前回までのあらすじ
ユリアンは熟考の上皇帝と戦って自治区を認めさせ200年に及ぶ帝政と民主制の戦いを終わらせる唯一の方法とします。回廊出入り口のワーレンはユリアンが動いた事を悟るも帝国本土への侵攻を目指しているようで何かしらの奇策、養父に倣うか…と6600隻に対しヴァーゲンザイル艦隊は8500隻です
ユリアンは帝国本土の先の基地惑星を攻撃するように見せかけ艦隊を2分しアッテンボローと半包囲し、回廊に押し込みます…
「オーベルシュタインの草刈り」
ヴァーゲン~は回廊に入らざるを得ず、ワーレンとの合流・共闘を目指し雷神の槌の射程ギリギリへ移動、死角からメルカッツ艦隊4000が伏兵として現れヴァーゲン~は完全包囲され陣形崩壊です。メルカッツは完璧なタイミングでワーレンに狙いを定め、ユリアンは心強さを感じます
更にロイエンタールが見せた戦場全体をゆるく支配する陣形と新しいものを取り入れる速度が違います。ユリアンは敢えて雷神の槌は撃たずその選択にシェーンコップは同調します。ワーレンはヴァーゲン~離脱から自身も反転し全速退却、被害は甚大です
この戦況を見て元帥・上級大将クラスと大将クラスの格差が目立ち、ラインハルトはハイネセンへの親征の意思を表明します。「柊館」に引っ越した夫婦、ラインハルトはヒルダの忠告を入れ外交使節を送ろうとしてここで発熱・卒倒します!かつてない程の高熱で親征計画も当面延期となります
4日眠り続け、アンネローゼも呼び寄せ彼女は弟と過去を共有している、未来はあなた達と共有されるものとし守り抜きましょうと誓います。オーベルシュタインにハイネセンの秩序破壊行為の対処をさせ、随員はビッテンフェルト・ミュラーです。「オーベル~の草刈り」が始まります
ムライは隠居生活をしていましたが逮捕され隣室はシトレです。旧同盟の重要人物の逮捕・収監は5000人を超え、ワーレン到着で捕らえた要人を人質にイゼルローン軍に開城を迫るつもりのオーベル~にビッテン~が激昂、言い争いになりビッテン~は手を出し謹慎を喰らいます
オーベル~はラインハルトの正攻法は血を見る、ゴールデンバウム王朝の時代と何ら異ならぬではないかとし、皇帝の勅命によってと非情で、ラインハルトも予期せぬ手段でした
ラグプール刑務所で暴動が発生
ビッテン~麾下の部下が騒ぎ黒色槍騎兵は帝国軍で最も血の気の多い連中です。憲兵隊と一触即発、暴動となりワーレンが物凄い形相で割って入り沈静化させます。間に挟まれミュラーは中間管理職的立場で苦悩します。オーベル~はフェルナーに敵が動き出すと全て滅ぼす気です
オーベル~はイゼルローン軍に代表者出頭を命じ、ヤンの前例がある為鉄壁の随員となりますがすぐ引き返す事になります…ラグプール刑務所で暴動が発生、呼応するかのように市街地の各処で放火や爆発が生じます。フェルナーの真の狙いはルビンスキーで、屋敷に侵入したオーベル~は彼とドミニクの映像を観ます
ドミニクはルパートの件を根に持っており、総大司教を操ってルビン~に命じる黒幕=枢機卿ド・ヴィリエの存在を明かします。この暴動で被害は甚大、パエッタやオリベイラ博士も亡くなります。ラインハルトは激昂し出産には立ち会えないと悟りつつ親征です
幕僚総監メックリンガーは皇帝の病臥に関する記述が増大している事に気付きます。ラインハルト生涯3度目・最後のハイネセン行です。主君の登場で両者喧嘩成敗、イゼルローン軍にハイネセン出頭を改めて命じます。これで終幕か…と見せてビッテン~の期待は現実となります
皇妃男児を出産、「アレク大公」誕生
柊館のヒルダからお遣いを頼まれたマリーカは外から異変に気付きます。5月14日帝都14か所で同時多発テロが発生、この日はケスラー・マリーンドルフ伯不在の為狙われたのです。ケスラーはそれは陽動で真の狙いは皇妃と胎内の御子にあると看破します
柊館に不審者が侵入、アンネローゼは気高く暗殺を阻止しヒルダを守ります。マリーカの厄除けの呪文を背に(笑)ケスラーは突入します。アンネローゼの射撃は正確で、最後の盾として極秘裏に様々な訓練を受けているのです。弟を導き今日の銀河を作ったのはアンネローゼなのかもしれません
弾切れでアンネローゼが身を挺し立ち塞がると、後方から一斉斉射、ケスラーの登場で場は収まり、ヒルダは産気づいています。男児が生まれ、全人類社会で最も高名な乳児の誕生です。ラインハルトはその報に軽く混乱し、御名を付けるのに苦労します
ケスラーはフェザーンの地球教徒一掃に乗り出しオーベル~はド・ヴィリエに警戒します。ラインハルトはさんざん悩んだ末俗な名だ…とアレクサンデル・ジークフリード・フォン・ローエングラムと名付け、これにより乳児は「アレク大公」と呼ばれる事になったところでこの巻は終わります
まとめ
イゼルローン軍の攻勢は凄まじく、あのワーレンも手玉に取られてしまいます。ユリアンの知略は元より、メルカッツの存在感が大きいです。ラインハルト親征が叶わずオーベル~に託しますが、彼は「オーベル~の草刈り」を敢行、結果的には更に血を見る羽目になります
元々オーベル~とビッテン~は気が合わず対立する事も目に見えていました。オーベル~の凶行と相性の悪さを考慮出来なかったラインハルトにも非はありますが、病臥故の迷いとも取れます。ルビン~の裏に枢機卿ド・ヴィリエがおり、ドミニクの忠告からオーベル~の最終ターゲットとなります
帝都でもひと騒動あり、柊館のヒルダ達が襲われます。ここで大活躍なのはアンネローゼという意外性ですが、藤崎竜版では彼女がより女性的かつ有能な人物として描かれ、射撃も正確、立場的に相当苦労して習得したと思われ、ヒルダが弟を導き今日の銀河を作ったのはアンネローゼと感じるのも納得です
結果早産ながら男児が生まれ、ラインハルトは無い知恵を絞って俗な名を付けます。やはり彼にとってキルヒアイスの存在は別格で、ジークフリードとし以後「アレク大公」と呼ばれます。ずっと懸念されて来た世継ぎ問題もひと段落し、物語は終局へと向かいます…34巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
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