前回までのあらすじ
子どもが流されているのを悟ると、小次郎は服を脱ぎ、川に飛び込みます!小次郎は紙風船を子どもに渡します。男衆は小次郎に後れを取ってなるものかと川に飛び込みます。子どもを救った小次郎は、巌流先生と呼ばれ、小倉は一日で小次郎の町になります…
男のような女の剣術指南役、楓
小次郎は着物をあてがわれています。女は亡くなった主人も派手なものが好きだったと言います。小次郎は女を抱きます
酒屋で男衆が小次郎の噂話をして騒いでいると、大柄の人が怒って何人か持ち上げてしまいます!静かに飲みたいようです。大柄の人は義姉の家に泊まっていいかと問います。義姉は小次郎に抱かれています
小倉城では細川家が初代・忠興から二代・忠利へと受け継がれました。岩間は小川に変わる剣術指南役として小次郎を紹介します!忠利は「派手過ぎる」と困惑します。家臣達は指南役が5人は多すぎるとひそめきあいます。忠利は平時にこそますます剣はもとめられてしかり、聾唖の指南役がいてもおかしくないと言います
小次郎は暴れていた馬を大人しく従わせてしまいます!忠利は残りの指南役4人と順番に試合してみるか?と問います
大柄の人は義姉から楓と呼ばれ、香袋を渡されます。城に参内すると、小次郎と試合しろと言われます。なんと楓は剣術指南役なのです!楓は昨夜の色男だと思い出します。すると小次郎は竹刀を投げ捨て楓に近づき、楓の胸元を露わにしてしまいます!楓は女だったのです!楓の首からロザリオが下がっています。それに興味があった小次郎のようでしたが、楓に一閃されて倒れてしまいます
そこに剣術指南役の氏家が現れます。氏家は小次郎を快く思っていないようです。忠興は忠利に氏家の実績は評価しつつ、その影響力を危惧し、でっぱりとして残しておくと言います。忠利はそのでっぱりに小次郎や武蔵を当ててみてはどうなるかと思案しています
謎の童・伊織との出逢い
武蔵は男に声を掛けられます。身なりから言ってどこかの藩のそれなりの地位にある者と見受けられます。武蔵は我執を解き放ち、斬り合いたいと殺気を向けますが、男は逃げてしまいます
武蔵はまた別の男に出くわし、握り飯をご馳走になります。話すとどうやら息子が吉岡で、武蔵に斬られたと言うのです。武蔵はそそくさと逃げ出しますが、気づかれ結局斬り合い、倒してしまいます。さらに追手二人を斬り、武蔵は軽傷を負います
「人を斬りながら自分に剣を突き立てているような心地がして、武蔵は武蔵でなくなった」と言う武蔵、地べたに寝転がり、「戻ったんだ、地に、何も持たないという、はじめの姿に」と呟きます。満月を見ながら、おつうと一緒に暮らしたいと感じます
先を進む武蔵は刀を研ぐ音を聞きます。すると童が刀を研いでおり、なんと寝ている男を斬ろうとしています!話を聞くと父が亡くなり、重くてお墓に運べないというのです。武蔵は男を墓まで運んでやります。童に夕食をご馳走になり、童は武蔵の刀に興味を持ちます
翌朝童は木にしがみつき泣いています。童は伊織という名です。武蔵は一人になった伊織に「お前の道を切り開け、父ちゃんが残してくれたこの土地がある」と荒れ地を耕し始めます。ある程度畑らしくなりましたが、伊織は明日は嵐が来ると言います。その通り翌日は嵐が来て、畑は河になってしまいます
伊織は魚が捕れるので喜んでいますが、武蔵はせっかく耕した畑が駄目になり悔しがります。明日発とうと決めた武蔵ですが、その晩伊織はおねしょしてしまいます。布団を干していると近所の子どもに馬鹿にされ、伊織は怒ります。武蔵に抱き着き、武蔵に行かないでと嘆きます
武蔵の刀を持ち出した伊織は、馬鹿にした子ども達に仕返ししようとして、武蔵に止められます。剣を持たぬ相手を斬るのは卑怯と思わんかと言われ、伊織は考え直します。子どもから大根を半分分けて貰い、事は終わります。「帰るぞ」という武蔵、伊織は「発つと言ったのに取り消すのかい、侍のくせに」と言い、武蔵が「言ったかそんなこと?」と答えたところでこの巻は終わります
まとめ
小倉藩には剣術指南役が5人います。筆頭の氏家の影響力は大きく、4人で十分だと言います。小川の代わりが聾唖者だと知り、納得がいかないのも合点がいきますが、岩間は小川が推す小次郎を指南役にしたいと話します。そこで他の剣術指南役と試合することとなり、男のように大きな楓という女剣士と試合することになります
だらしなく、とても女とは思えない楓ですが、指南役になるくらいなのですから、腕は立つのでしょう。しかし、小次郎との真剣勝負を前に、小次郎に着物をはだけさせられ、胸が露出し、小次郎はロザリオに興味を持ちます(既に女だということが分かっていたのでしょうか?)。怒り狂った楓に一閃されて伸びてしまいますが、小倉で小次郎は剣術指南役としてやっていけるのでしょうか?
武蔵は勧誘や追手に追われながら、自分を見失っています。「戻ったんだ、地に、何も持たないという、はじめの姿に」という言葉に、武蔵の迷いと現在地が暗に示されます。そんな武蔵が一人の童と出逢います。伊織はなんと死んだ父を斬って小さくして墓まで運ぼうとしていました
伊織に興味を持った武蔵は、伊織の家の土地を開墾し、畑にしようと奮戦します。しかし、嵐が来ると土地は河となり、畑はダメになってしまいます。また流浪の旅へ?と思ったら、武蔵は伊織の家でしばらく過ごすと心変わりしたようです
小次郎との決闘までの空白の期間、武蔵は誰と出逢い、どんなことをしていたのでしょうか?続きも読みましょう!!
おまけ
空白という本があります。こちらは井上雄彦先生のバガボンドの休載期間中の出来事を克明にしるした貴重な資料本となります。どんなことを考え、作品を作っているのがが分かる貴重な内容となりますので、是非読んで下さい
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