前回までのあらすじ
新入幕で優勝争いし、千秋楽が鬼丸という出来過ぎたドラマに太郎太刀は約束を果たしに来たと気張ります
立ち合い諸手突きでも止まらない鬼丸の勢いは凄まじく、激しい突きで太郎太刀はお前こそが俺にとっての「横綱」ーとしながら、張り合ってこそライバルだろうがと猛り、駿海は今場所の熱を生んでいるのは鬼丸だと説き、「横綱」たり得る資質だとし雄々しく二人が戦います…

優勝決定戦はW同部屋対決!
「勝ち」を教えてくれた鬼丸に感謝し、慌てさせろと叩きますが鬼丸は引きに落ちません。押し相撲なら勝機はあると今までの過酷な稽古を思い出し、太郎太刀は追い諸手突きー撃砕を放ちますが、お互いを認め合い、なれよ’’横綱’’に…俺も絶対追い付いてみせるからと最後は寄り切りで鬼丸の勝ちです
優勝決定戦か、刃皇勝って優勝・引退かは結び:草薙戦で決します。異様な雰囲気の中、2敗の力士は鬼丸含め3人おり、大包平は三日月に勝って、冴ノ山は御手杵に勝って望みを残し、刃皇が敗れれば4つ巴の優勝決定戦となります
行司の木村庄之助は横綱の集中力と共に草薙が絶不調の中人ならざる者の気配がし、全盛期の大和国そのものです。勝ち筋が見えた草薙は右上手を引き、横綱刃皇は間違いなく全盛期の大和国よりも強く圧倒されますが皆に託された草薙は横綱相撲とは程遠い悪足掻きー河津掛けで粘ります
大和国はそんな事しねぇと刃皇の投げで勝負あり…というところで、童子切が「物言い」し、刃皇の足の指が蛇の目の砂を払ったのを見逃さず、軍配差し違えで草薙の勝ち、優勝決定戦です!4人によるトーナメント戦のくじ引きの結果、刃皇ー大包平・鬼丸ー冴ノ山というW同部屋対決となります
横綱刃皇との頂上決戦
大包平は誰よりも横綱と相撲を取って来たのに俺の知らない刃皇がいると感じ、櫓投げで敗れます。これで横綱が王手、対する柴木山部屋勢は冴ノ山が大関昇進の目安でギリギリチャンスがあり、鬼丸は全てを教えてくれた冴ノ山に手心を加えるような非礼があってたまるかと同部屋力士として恥ずかしくない相撲をと気張ります
冴ノ山は張り差しで出足を止め、鬼気迫る二人は互いの成功を心から願いながら今その相手を踏み越えて行かねばなりません。攻めに強い炎の鬼丸と受けに強い水の冴ノ山という構図となり、冴ノ山は回想で鬼丸の優秀さが少しだけ疎ましく感じ、今思えば彼に慕われるだけの自信がなかったのだと悟ります
長い相撲となり、鬼丸はいつだって横綱を目指し続ける兄弟子の背中を見て育った者として負けられないと切り返しを冴ノ山が逆に一気の寄りとしますが何と鬼丸も引き土俵際が丁寧な冴ノ山をあえて走らせ不安定な形とするのです。最後は櫓投げー鬼楼で鬼丸の勝ちです
これで鬼丸は刃皇に再挑戦する権利を手にします。刃皇は作為を感じながら土俵の上では私が神なのだ!と立ち塞がります。国宝世代も分があるのは刃皇ながら期待してしまうのは鬼丸の初優勝です。速い相撲だった刃皇に対し激しい相撲で消耗し切っているのは鬼丸ですが、何故か何か起こす奴だと期待してしまいます
アメリカ大統領も見守る中、立ち合いの踏み込みは無道で、圧倒的支配的神的力量の刃皇に対し鬼丸は運命に、神に抗いし者なのです
鬼丸見事な逆転優勝で大団円
喉輪を振り払う鬼丸、細かい突きをいなし下手を引き、神に歯向かう異形としてこの地獄を闊歩する鬼神となると迫り、刃皇はここに現人神がいるぞ!と攻守の型 雲竜を見せ対する鬼丸の攻の型 不知火との刹那の煌めきを人々は瞬きも呼吸も忘れ焼き付けようとします
鬼丸怒涛の如き攻めに割り込む刃皇の勝負勘、斬っても斬っても止まらない二人、大小どちらもある鬼丸は刃皇より相撲を堪能していると感じ刃皇が抑え込むと右足の僅かな綻びから鬼丸の勝負勘が冴え、櫓投げー蒼天に櫓投げー鬼楼とお互い譲らず全てに感謝する潮火ノ丸の相から百千夜叉堕が決まります!
座布団舞う中値千金の金星で粛々と行う所作は相手への敬意に満ちています。優勝を逃し進退が問われる刃皇でしたが辞める理由がないだろうとイキります。レイナや仲間達と祝い、この先どうなるかは分からねぇ…それでも今は最高に幸せじゃと言う鬼丸の見事な逆転優勝で火ノ丸相撲は終わります
番外編
優勝インタビューでも仲間やライバル、ファンの声援が力になったと気高い鬼丸、国宝世代の意地として一度勝ったくらいで越えたなんて思っちゃいないと「横綱」を目指す戦いは続きます。三賞授与式を経て優勝パレード、冴ノ山は大関昇進は見送られ、来場所10勝以上が条件です
千秋楽の夜、各相撲部屋ごとに祝賀会が開かれ、躍進の柴木山部屋は盛り上がり、レイナも壇上に上がり力士の嫁として勤めを果たします。その後結婚披露宴では例の公開プロポーズ映像で会場を沸かせ、友人知人・各界関係者ら400人が出席、ここから波乱の余興でメチャクチャながらそこには母の面影もあります
夢オチで酷い目に遭った鬼丸、初優勝から約半年、変わらず幕内で相撲を取り、レイナの大学卒業を待って部屋住みも卒業予定、もう独りじゃない、最高の今を積み上げろ…ワシの相撲人生はまだまだこれからじゃ…!と晴れやかに番外編は終わります
まとめ
高校相撲編を挟み仲間・ライバル達との数々の因縁にも決着が付く形で大団円を迎える最終巻、W同部屋対決という熱い展開の中、最後は鬼丸の横綱再戦で見事な決着を見ます。川田先生が何度も語っていましたが、ジャンプという超人気週刊連載雑誌に5年も、28巻も連載を続けた事はとても誇らしい事です
内容的にも硬派な熱血スポ根ものに今風のラブコメ要素も加え、大相撲の素晴らしさを抜群の筆致で最終的に素晴らしい形で締めくくった火ノ丸相撲、相撲漫画として残した爪痕は大きく、もっと評価されても良いくらいの素晴らしい内容です
大相撲という入れ替わりの激しい困難ながら気高い武道スポーツをジャンプという青少年向けの大衆漫画で長期連載した功績を称え、もっとこの漫画が多くの人に読まれ、愛されて欲しいと切に願うばかりです
終わりに
相撲の楽しさ・素晴らしさを存分に描き、小兵の主人公が幕内優勝というまるで夢みたいな物語を多くの仲間やライバルと切磋琢磨していく様は非常に爽やかな読み口で、また何度でも火ノ丸達に会いたくなりますね!今までお付き合い頂きありがとうございました
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