「ゴールデンカムイ」27巻のアイヌ文化と食と金塊争奪サバイバル~ウイルクの罪深き凶行とキロランケとの思想の違いとは!?巧みにアシリパを誘導した鶴見中尉、ついに暗号の鍵を聞き出す~

前回までのあらすじ

何とか出て来た海賊にまだ状況を把握していない杉元アシリパを返せと突っ込みます!建物は崩壊し、煙突が倒れ、その弾みで何でか門倉が上手い事布団に入ります…

海賊逝く!

杉元海賊に渾身の一打をキメ、ついに海賊は降参します。海賊は手持ちの刺青人皮で解読しようと持ち掛けますが、杉元は一度裏切った男を信用できない、土方の方がマシだと突っぱねます

鶴見中尉達は薄野消防隊の身ぐるみを剥がし、変装して脱出します。海賊はサッポロビール宣伝販売車を持ち出し、杉元達と後を追います。馬に乗った土方に事情を説明し、更に進むと海賊は血を流し過ぎてフラフラしています

鶴見中尉の部下が立ち塞がる中、海賊は民家に突入し近道し鶴見中尉に迫ります。読み合いになり蒸気ポンプ車に横付けすると、実は鶴見中尉は馬に乗っており、海賊は撃たれます。更に菊田からの銃弾も受け瀕死の状態です

どさくさに紛れて杉元は蒸気ポンプ車に乗り移っており、菊田・鶴見中尉と車上で死闘を演じます。海賊は普通なら弾避けに白石を使うところを自身で弾を受け、助けたんだから俺の事を忘れるなよと最期にアイヌの最初の金塊の在りかを託し逝きます

杉元菊田と揉み合いながら、どうやら過去顔見知りだったようで、お互いを「菊田さん?」「ノラ坊」と呼び合い、杉元はポンプ車から落下、見失ってしまいます。月島は馬が撃たれ、そこにソフィアが飛び乗って来ます!近接戦となり、月島の抱える袋にアシリパがいると勘違いし、ソフィアは頭を柱に強く打って倒れます

鶴見中尉も合流し、瀕死のソフィアも捕虜とされ、杉元は宣伝販売車に乗り込みますが、海賊が死んで運転の仕方が分からず追えず仕舞いです。鶴見中尉はソフィアの所持品から若かりし頃のキロランケウイルクとの写真を見つけ目を光らせます(長谷川写真館時代接触しているのです

月島鯉戸少尉がいつもなら鶴見中尉と話す際早口の薩摩弁になるところを普通に話していた点から、鶴見中尉へ不信感を抱いているのでは?と見抜きます。教会に誰もいないと言っておいて、実はソフィアアシリパと何か秘密の話をしたいようで、隠れる月島鯉戸少尉はさらに不信がります

鶴見中尉はソフィアに例の写真と骨を見せ、ソフィア鶴見中尉が長谷川だと気づきます!鶴見中尉の昔語りが始まります

変わってしまったウイルク

鶴見中尉は事の発端は1867年のロシア軍艦カレバラ事故にあると言います。鶴見中尉はソフィア達が来なければ妻を失う事はなかったと言い、月島は「妻と娘の眠るウラジオストクを日本にする」という個人的な弔いでは?と感じます

鶴見中尉は骨を弄びながら、尊い犠牲の上にソフィア達が何を得る事が出来たのか?と問い、ソフィアユルバルスの手紙に「ウイルクは変わってしまった」「アシリパが生まれたから」とあったと言います。教会を見つけた杉元白石アシリパを取り戻すと意気込み、車が電柱に当たり座席から飛び出します(笑)

アイヌと家庭を持ったウイルクは変わり、それから数年後キムシプという埋蔵金の在り処を知る老人が登別で目撃されます。ウイルクはアイヌの仲間とキムシプを探しに行こうとしますが、キロランケは何故俺を呼ばないんだと怒ります

ウイルクは極東ロシアと樺太島、北海道をそれぞれロシアと日本から独立させ一つの国にするという考え「極東連邦」=(ソフィア・キロランケ)から北海道だけに力を集中させて守ろうと考えを改めました。ルーツがロシアにあるキロランケと北海道に故郷が出来てしまったウイルクの考えは異なるものになってしまったのです

喧嘩になりますがウイルクキロランケの止めを刺さず、やはり変わってしまったようです。去り際ウイルクアシリパを茨の道を自分で選び幸せを掴もうとする人間になって欲しいと言ったようで、その話にアシリパは同感します。親から子へ受け継がれてきたカムイという思想を忘れたらアイヌも消えるとアシリパは危惧します

