前回までのあらすじ
ネルソンは考えを改め、達海が選手を駒のように扱う監督かと思っていたが…と各選手の伸びしろに驚いてシステム変更を視野に入れます。椿はボランチのバランスを上手く整え殿山に攻撃的に行くよう指示していました
ガブとの相性は抜群でサイドをえぐり、先程のアイコンタクトから前線の堺を見据えます…
乱打戦でETU逆転!
またアーリークロスを入れて来ると警戒する星野、ガブは出し抜き右サイドを制圧します。ガブのクロスは当然堺で、さっきのヘッドで得点の匂いを感じ堺に出したくなると星野は読みますが、何と堺は左の丹波にパス、これが決まりETU逆転です!
シュートを狙わなくなった俺はもう牙が抜けたFWなのか?と感じつつ、堺は周りの能力を引き出してやる…状況に応じてチームの為にプレーする…それがここで生き残る為の今の俺のFWとしての牙の剥き方なんだよと気を吐きます
笠野は達海が副社長が来る事を知っていると悟り、達海にも意地みたいなもんはあるんでね、長年ついてたスポンサーに撤退なんかされてたまるかよ!と気張ります。じいさん3人組はゴロー達が来れなくなった事情も踏まえた上で、ブームが去っていくら人気がなくなろうとクラブがこの町にずっと存在しとったと語ります
気付いたらワシらにとってのサッカーはブームではなく日常の一部になっとったんだと…山井がETUがいよいよリーグ戦の台風の目になってきたと浮かれる中、八谷のミドルがバーを叩きまだ油断出来ません。あまりの盛り上がりに副社長が問うと後藤は満点回答とも言える返しでイメージアップです
それでも副社長は毎試合こうではないとし、笠野は今回の試合は当たりだと返し、観客の目も肥え、こんな短期間で急成長した国は世界を見渡したって他にないと誇ります。笠野は今の日本サッカーの発展はあなた方スポンサーさん達のお陰なんですよとし、これからもこのチャレンジを見守って欲しいと説きます
痛快勝利でついにサッカー誌の表紙に!
決定機は作れていてもなかなかゴールを割れない川崎、八谷はタイトルが困難の極みにあり、それを乗り越えた先に未知なる感動があるのなら味わってみたい、ネルソンを優勝監督にしたい、そして日本代表を…と吠え、ロドリゴにスルーパス一閃です
黒田のブロックから椿は走っていた宮野にロングパスし、GKとの間の面白いボール、当然守備範囲の広い星野が足で弾きますがそれをジーノがトドメの4点目です!川崎にリベンジを決め笠野は副社長と握手、八谷も負けを認めつつタイトルは諦めないと気丈です
完全にじいさん3人組にペースを崩されたゴロー達、ワシら程頻繁に来なくともあれ以降サッカーに魅せられとる人間はこの町にまだまだ沢山いると言われます。記者会見でネルソンはETUを褒め、達海に言いかけた言葉は訳させず、私が選手以外で初めて伸びしろを感じる監督だからと期待しています
ついにはサッカー誌の表紙になるETU、羽田はここまで来たか…と感慨深いです。有里はこの快挙に喜び、話題性だけじゃなく実力で勝ち取ったものだと誇り、藤澤の記事が良かったとご満悦です。後藤は藤澤に達海と笠野の功績が大きいと語っていました
そして笠野が撤退するかもしれなかったスポンサーとの関係を丸く納めた件をオフレコで話し、藤澤はあの一試合の中でそれだけのドラマが隠されていた事に驚きます。笠野との差を卑下する後藤、達海と笠野の名コンビに頼りっぱなしではなく立場を超えて組織の為に行動し仕事を心から楽しむ事と説きます
そうすればあの頃よりもっと皆サッカーに夢中になれると思うんだと悩み多い中語り、それを藤澤が記事にして好評を得たのです。未来への希望を感じるのは有里だと後藤が語っており、藤澤は取材も兼ね食事に誘うと女気が無い職場にうんざりしていた有里は仕事を副会長達に押し付け約束を取り付けます(笑)
残務を押し付けられた副会長達が勤しんでいるとそこに羽田達スカルズが現れ、例の記事に怒り笠野を出せと凄みます!
スカルズリーダー:羽田の過去
人たらしの笠野は人気者で、会長はその才覚を認めいつだってポストを譲る気ですが、笠野は自分が表に出る事を気に食わない連中もいると自覚しており、ただ目の前の事に集中しようやと現実的です。じいさん達は例の記事読んで見直したぞと語りますが、笠野は初めてその記事を見てスカルズが黙ってないと感じます
羽田は達海に笠野…過去にチームを見捨てた奴らを連れて来て上手くいくと思ってんのか!と吠え、副会長はチームが波に乗ってる時に足を引っ張るのか?何の為にサポーターやっとるんだと怒ると、羽田は迷いなく選手の為だけに声振り絞ってんだよと気丈です
10年前の回想となり、羽田は進藤姓でしたが父が事業失敗し両親が離婚、半グレのような風体です。高校を退学した羽田の下に中学の担任が現れ、サッカー部のキャプテンと生徒会長を掛け持ちした大した男なんだからと羽田を認め期待しています
母は過去に縛られ荒れており、羽田は息苦しさを感じプロサッカーに興味が向きます。つるんでいる男達から東京ダービーに誘われ、羽田は初めてスタジアムに赴きます。達海現役だった頃で、その上手さ、サポの熱気にこの雰囲気はすげえとにやけ、達海の決勝ゴールで勝ちこんなにスカッとしたのはいつ以来だ?と感じます
羽田はあの場が素の自分になれる気がしたとまた観に行く事に決めます。バイトの面接で散々の羽田は荒れてふて寝の母を見てまたスタジアムに行けばこんな鬱憤吹っ飛ばせると切り替え、大阪戦を観に行きますが、達海は怪我で離脱しており、この間とはスタジアムの雰囲気がなんか違っちまってると感じるところでこの巻は終わります
まとめ
乱打戦となった川崎戦、今までにない打ち合いの好ゲームとなり、サッカーの醍醐味:ゴールを存分に味わえる見応えのある試合となります。今回裏テーマとしてスポンサーの副社長接待がありましたが、笠野の活躍もあり、またその事を知っていた達海の意地も感じさせての快勝です
プロサッカークラブとはその地に根付いた活動を行っています。各地転々としてその場その場で人気となる興行もあると思いますが、プロサッカーはホームでの観客動員が非常に重要になって来ます。元々達海達のブームから入ったじいさん3人組のように、そのままずっと地元のサッカーを愛する人がいるのです
これがプロ野球やプロサッカーの美しいところで、ホームのチームをとことん応援し、どんな苦境でも付いて行く気概を見せる人達が必ずいます。ゴローは一時のブームに便乗しただけだったと恥じますが、きっかけはその人その人で異なり、熱量も当然波があって当然です
スポンサーに好印象を与えた笠野ですが、スカルズから良く思われていない事を自覚しています。ここで羽田の過去のくだりとなりますが、GIANT KILLINGの秀逸な点は登場人物それぞれにスポットを当て、現在に至る経緯を回想で描く点にあると思います
その人がどうして現在の立ち位置となったのか徐々に明かされていく様は何か答え合わせをしている感があり、説得力が伴います。あのいかつく気高い羽田の過去とはどんなものだったのでしょうか?25巻に続きます…
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