あらすじ
マサルは猛獣使いのリーゼロッテとその相棒のライオン・ドラムとともに、凶暴化した巨大トラ・ビーストをやっつけます。
リーゼロッテはマサルに励まされたことをきっかけに、仲町サーカスに入団することを決意。
仲町サーカスはこれで、団長・ノリ・ヒロの家族に、万能の曲芸師・しろがねと猛獣使いのリーゼロッテが加わることになりました。
ところで仲町サーカスの団長と、ノリ、ヒロの兄弟は実の親子ではありませんでした。
今は亡きフサエという団長の奥さんが、捨てられていたノリ、ヒロを拾って我が子同然に育てていたのです。
最初はノリもヒロも団長やフサエには懐きませんでしたが、フサエの献身的な子育てに、徐々に心を開いていきます。
しかしフサエは綱渡りのショーの途中で綱から落ち、大けが負ってそのまま亡くなってしまうのです。
そんな話をしていると、仲町サーカスの一行は銀行で爆弾魔に出くわします。
犯人の男は家を出て行った妻への恨みから爆弾を手に犯行に及んだのです。
「あんなオレになつかない子供なんかいらねえ!」
「子供を捨ててオレとよりを戻せ!」
男の言葉に誰よりも激怒したのはノリとヒロでした!
男の元妻とともにしろがねは人質になりますが、その後ろ姿にノリとヒロは、健在だった頃のフサエの面影を見ます。
そんなノリとヒロに、マサルは得意の曲芸を使っての救出作戦を提案します。
作戦は見事成功!
…したかに思えましたが、マサルが爆弾の爆発に巻き込まれそうになり、しろがねはノリの手をすり抜けてマサルを助けに走り出してしまいます。
女性とマサルを救出したノリとヒロでしたが、どこかフサエと同じ匂いのするしろがねを助けられなかったことに大号泣。
ですがマサルは落ち着いて言います。
「しろがねは…… 死なないんだ。」
見上げると、爆弾魔を取り押さえ、煙幕を背に、傷ひとつないしろがねの姿が!
この事件を機に、マサルはノリとヒロの弟分として認められるようになったのです。
①フサエの献身的な子育て
ノリとヒロは仲町サーカスに拾われた当初、なかなかなじもうとしませんでした。
しかしそれぞれあることをきっかけにフサエと仲直りをします。
ヒロの思い出は、フサエが大事にしていた高価なつぼ。
幼いヒロはこれを割ってしまい、とても弁償しきれないと思い、逃げ出してしまいます。
しかしフサエは見つけたヒロを追い出すどころか、
「つぼは割れたってまた買えばいい!でも、ヒロ、あんたは違うだろ、あんたはたった一人なんだよ!」
とヒロを叱り、抱きしめるのです。
ノリの思い出は、学校で流行っていたビー玉でした。
ノリはビー玉遊びが下手くそで、転校していった先の学校でぼろ負けし持っていたビー玉を全部取られてしまいます。
しょんぼりとしていたノリに、フサエは、
「なんだって、ビー玉で負けたって?! じゃ、特訓だよ!」
とショーもそっちのけで舞台衣装のまま猛特訓。
それからも毎日ノリと遊びの特訓に付き合ってくれたのです。
そうしてノリとヒロは、フサエのことを「オフクロ」と呼ぶようになっていきました。
②フサエの死
そんな子煩悩なフサエでしたが、ノリとヒロにはけして「お母さん」とは呼ばせませんでした。
というのも、本当のお母さんがノリとヒロを迎えに来た時に、「お母さん」は二人もいらないから…。
しかし、そんな思いとは裏腹に、ノリとヒロはフサエのことを「母」と慕うようになっていました。
そんなある日、ショーの最中にフサエは綱渡りの綱から落ち大けがを負います。
ノリとヒロがショーを放り出して泣きじゃくる中、フサエは
「サーカスのフィナーレの一輪車乗りがあるだろ… サーカスは…最後まで…ちゃあんとやるもんだよ。」
と叱るのです。
そして、
「帰ってきたら、本当に、母ちゃんになってやろうかねえ…」
と言い残し、帰らぬ人となるのです…。
③「子供を捨てろなんて言うくされ親は… オレ達がぶちのめしてやらァ!」
家を出て行った妻への恨みから銀行を襲った爆弾魔に対し、ノリとヒロが激怒して発するセリフです。
一度は親に捨てられ、一度は母と慕ったフサエを亡くしたノリとヒロ。
「子供なんていらない」「子供を捨てろ」と言う爆弾魔のことが許せず、たまらず殴り込みにいきます。
ノリとヒロの「親子」への強い思いがあふれているシーンです。
④「そんなふうに言われて、できねえなんて言う芸人がいるかよ!!」
ノリとヒロの言葉に逆上した爆弾魔は、元妻としろがねを人質にとり、銀行の屋上に立てこもります。
二人を救出するべく、マサルはノリに箱乗りの芸で、ヒロにロープの芸で屋上へ近づき、女性としろがねを奪還するようお願いします。
「スゴイグラグラするだろうけど… ノリさん、できる?」
「とても危ないよね… ヒロさん、できる?」
マサルの言葉に奮起したふたりは、見事に芸をやり遂げ、女性としろがねを救出するのです!
普段はおちゃらけた二人の、芸人としての意地が光る場面です。
⑤「あの女のヒトにゃ…子供がいるって… 母ちゃんいなくなったら… 困る…だろうなって…」
ノリとヒロはしろがねのことが大好き。
ですが、屋上にいるしろがねと犯人の元妻の女性を、ノリとヒロのどちらがどちらを助けるかを決める時、ふたりして「オレは『奥さん』を助けまーす。」と手を挙げたのです。
それはどうして?とみんなから聞かれた時に、ノリとヒロが答えたセリフです。
「親子」に特別な思いがあるふたりだからこそ、大好きなしろがねよりも、見知らぬ子供の母である人質の女性を助けることに迷いがなかったのです。
「しろがねさんを助けたくなかったワケじゃねーんだよう~」と情けない声を上げる二人に、しろがねは、
「とても素敵…」
とほほえむのでした。
次回予告
この事件の被害者だった女性はその街の有力者の娘でした。
かわいい娘と孫を救ってもらった有力者の男性は、仲町サーカスが興行ができず困っていると聞き、「私が話をつけてあげよう!」と、興行を許してくれます。
ですが仲町サーカスにはお金もなければ資材もなく、サーカスをやるテントもないという始末…
そこで仲町団長も見知ったストローサーカスに援助を求めます。
しかしストローサーカスはしろがねにゾッコン、援助の代わりとしてしろがねにショーに出るよう迫ります。
断るかと思いきや、仲町サーカスのため一肌脱ぐ、と言いだしたしろがね。
しろがねの出たショーは大成功!
しかし仲町サーカスの興行はどうなるのか…?
次回、ご期待下さい!
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