷評し、では今度は大の音を聴かせろと音合わせする事になります。大は難解な「SPAIN」をリクエストされ、アントニオの出方を伺うと、昨日の自由な演奏とは打って変って大に完璧に合わせてくるのです!
お互いのソロではアントニオは大に近いメロディーラインを披露し、スイッチを切り替えるように演奏スタイルを変えられる実力を見せます。アントニオは自身の生い立ちを話し、7歳からジャズバーに入り浸っていたと言います。多くのジャズプレイヤーと共演し、学んでいったのだと…一人で演って来た大と真逆です
今度は大がアントニオに合わせると言い、「リコーダー・ミー」を合わせますが、大はアントニオの明るい、幾何学的なリズムに苦心し、現れたジェイソンは同じ青でもアントニオは明るいターコイズブルーで、大は濃く深いネイビーブルーだと感じます
全く異なるスタイルで、アントニオが合わないねと言うと、大はオレと組んでくれと言います!アントニオは即答しかねると言いますが、大は成長出来る、大の今後の活躍が見えていないならミュージシャンとして終わっていると断言し、お前と組むのは何も怖くないと連絡先を渡します
返事を待たず大はジェイソンとティファナを発ち、ジェイソンは今後の運転の注意点を話し、早く車を乗り換えろ、大には音楽も人の良さも車も出し惜しみして欲しくないと言います。サンディエゴに戻り、スケートパークで最後にジェイソンのプレイを見せて貰います
ジェイソンは流石のプレイを見せ、ビッグトリックに挑戦しますが、何度も失敗し、笑いさえすれば何度だってチャレンジ出来るんだとメッセージを送り、大は旅立ちます
アメリカの荒野を一人で走る
大は一人テントを張り野宿します。翌朝レンジャーに渋々料金を払い、広大な大地で練習に励みます。例によって金欠で、パンや水等で節約し先を進みます。大は一人車を飛ばし、今まで出会って来た仲間・家族の事を思い出し、皆を捨てて生きている、好き勝手に生きてるなと感じます
運転→練習→野宿という単調なサイクルを繰り返し、いよいよ資金も尽き、大はシリアスだと言われた事を気にしながら、満点の星空を見て、この感動を必ず持ち帰ると呟きます
アリゾナでは6ドルで食べ放題の中華料理店をを見つけ、溜め食いをし、先へ進みます。観光ポイントの巨大な岩を見て、ただここにあるだけなんだよなあ…とその壮大さに感動します。この一人での旅、果たして仲間は見つかるのだろうか…と練習していると、先程すれ違ったハーレー乗りのバイカーが現れます!
バイカーは大の爆音が気に入ったようで、ビールを寄越します。大は夜石を積み、いつまで残っているか分からないが、オレの積んだ石がこの世にある、きっと誰か見つけてくれると車を飛ばします。大はなけなしの20ドルを払い、どうしても来たかったモニュメントバレーを見学、無一文でアルバカーキへ向かいます
皿洗いとテナーレッスンの仕事をゲット
大は早速ジャズバーに交渉し、やはり断られますが、皿洗いでもいいので働かせてくれと持ち掛け、何とかOKを貰い、更にテナーのレッスンを代わりにやってくれないか?と頼まれます。スティーブという老テナーの代役です。大は早速レッスンに出向き、まずは子供のハリーをレッスンします
子供独特のやり取りに戸惑いながら、大なりに工夫し、大きな音が出せるように話し、大の大きな音が聴きたいと言われ、吹いてやると止めろと言われます(笑)次は年配の女性(キャロル)で、大は勢いと強さを求めますが、彼女のスタイルは違うと言われます
好きなプレイヤーを確認し、優しく吹ける名プレイヤーばかりだったので、大は先に聞いておけば良かったと謝り、大の素直な姿勢にキャロルは好感を持ちます。夜は皿洗いに精を出し、レッスンのコツを考えながら、面白くなって来たと大は気張ります
車中泊し、翌日は4つのレッスンをこなします。アクセル宅は非常に汚く、そのプレイを聴いた大は的確な指導をしますが、アクセルは急に言われても対応出来ない、緩やかに成長していきたいと言い、生徒一人一人の個性を感じます
次はニーラという15歳の女の子で、美しくて機械的に速いプレーがしたいと言います。大は指導し、コツがいるとお手本を見せると、ニーラは驚愕します。ハリーにはオレも大きな音で吹きたいと言われ、コツを伝授、キャロルには演奏のキーは集中だと伝えます
お茶休憩では敬愛するチャーリー・パーカーについて熱く語るキャロル、私もいつかステージに立ってみたいと話します。大は皿洗い→レッスンの日々を送り、店主に休日にこの店のステージで生徒達の発表会を開きたいと持ち掛けます
レッスンを繰り返し、少しずつ生徒達との距離も縮まり、発表会ではサックスばかりだなあと思案していると、皿洗い中に何とアントニオが現れます!アントニオは発表会でピアノを弾いてくれる事になります
スティーブが退院すると決まり、大はその日に発表会をしたいと店主に話します。各生徒達に発表会について話し、了承を得、いよいよ発表会の日、皆緊張しています。アントニオが伴奏を担当します。退院したスティーブが現れ、大の事も知っており、代わりを務めてくれた感謝を告げられ、大が感動したところでこの巻は終わります
まとめ
大はアントニオと音合わせしますが、アントニオは非常に器用で、陽気で明るい自身のスタイルに加え、大のシリアスなプレイにも柔軟に対応出来ます。大のプレイはシリアス過ぎると馬が合わないようでしたが、大はアントニオに魅力を感じ、組んでくれと連絡先を渡します
SUPREMEでも大は自身にないプレイをする人物に声を掛ける傾向がありました。個性が良い意味でぶつかり合い、相乗効果が生まれると信じているのでしょう。一旦アントニオ、そしてジェイソンとも別れ、アメリカ中央部を一人で横断します
資金も底を尽き後がない大はアルバカーキでジャズクラブと交渉し、皿洗いとテナーのレッスンの仕事を得ます。勿論大は演奏で食っていきたいところですが、現状を受け入れ、まずは資金と足場堅めとして両方の仕事を頑張ります
大はあまり先の事を考えず、前向きに今出来る事を全力で取り組む素直さがあります。レッスンの生徒達もスティーブとの違いに最初戸惑いながら、大の真剣な姿勢に感化され、認めてくれます。大はスティーブ退院に合わせて(自身の仕事は無くなってしまいますが)、発表会を企画します!
アントニオも現れ、彼が伴奏をしてくれる事になります。スティーブは大の勇名を知っているようで、その彼の退院祝いもかねて素人の発表会が始まろうとしています…一体読者の中で誰がこんな展開を予期していたでしょうか?予想外の展開にも大の真っ直ぐさが光りますね、6巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
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