前回までのあらすじ
武蔵の縄を斬った沢庵は、「闇を抱えて生きろ。やがて光も見えるぞ」と言うとおつうが現れます…
宮本武蔵、21才、単身吉岡道場へ乗り込む!
沢庵に新免武蔵から宮本武蔵と名を改めろと言われ、生まれ変わった武蔵、21歳の春、彼は京都にいます。吉岡道場の吉岡清十郎に逢いに来たのです!すると前方で女達と遊んでいる小柄な男に出くわします。男は武蔵が吉岡に行くと見抜き、「死ぬよ」と忠告します。「死ぬ覚悟はあるが、簡単に命を捨てる気はない」という武蔵に、男は刀を抜き、「ほら死んだ」と近づきます
武蔵はかつてない緊張を覚えます。男は「朱美~」と別の女のところへ行くようです
武蔵は吉岡道場の門を叩きます。単身乗り込むのです!植田良平という高弟がまず門弟と手合わせして、腕が立つようなら相手しようと言います。「死体の引き取り手はおありか?」と脅されますが、植田を倒せば清十郎と試合が出来るのだな?と自信たっぷりです
朱美は清十郎の相手をしています。いつも同じ話をしてくる彼が嫌いではないようです。お供の祇園藤次がお甲のお酌を貰いじゃれていると、男がいきり込んできます。又八です。お甲に完全に尻に敷かれ、駄目亭主ぶりの又八、宮本村へ帰らなかったことを後悔しています
武蔵は門弟を次々に倒します。武蔵はこの試合で相手の動きがまるで遅いことに戸惑います。千原、高階と更に倒してしまいます
又八は吉岡道場に火を付けてやると企むと、中から物凄い音が聞こえてきます!吉岡に道場破りが来ていると嬉しがる又八の前に大柄の男が現れます
吉岡伝七郎です。次男ですが当主に相応しい人物ともっぱらの噂の人物、又八は清十郎のなじみの店の亭主だとゴマを擦りますが、伝七郎に張り倒されます!伝七郎も中の異変に気付きます
清十郎の一太刀!一難去って今度は対伝七郎戦!
俺の剣は吉岡にも通じると息巻く武蔵、ついに植田を引っ張り出します。師を聞かれ、父は新免無二斎だと答えると、植田は反応します。腕の一本くらい貰っておくかと冷静な植田は、その豪打を受払い、木刀でも頭を叩き割られるなと感じます
植田に京で何番目か聞く武蔵、勝った時にどこまで天下に近づけたか知りたいと言います。すると伝七郎が現れます。口が残ると伝七郎が相手しようとすると、武蔵は清十郎だと勘違いします。当主は俺だと息巻く伝七郎、植田に嗜まれ、揉めていると、先程の小柄な男と祇園藤次が現れます。小柄な男こそが吉岡清十郎だったのです!
又八は屋敷に侵入し、盗み聞きしています。武者修行者の心配をしています
灘の酒をかざし、「これでお引き取りを」という清十郎、しかし武蔵は入れ物を割り、戦闘態勢です。清十郎に「俺の全てをぶつけさせてくれる器量はあるか?」と息巻く武蔵、伝七郎が怒ると、偽当主と挑発します。キレた伝七郎より早く、清十郎の一太刀が武蔵を襲います!
木剣と額を割られた武蔵、そのあまりの速い太刀筋に驚きます。清十郎は余計な闘いはしたくないのです。武蔵が再度闘いを申し込むと、やりたくないと言う清十郎は再び色街へ出掛けます。祇園藤次も付いていきます
武蔵は「色街はどこだ?」と一太刀返したい様子です。門弟が5人もやられ伝七郎は怒り、「貴様を5回殺さねば気が済まぬ」と刀を抜きます。木剣を割られている武蔵は、構わず中途半端な二刀で構えます
ずっと様子を見ていた又八は、武者修行者(まだ武蔵だと気づいていません)を助けようと中に入ろうとしますが、なかなかその勇気が出ません
武蔵は短い方の木剣を投げ、伝七郎が防いだところで長い木剣で痛打します!骨はいっていないと言う伝七郎に、武蔵は新たな木剣に持ち直し、「今度は命に届く」と呟きます。物凄い剛腕の一振りを見せる武蔵は、また悪鬼と言われ喜びます
まさかの火事!伝七郎との闘いは持ち越しへ…
冷静な伝七郎は徐々に本領を発揮してきます。粋がる武蔵を教え諭すように語り掛ける伝七郎に、武蔵の剛腕が襲います!しかし、巨躯の伝七郎は素早く、武蔵の剣は当たらないのです!さらに冷静に語り掛ける伝七郎、武蔵の打突を肩で体当たりし崩し、自分は幼い頃から清十郎の剣を受けてきたのだと自負します
上段に構えた伝七郎の一撃で武蔵は胸を縦に斬られます!一瞬身体を捻って致命傷を免れた武蔵、植田は先代拳法先生を唯一負かせた新免無二斎の子である武蔵もまた、幼い頃から修行してきたのだなと感じます
武蔵は残された力で相打ちを狙います。吉岡流・一の太刀で仕留めようとする伝七郎ですが、先程の左肩の一撃が響き、なかなかもう一太刀が出ません。顔で悟らせなかった伝七郎に植田は立派になったと感じます
又八は別室で灘の酒を見つけ、飲んでしまいます。イイ感じに酔っぱらっていると、火の不始末で火事を起こしてしまいます!道場に煙が舞い込み、最初武蔵の差し金かと伝七郎は勘ぐりますが、見当違いだったと謝ります
又八は逃走し、追手に追われます。伝七郎は再戦を誓います。時間をくれるというのです
放火犯は現場に戻るという通り、又八が現場の野次馬に混ざっていると、武蔵が建物から出てきます。吉岡の強さを感じ取った武蔵、俺の方が強いと吠えます。又八はそれが武蔵であったと今さら気づきます。追いかけると人とぶつかり喧嘩になります。又八が武蔵のことを想いながらボコボコにやられているところでこの巻は終わります
まとめ
生まれ変わった武蔵、宮本村の武蔵(たけぞう)から宮本武蔵(みやもとむさし)と名乗り代えたのですね!天下無双を夢見て修行に励み、なんと単身剣の吉岡へ乗り込みます。全く無謀な仕打ちですが、門弟と手合わせしていると、その動きの遅さに戸惑います。既に武蔵の剣はかなりの腕まで達していたのです!
高弟の植田と手合わせしていると、伝七郎、そして先程出逢っていた清十郎が現れます。余計な太刀を振りたくない清十郎は、獣が吠えるのは引き退がってくれれば戦いは避けられるからだと言います。追々この意味が生きてくる訳ですが、その話はまた後程…
門弟をやられ涙する伝七郎、その存在感と言い、当主と呼ぶにふさわしいのは伝七郎のようにも見えてしまいます。武蔵との闘いで、一瞬の油断から肩に一太刀入れられますが、その後は圧倒的に伝七郎の方に分がある展開となります
幼い頃から清十郎の剣を受けてきただけあり、巨躯ながら素早い伝七郎に剣が当たらない武蔵、胸に一太刀入れられ、最後の相打ちを狙いますが、又八が火事を起こし、勝負はうやむやになります。まだまだ未熟な武蔵ですが、天下無双は自分だという自我は強烈で、その野望、志の高さが伺い知れます
一方駄目亭主ぶりを見せつけた又八、変わりたい気持ちはありつつ、その一歩が踏み出せません。今回の出火で再び武蔵と出逢うことで、変わることが出来るのでしょうか?次巻も読みましょう!!
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