前回までのあらすじ
おつうのことを想いながら、雪が舞い散るなか佇む武蔵。これからどこへ行こう…武蔵が「小次郎…」と呟きます…
おつうの長年の夢、成就?
小次郎は女を買っています。優しい女は、耳の聴こえない小次郎が「他の人に見えんことが見えとるとかも」といいます。すると以前この女を買っていた辻風黄平が現れます。女を気に入っていたのか、嫉妬したのか、小次郎に刃を向けますが、逆に斬られてしまいます。宍戸梅軒の顔の刀傷はこの時負ったのです!
武蔵は目を覚ますとおつうと城太郎がいます。沢庵も現れ、今福寺で養生しているということです。今福寺まで運んでくれたのは又八でした。全身傷だらけの武蔵を見て、又八は到底真似できないと感じます
おつうと城太郎は養生している武蔵を発見し、おつうは久しぶりにゆっくりとした時間を過ごします。城太郎はもうやせ我慢しなくていいんだと言います。又八はおつうに存在を理解されるまで時間が掛かります。身なりも変わり、印象も変わったからですが、又八自身は壁を作ってしまったからだと感じています
夕食時又八はおつうに武蔵に遠慮せず付いていけと言います。又八は武蔵の部屋で酒を呑みながら大切なものを全て自分で壊していると述懐します。沢庵は脚に深手を負った武蔵が今後剣の道では生きていけないと言います
又八が小便をしている隙に武蔵の部屋におつうが現れます。武蔵の道に先はあるの?と床に入ったりします。すると又八が戻って来て、おつうは寝床に隠れます。酔った又八は今度こそおつうを連れていけと言います。そのまま横になる又八は夢を観ます。息をしている武蔵を見て、又八は「俺は強いお前が怖くて、疎ましくて、そして大好きだ」と言います
髭を剃った又八は、寺を辞去し、まだこの手にある大切な者、おふくろと小次郎を探しに行きます
剣の道のどん詰まり?
一条寺の下がり松での吉岡一門70余名を唯一人で殲滅するという報は3日を待たずして全国に駆け巡りました。柳生、尾張の兵庫之介、奈良の胤舜…武蔵を知るものは皆驚愕し、そしてただでは済まなかっただろうと感じます。おばばは相変わらず悪態を付いています
大名達は武蔵に興味津々です。起き上がった武蔵、白湯を飲んでいますが、なんと立ち上がれないことを悟ります。足の傷を見ながら、沢庵は医者曰く「闘いはもう終わりだそうだ」と言います
仏像を彫る武蔵、寺の坊主は何十人も殺めた者をいつまでもおいておけないと言います。沢庵は「我々仏門の徒が受け入れなくてはならないのでは?」と返します。沢庵は武蔵に養生を勧めながら、「天はお前にもう斬り合いを望んでおられないということじゃないかな」と言います
未だ己の歩いていた道しか見えない武蔵に沢庵は水をかけ、その道はどん詰まりということじゃないのかと言います。武蔵は「剣を命と見立てて必死でここまで…天がこの俺から剣を奪う?そんな筈があるか!」と激昂します!すると役人が現れ、罪科により召し捕るというのです!
一条寺の下がり松では烏が群がっていた光景を惨いもんだと嘆く人がいます。そこに小次郎が現れます。小次郎が武蔵を想いながら木の枝を振るっているところでこの巻は終わります
まとめ
死闘から生還した武蔵を待っていたのは、懐かしい面々でした。又八が武蔵を救い、そこにおつうと城太郎、沢庵も合流します。ひと時の安らかなる時間…ずっとこんな時を夢見てきたおつうにとってはかけがえのない時間でしょう
しかし止まることの出来ない武蔵はこの死闘を経てなお自分なのです!沢庵が言うように、剣の道のどん詰まりに来てしまっているようですが、武蔵は命と見立ててきた剣を捨てることなど出来ないと言うのです。今までの壮絶な生き様を観てきた読者の皆さんなら、武蔵にとってそれがどんなに酷なことか分かるでしょう。不器用な武蔵、剣以外の道など進めないのです
勝負に勝っても深手を負って思うように身体を動かせなくなった武蔵、本当に剣の道は終わりなのでしょうか?そこに役人が現れ、武蔵は囚われの身となりそうです。本当にどん詰まりなのでしょうか?
小次郎の影がちらつく中、巌流島の決闘に至る道は潰えてしまったのでしょうか?続巻で答え合わせしましょう!!
おまけ
この巻発刊の頃、巡回展で井上雄彦最後のマンガ展というものが開催されました。全館描き下ろし、この時この場限りの空間マンガということで、多くの来場者で賑わいました。後述するDVD作品や画集でこの雰囲気を今も感じ取ることが出来ます。興味がある方は是非!
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