前回までのあらすじ
キロランケは亜港の岬にある灯台に目を付け、そこに爆薬があるとし、アレが来れば脱獄の成功の条件が揃うとひたすら待ちます…
毒専門の殺し屋・関谷
網走で鶴見中尉は12枚の刺青人皮(写し含む)を見てこれだけあれば…暗号解読も娘のアシリパでも解ける程度のものにしているはずだと言います。杉元も岩息の写しを見て何かに気づいているようです
集落で唐突にエノノカが男に襲われ、杉元は正面から救いに行き、首を斬られたように見えましたが何とチカパシがマキリの鞘を収めた事でかわせ、倒せてしまいます。その男は罪人で、樺太アイヌの「イトイウリ」という生き埋め刑に処されます
阿寒湖では牛山と土方からの連絡が途絶え、新八は痺れを切らし、門倉とキラウシが探しに行きます。門倉は看守時代関谷という毒専門の殺し屋のせいで身体検査のため尻の穴を何度も見たと愚痴ります。阿寒湖ではワカサギ釣りをしている者がおり、更にスケートをしている子供が土方が昨日その辺に立っていたと言います
関谷は牛山を毒とチョウセンアサガオで意識混濁させ棺に埋め、土方と半分は毒入りの蚕を飲む賭けをし、土方はフグ毒のテトロドトキシンを引いて瀕死になります。門倉は子供の証言と蚕の殻から真相を導けません。関谷はキラウシにチカ(ワカサギ)を与え(一匹のみ致死量の毒入り)、悦に浸っています
しかし門倉は氷上で転びワカサギを穴に落としてしまう凶運(強運?)の持ち主です。例の子供がいじめられ縛られ、意識朦朧の牛山に桃の乾物を与え助けて貰います。子供(チヨタロウ)は牛山を「怪人オベンチョ」と名付け仲良くなります
関谷は土方を棺に入れますが、牛山が逃げている事に気づきます。門倉の宿舎に関谷から土方の刀と脅迫状が送られて来ます。関谷は几帳面で、必ず人質を生かしておく手口で脅すため、刺青人皮を持っていて一人で探しに出てしまった新八を探します
牛山はチヨタロウとスケートをしていると、例のいじめっこが現れ、またマリモを食わせると言うので牛山が成敗します。あまりの凶暴さにチヨタロウは桃の乾物を食べさせながら牛山を葬らないとと焦ります。湯壺に桃の乾物を投げ、牛山はスケートでスピンしつつ湖面にダイブします(笑)
関谷は門倉との待ち合わせ場所を湖のど真ん中(狙撃できなくするため)にし、更に丸腰にさせますが、門倉はキラウシに目線を送った振りをし、尻に隠したマキリで襲う手筈です
トリカブトとフグ毒の拮抗作用
ところが関谷はゲロリ(スケート靴)を履いており、先程の目線の方向に急ぎます。これは門倉の狙い通りで、キラウシと挟み撃ちする筈でしたが、途中牛山が湖面から出て来たため、関谷は方向を変えます。牛山は正気に戻っており、蚕を落とした為、門倉は謎が解け、蚕業の農家に向かいます
関谷を追い詰めた門倉ですが、ここで賭けを仕掛けられ、マキリで腿を刺しますが、関谷は動じず、凶運の門倉は賭けに乗り、結果が出るまで関谷は自身の娘の話をします。結局賭けは門倉の負け(トリカブト)で、約束通り関谷が土方の様子を見に行くと、何と土方が反撃します!
門倉が咄嗟に飲んだ追加の丸薬はフグ毒で、トリカブトとは拮抗作用があり生きながらえ、逆に土方はフグ毒で意識が薄れる中致死量を下回らせるだけのトリカブトを意図的に飲んでいたのです。土方は若い頃薬売りをやっていた経験があり、決して運だけではなかったのです
土方は関谷を斬りつけ、結局関谷は逝き、門倉は関谷が娘の理不尽な死(落雷死)に折り合いをつけようと凶行を重ねたのでは?と言います。チヨタロウは牛山のおかげでいじめられなくなり、感謝をします
ソフィア脱獄作戦敢行!
杉元達も亜港監獄に近づきつつあります。キロランケはソフィアと牛乳文通を続けていました。亜港監獄にはソフィアの手下が何十人もおり、味方につけて金塊を見つけたとして本当にアイヌのためになるのか?とアシリパは問います。キロランケはアイヌだけじゃなくウイルタやニブフ(樺太の少数民族)のためになると断言します
白石は監獄に潜入し、ソフィアは逃亡時の変装用のニブフの衣装とキロランケからの長い手紙を受け取ります
キロランケは以前長谷川写真館で日本語を習ったと言います。キロランケとウイルクは少数民族の独立運動のために戦いつつ、ソフィア達過激派組織を利用したのです。ある日写真館はオフラーナ(秘密警察)に包囲され、てっきりキロランケ達を捕えに来たと思っていましたが、実は長谷川こそが日本軍のスパイだったのです
オフラーナを一掃した際、ソフィアは誤ってフィーナ(長谷川の妻)を撃ってしまいますが、長谷川は決してソフィアを責めず、それきりとなります。罪悪感を抱きながらキロランケ達3人は更に北上しますが、途中意見の違いでソフィアと別れたという回想でした
現在に戻って、キロランケが待っていたのは流氷でした。ソフィアを脱獄させたら氷を歩いて大陸へ逃げ、ソフィアの仲間とも合流すると言うのです
ちなみにフィーナは散り際長谷川(幸一)だと思っていた男が実は鶴見篤四郎だと知らされたのです
アシリパはアザラシ狩りをし、その油は和人にとっての醤油みたいなものだとキロランケは言います。キロランケは監獄のタタール海峡に面した塀4箇所に爆薬を仕掛け、それがソフィアへの合図となります。ところが完全には爆発せず、1箇所のみ塀は壊れ、そこからソフィア達は脱獄しようとします
すると突如虎が現れ、ソフィア達の行く手を遮ったところでこの巻は終わります
まとめ
今巻の風変り人物は毒専門の殺し屋・関谷でしょう。緻密に計算された賭けで牛山や土方を貶め、刺青人皮を横取りしてしまおうと図りますが、新八の託した門倉の強運(凶運?)と土方の薬売りの経験から打開されます
トリカブトとフグ毒には拮抗作用があり、偶然にも生きながらえた門倉と、必然で生きながらえた土方、逆に関谷を倒して刺青人皮を手に入れます
キロランケとウイルク、ソフィアの3人は長谷川写真館で日本語を習っていましたが、オフラーナに見つかります。ところが彼らの狙いは日本人スパイだった長谷川の方で、運悪くフィーナは命を落とします。散り際長谷川は自身が何と鶴見篤四郎(=鶴見中尉)だと明かします!ここで3人と鶴見中尉の因縁も見えて来ます
ソフィア脱獄のためにキロランケは流氷が来るのを待っていました。予定通りに塀爆破はいかなかったものの、1箇所は破壊出来たため、そこからソフィア達は脱獄しようとしますが、そこに大きな虎が立ち塞がります!19巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
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