「いぬやしき」2巻のスピード感溢れる展開とSF論~獅子神の凶行と犬屋敷の善行…対照的な二人の機械人間~

前回までのあらすじ

GANTZ信者の安堂に、ネットしか世界がない中身のない人間だなと言われ、「俺もう獅子神皓じゃないんだよね」と言い、犬屋敷同様頭部が開き、安藤が喜びます…

獅子神の凶行

安堂は手品か何かかと問いただします。獅子神はベランダで銃を撃つ真似事のようなことをしてカラスを撃ち落としてしまいます。そのまま池袋に行き、電器屋のテレビコーナーの全てのテレビにAVを流してしまいます。最後に交差点で車の大事故を意図的に引き起こします

安堂の部屋に戻り、漫画を立ち読みしている獅子神の背中が開き、機械が見えています。安藤は「お前…本当に…獅子神皓じゃ…ないんだな…」と呟きます。不登校の安藤を学校に連れ出すために来た獅子神は、いじめた奴を殺してやると言います

夜、獅子神は顔を抑えぐるぐる回り、ある家を特定し、不法侵入し、家族を惨殺します。「ばんっ」と手で銃のように撃ち、殺していくのです!お風呂に入っていた親子にも魔の手は伸び、命乞いをする父親を無情にも殺します。獅子神は「ああ…生きてる感じがする」と喜びます

高校生の娘が帰って来ます。惨殺の様子を見た娘に、獅子神は話をしようと言います。無理やり漫画の話をし、ワンピース好きと知り喜びます。殺さないでと嘆願する娘の掌を指でなぞると掌が切れ血が流れ、娘は喚きます

帰宅した犬屋敷に、その娘の喚きが聞こえてきます。犬屋敷は車を飛ばし、現場へ急行します

現場では娘は既に撃たれた後でした。他の家族も惨殺されているのを目の当たりにし、犬屋敷は自分の無力さを思い知ります。すると獅子神と遭遇、獅子神に撃たれてしまいます!しかし犬屋敷は死なないのです。追いかけると、獅子神は空を飛んでどこかへ行ってしまいます

自分と同じ者がいるということに、犬屋敷は戦慄します

犬屋敷の善行

先程の光景をリプレイしていた犬屋敷は、そのニュースを聞きながら、心が機械のように冷えていくと感じます

犬屋敷は帰宅途中に、バス停で揉め事に遭遇します。きちんと並ぶよう注意したら、輩に会社員が連れ出されてしまうのです。犬屋敷は正義感が強く、会社員を助けようとします。情けない恰好で輩に向かっていきますが、物凄いパンチ力なのです!輩連中を一網打尽にし、会社員に感謝されます

すると今度は火事の現場は発見します。GPSのような機能で場所を特定出来るのです。犬屋敷は服を脱ぎ、獅子神のように飛ぼうと試みます。方法が分からない中、鉄腕アトムの歌を歌ってみると、背中が開き、なんとか飛ぶことが出来ますが、操縦に慣れていないため上手く飛べません

少しずつ運転に慣れた犬屋敷は、火事現場に到着します。子ども達が泣いている中、火事の中に単身乗り込み、父親と祖母を助けます。犬屋敷は自分のことを警察にも誰にも言わないで下さいと言い、現場を後にします。犬屋敷は喜びます

善と悪

獅子神安堂を連れ出し、一緒に登校します。案の定安堂をいじめていた連中が群がって来ますが、獅子神が強気に挑発します。頭を掴まれた獅子神は、その腕を握ります。物凄い力のようで、その男は座り込んでしまいます

獅子神安堂に謝るよう言います。その男は泣きながら謝ります。いじめっこたちはまだ状況を良く理解していないようで、放課後屋上に来いと言います。その通り屋上に行きますが、誰もいません

屋上からいじめっこ達をかなり遠い距離でも見つけた獅子神は、また銃のように撃ち、殺してしまいます。動揺する安堂に、獅子神は「アメリカの軍隊が来ても、俺が守ってやるよ」と言います

また、銀行のATMに行き、カードなしで操作し、口座の残高操作し、大金を手に入れてしまいます。安堂獅子神にもう付いていけないと漏らします。安堂は警察に自首しないなら、もう家に来ないでくれと言います。獅子神は学校には行けよと言い、その場は別れます

犬屋敷が歩いていると猫が車に轢かれてしまいます。悲しむ犬屋敷は猫を抱きかかえると、何かHPのゲージみたいなものが出現し、回復させられることに気づきます。全快した猫は再び歩き始めます。犬屋敷は喜び、重病の者も救えると病院に向かい、植物状態の患者の前でおじぎをしたところでこの巻は終わります

まとめ

獅子神犬屋敷の得た能力の使い方の対比が目立つ巻でした。獅子神は銃でカラスや人を撃ってしまったり、電器屋で悪さをしたり、ATMの悪用をしたりと、高校生というまだ世の中を良く分かっていない子どもらしい、安直な悪用をしてしまいます。また、氷のように冷たく、人を殺して喜んでいるような状態です

代わって犬屋敷は、人助けをすることで、今まで存在意義がなかった自分が人の役に立てると喜びます。まだその使い方に不慣れな点はありますが、輩を退治したり、火事現場で人を救ったり、猫を再生したりと、基本的に良い行いをするのです

この二人の対照的な行動が、この「いぬやしき」の根底にあると思われます。若く、世の中を知らない獅子神の短絡的な行動と、酸いも甘いも知っている初老の犬屋敷の善行、それが二人を引き合わせる時が来そうな予感がしてなりません

病院に向かった犬屋敷、人を救いたいという想いがどう転ぶのか、次巻も読みましょう!!

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