「バガボンド」35巻の数々の激戦と成長譚~剣闘漫画から一気に農業系漫画へ!?武蔵、一から畑作り、村の飢饉を救えるか?~

前回までのあらすじ

子どもから大根を半分分けて貰い、事は終わります。「帰るぞ」という武蔵伊織は「発つと言ったのに取り消すのかい、侍のくせに」と言い、武蔵が「言ったかそんなこと?」と答えます…

水に勝つ

武蔵はまた水で畑が溢れないように堰止めるための作業を行います。「水に勝つ」と息巻きます。しかしまた嵐が来ると、畑は水で溢れてしまいます。「この水に似た…男を知っている。とらえ所なく自由、闘えば負ける」…小次郎のことです

伊織と相撲を取り、脚の汚れを取ってあげる武蔵。川を見ながら地形によって、外からの力によって水のありようは決められ、水自身はただそれに従っている…外からの力によってーありようは完全に決められ、それでも水は水、どこまでも水…完全に自由。武蔵沢庵が言っていたことはこのことかと悟ります

伊織は祖父の形見と引き換えにお寺から食べ物を分けて貰います。村の人に誤解を受け、殴られてしまいます。武蔵のところに村の住民が訪れます。伊織の今に至る経緯を聞きます。村の住民は既に諦めかけている中、武蔵はどうして水に勝とうとしないと問います。武蔵は一人堰を作ります。無謀な行為ですが、武蔵は止めようとしません

見かねた村の住人が手伝ってくれます。数か月後嵐が来ると、堰を切り、水を流し、水路のお蔭で水は溢れませんでした。武蔵は畑を耕します。田畠にするというのです

武蔵は山で剣を振るいます。「ずったんじゃなくてぬと」と、「体を流れる何かを感じ続ける、ただ準備しろ、滞らせないために、そして次の、またその次の準備、何も邪魔するな、そのまま」と剣を流れるように振るいます。その姿を見た伊織は、父との違いを感じ涙します。

場を制する

伊織は文字を鍛錬し、武蔵から剣術を習おうとしています。昔語りをする武蔵体の中を流れる何かに従い、体はその邪魔をせず、俺の中の空っぽは広がって、中にも外にも広がって、笑いがこみあげるほどのありよう、そんなことがあったなと述懐します

武蔵は種もみを手に入れたいと考えます。村の外れに立派な田んぼを持つ秀作を訪ねます。種もみを分けてくれと頼むと秀作は「嫌だね」と断ります。種もみを見ながら「行きたくないと言ってるよ、お前のとこには、殺されたくないと」と言います。畑を耕す武蔵を見て、「息巻いてやがる、まるで喧嘩だねえ」とその場を後にします

佐渡守豊左衛門武蔵の行方を聞きます。武蔵が剣でなく鍬を振るっているという話から、早く小倉藩に連れて帰らなければと話しています。最近杖をついていない武蔵、脚が治ってきています。高所からの着地ではまだ痛みがあるようですが、確実に治ってきています

イナゴの大群が他の村を襲ったという話が来ます。そして、物見台から夜盗が襲いに来たという知らせが来ます。50人と言いますが、冷静な武蔵は「18人じゃないか」と、武蔵の我執が解放されます。次々と夜盗を倒していきます。武蔵より巨躯の男を簡単にあしらい、場を制する、己が相手より強いと示すこと、その瞬間、その場でだけ、そういうことになればいいと、夜盗を蹴散らしてしまいます

その姿を見た佐渡守豊左衛門は、まぎれもなく武蔵、連れて帰るぞと言います。村の者達は「たけぞう」ではなく宮本武蔵だったのかと気づきます。村をついにイナゴの大群が襲います。一気に飢饉になってしまいます。佐渡守武蔵小倉に一緒に来て貰いたいと請いますが、武蔵は断ります

頑固な武蔵

水田になってきた地をみながら、武蔵はここで苗を植えたいと考えます。しかし秀作は「ここは田んぼになる土じゃねえ、稲は育たん」と言います。秀作は自分の田に武蔵を連れて来て、この土のにぎやかさが聴こえるかと言います。先祖代々受け継いできた田との違いを説明しますが、阿保らしいと最後まで語りません

武蔵が怒りながら畑を耕していると、再度佐渡守達が現れ、共に小倉へ行こうと言います。飢え死にが待つだけだと言われても、「なおさらだ、ここにいる」と頑固です。武蔵は寝ころがり、「強くありたい、強くなりたいではなく、強くありたい」と言います。「天下無双がどこかにいると思って倒しに行く、そんな旅はやめた、どこへも行かなくていい、ここにいる」と悟っています

豊左衛門は主命ならばと木刀を抜きます。しかし武蔵は一刀し、「腕ずくだと?そこまで出来た人間じゃねえ」と一蹴します。畑を耕す武蔵の元に、瘦せこけた村の住人が「手伝わせてくれ、未来の光がほしい」と現れたところでこの巻は終わります

まとめ

田畠を作ると息巻く武蔵は、嵐でいつも水が溢れる土地に堰を作り、何度か失敗はしたものの、ついに水に勝ちます。沢庵の教えに通じるものがあると、武蔵の考えていることは何か別の次元もののようです

天下無双を探して倒しに行くという旅はもう終わりにして、武蔵は何もないところから畑を作ることに没頭します。何故今畑なのか?本人にしか分からないところですが、伊織に興味を持ったこともあるでしょうし、悟りを開いて天下無双という虚無の言葉から一歩身を引いて考えるようになったということもあるでしょう

もちろん武蔵には我執はあり、向かってくる相手に容赦ありませんが、今までの武蔵とは明らかに違います。小倉藩からの執拗な勧誘も断り続け、一人畑を耕す武蔵、一体何が見えているのでしょう?

そんな武蔵の元に、痩せこけた村の住人が「未来に光がほしい」と現れます。武蔵の一心な姿に心動かされたのでしょうか?飢饉に見舞われた村が、今後生きていく術はあるのでしょうか?一気に農業系漫画になって来ました(笑)続巻も読みましょう!!

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