「バガボンド」20巻の数々の激戦と成長譚~貞伊・市三・巨雲との対峙…技の改善を繰り返す、剣の魅力に囚われた男たちの悲しい性…小次郎編・完!!~

前回までのあらすじ

貞伊の鋭い剣先がいよいよ小次郎を捕らえ、上方に振り上げた剣の先に、小次郎の袖から隠し持っていた短剣が出てきて、貞伊が胸を突かれるところを巨雲は見てしまいます…

貞伊に続き、市三までも…

貞伊は戦う相手とこんなに話したのは初めてだと感じながら、短剣を抜き、力尽きます。妻をめとらなかった貞伊には実の息子のような存在の巨雲達が戻って来たのを見つけ、息絶えます。巨雲は名を付けてくれた貞伊の仇討ちとばかりに魔剣を振るいます!小次郎は剣が折れ、吹っ飛ばされてしまいます

巨雲は「貞伊さんを倒した貴様は俺がまだ見たこともないような強い男であってくれ」と言います

巨雲の剛剣の前に剣が折れてしまっている小次郎は、市三から剣を奪います。現実主義者の市三はもう殿は生きていないと吐露します。新二郎巨雲のようにおぶれないため自分が先に…という市三は名を名乗り、勝負を挑みます。小次郎は意味を理解し、自分の名前が書かれた布を見せます

弟子にしてくれと頼む権之助に、わしになれ、無理なら故郷へ帰れと手厳しい一刀斎生き残る為にどうすればよいか本能が選択し、最強最速の剣を肉体が獲得していくと言います。対等の相手がおらぬことはつまらぬと言う一刀斎わしの命を脅かす最強の敵は最愛の友に等しいと言い切ります

市三は死んでいった者を想いながら、必勝の感覚を感じます。色々と思考を重ねる市三、聾唖の小次郎がもともとこの世界の住人であると述懐しているところで、小次郎の鋭い刃が市三を襲います!

新二郎の回想が入ります。幼き頃、兄の気も知らずに行方不明になってしまう市三新二郎は神に祈ります。すると翌朝ケロっと戻って来た市三に、皆安堵します。兄を見つけ涙する市三新二郎も涙する場面を思い出します…市三は斬られます

新二郎には剣の速さが見えなかった程の小次郎の腕前、脚の言うことの聞かないことを呪うしかありません。技の改善を見出した小次郎を見つめながら、ついに巨雲との一騎討ちとなります

純粋に剣のためだけに生まれてきた男

猪谷巨雲と名乗り、小次郎も布を見せ、お互い名乗ると、巨雲小次郎も間合いを詰めながら、一歩踏み込んで入れば斬られていた残像を感じます。実際巨雲小次郎の脚を掠めますが、今度はなんと巨雲の懐に入り、頬をつねって小次郎は喜びます!

小次郎の狂気の沙汰に怒りを感じる新二郎ですが、何も出来ません。小次郎の地を這うような素早い動きに対応出来ていると思っていた巨雲でしたが、腹に一撃食らっています。小次郎の鋭い突きを交わし、一瞬首を斬ったような残像を感じる巨雲でしたが、小次郎は交わし、間合いを取ります

小次郎の名の書いた布が風で小次郎の顔に纏わりついたところを巨雲が狙います!右足腿を斬られた小次郎ですが、受け返し、巨雲が反応すると、閃いたことに気づきます。お互い技の改善を発見し、喜びます

小次郎の若さに驚愕する巨雲は、「生まれた時から耳が聴こえないなら己の体と語り合う時間は腐るほどあったというわけか」と納得します。巨雲は純粋に剣のためだけに生まれてきた男を初めて見たと感じます

死闘決着…

お互いの持てる全てをぶつける斬り合いに身震いする巨雲、ひとりで千の軍勢を斬り伏せる、そんな男になりたかったと述懐します

いよいよやってきた際の際、なおも前へ突き抜ければと、小次郎巨雲は笑みを浮かべながら斬り合います。抱き締めるかわりに斬るんだなと感じながら…

自斎が海辺で小次郎のことを想っています…友達は出来たかと…

小次郎巨雲を斬り捨て、涙を流すところでこの巻は終わります

まとめ


剣の極みに達している一刀斎は、同じ実力を持つ者を欲しています。弟弟子である小次郎に才を感じた一刀斎は、自分がしてきたことを無理矢理経験させて、階段飛ばしで腕を磨かせ、明日の愛すべき敵(友)を意図的に作ろうとしています

リーダーであった貞伊が倒れ、優先順位として生き残らせるはずの市三は現実主義者のため、自ら小次郎に向かっていってしまいます。新二郎との過去の回想は、歳の近い兄弟なら誰もが感じたことのある感情を呼び起こさせます。無情にも市三小次郎の剣に倒れます

魔剣を操る巨雲との対峙で、小次郎は更に腕を上げていきます。最早狂気の沙汰ですが、小次郎は純粋に剣技の向上に喜びを感じ、巨雲はそんな小次郎との闘いにまた喜びを感じてしまいます。剣に魅せられた者の悲しい性であり、それこそが剣に生きる者の定めなのかもしれません

結局生き残るのは一人なのです。小次郎は折角出逢えた最愛の友を斬ってしまい、涙します。この悲しい輪廻のようなもの、剣に生きる小次郎は何を感じ、何を思うのでしょうか?聾唖者ということがより拍車をかけ、読者に問いかけてくるようです

これで小次郎編は終わります。次巻から新章が始まります!お楽しみに!!

おまけ

もう一つの原画集「」は基本的に白黒原画になります。大きな一枚絵でコミックスの絵中心に大迫力の原画を堪能できます。こちらも併せてぜひお読み下さい。

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