すると鶴見中尉はそのカムイを守る戦いのためにウイルク達はどんな悲惨な最後を遂げたのかこれから教えてあげようと言います。ウイルクキムシプを探し、同時に鶴見中尉もその情報を突き止め、有古の父と結託しウイルクの噂話を聞き出します

ウイルクは仲間の6人に珪藻土の話等博識として一目置かれ、鶴見中尉はここでもウイルクが自分の前に立ち塞がるのかと感じます。鶴見中尉はウイルクの過去をそれとなく伝えると有古の父は慌てて出て行き、明け方ウイルクの仲間と殺し合いになり力尽きます

ウイルクの本性とゴールデンカムイ

ウイルクを庇う者とそうで無い者とで殺し合い、結局ウイルクは自身の首の皮を剥いで他人の生首にかぶせ自分の死を偽装したのです。しかも仲間だった6人+キムシプ全ての首の皮を剥いでそれぞれ首をすげ替えかぶせており、目玉もくり抜いていたのです(ウイルクは目がアシリパ同様青いです

この凄惨な殺人事件の容疑者から確実に自分を除外させ自分が間違いなく死んだと思い込ませるためです。この凶行と残されたアシリパ達の立場への配慮、キロランケに対する扱い等を踏まえ最短距離で暴挙に出たのも驚きだが、唯一の誤算は追跡者が私だった事だろうと鶴見中尉は言います

支笏湖の近辺に「監獄部屋」があり、ウイルクはそこへ逃げ込み、第7師団とは犬猿の仲である犬童の監獄側に自身の正体と金塊の隠し場所を知っていると伝え、ウイルクは網走監獄ののっぺら坊となるのです。キロランケキムシプの手の刺青の件や土方アシリパを探しに来た事等からのっぺら坊ウイルクではないかと感じます

キロランケも家族を持ちますがウイルクと同じ考えには至らず、かつてのウイルクが憧れていたはずの狼のやり方で彼を殺してあげた(網走監獄襲撃時)とソフィアへの手紙に綴ってあったのです

鶴見中尉は全ての元凶はウイルクにあるとし、妻と娘の弾痕にあった弾から犯人は実はウイルクなのだと話し、自身はウイルクの覆面を被り、アシリパアチャが鶴見中尉をこんなに哀しい人にしてしまったのだと感じます

ソフィアは全部恨みだったのか?(それが本当だったらぶっ殺してやると月島は感じます)と問うと、鶴見中尉はあくまで目的は日本国の繁栄、進むべく道の傍らに自分の小さな弔いがあるだけで、道をそらす等ということは断じてないと言い切ります(月島は安堵します

鶴見中尉はあくまで北海道は日本に帰属意識がある者によって統治されるべきだと言い、まだら模様の例の金貨を見せ通貨のような物を作ろうとしても各地で採れた砂金は金の含有率が違う為混ざり合わなかったと言います

更に黄金にもカムイがいるとすれば、それはアイヌにとって災厄をもたらす悪い神様=ゴールデンカムイなのではないか?と言います。ソフィアウイルクの覆面をかぶせ、アシリパを脅す鶴見中尉、アシリパは観念し、ついに暗号の鍵となるワード=ホロケウオシコニと漏らしてしまったところでこの巻は終わります

まとめ

今巻ではいよいよゴールデンカムイの本筋の核心・ウイルクの変貌と鶴見中尉の思惑が明らかになります。鶴見中尉がウイルクを追う事になった発端は長谷川写真館での妻・娘殺害事件なのですが、勿論その事は鶴見中尉に強く恨みとして残っているものの、本来の目的はあくまで日本の繁栄と言い切ります

キロランケウイルクソフィアは同じ志を抱いていましたが、別れ、ウイルクはアイヌで家庭を持つ事で考えが変わります。そんな中埋蔵金の話が湧いて出て、そこで仲間のアイヌを皆殺しにしてしまうのです。また、自身もその時命を落としたように巧妙に偽装する等手口が巧妙かつ凄惨です

鶴見中尉は個人的な恨みも勿論ありましたが、金塊の件もありウイルクのっぺら坊に執着したのです。アシリパにとってはあの優しかったアチャの裏の顔を見せつけられ、流石に動揺し、ついには託されたホロケウオシコニという暗号の鍵をつい漏らしてしまいます

ここまで巧妙に誘導した鶴見中尉の周到かつ執念深い企みには舌を巻きますね…ついに核心に触れてクライマックスへと突き進むゴールデンカムイ、28巻ではどんなお話が待っているでしょうか?

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