あらすじ
ナルミはギイとともに、フランスのキュベロンにいました。
ギイが語るのは「生命の水(アクア・ウイタエ)」…万人の病を治し、無機物に生命を吹き込む万能の霊薬について。
才賀の屋敷の大爆発からナルミの命を助け、失った左腕の代わりに動く義手とナルミの体を結びつけているのがこの「生命の水」だというのです。
では「生命の水」は何故作られたのか…
それは、老いず、朽ちず、傷付かず、痛まず、感じず、死なない人…『自動人形(オートマータ)』を創り上げるために作られたのです。
「生命の水」を与えられた最初で最後の人形はフランシーヌと名付けられました。
一見完璧無比なフランシーヌだったが、唯一の欠点がありました…
フランシーヌは笑えなかったのです。
そこで、フランシーヌは自らを笑わせてくれる道化たち、すなわち『オートマータ』たちを造り出しました。
「生命の水」はもう無かったため、「生命の水」に似せた疑似体液を注ぎ込んで…。
しかし疑似体液も不完全で、維持するためには人間の血を吸う必要があったのです。
ギイとナルミは会話のさなか、「しろがね」の拠点ともなっていた修道院が襲撃されていたことに気付きます。
そこに残されていたマリーという「しろがね」は、200年もの間「オートマータ」たちと戦ってきたと言います。
しかしマリーの体は回復の見込みがないほどボロボロになっていました。
「ゾナハ病にかかった時、『生命の水(アクア・ウイタエ)』など、飲まなければ良かった…」
そう言い残し、マリーの体は石のように崩れ去ってしまったのです…
修道院にいた残りの「しろがね」であるタニアとルシールは「オートマータ」たちに連れ去られてしまっていました。
ギイとナルミは二人を救出すべく、修道院を後にするのでした。
①「まったくよ… 人から言われて―― 何かと戦うなんざ… 最低なんだよ…」
謎解きはまだ続きます。
かつてナルミを苦しめていた「ゾナハ病」は、人を笑わせないと死に至る病気…
ギイもかつてはゾナハ病の患者でした。
そして、ゾナハ病の苦しみから逃れるべく、万能の霊薬「生命の水(アクア・ウイタエ)」を口にしますが、ある意思がギイを支配します。
「『自動人形(オートマータ)』を壊せ!!」
それは抗いようのない意思でした。
ギイの体はもうギイのものではなくなっていました。
ナルミやギイ、他の「しろがね」たちを苦しめたゾナハ病は『自動人形(オートマータ)』の疑似体液が病原体だったのです。
そんな話を聞いてなお、ナルミは「誰かに操られて何かと戦うなんて、最低だ」と漏らすのです。
②「オレは子供の悲鳴にだけは、ガマンがならねーんだ!」
修道院から連れ去られたタニアとルシールを救出するべくナルミとギイがやってきたのはとある民家。
そこに張り込みをしていた警官からショッキングな事実を突きつけられます。
「オートマータ」たちはスクールバスを襲撃し、生徒4人と先生を誘拐して生き血を吸おうともくろんでいたのです。
ナルミの脳裏には、才賀の家で生き別れたマサルの笑顔がよぎります。
大爆発と…大洪水…
マサルが死んだのではないか、自分はマサルを守れなかったのではないか、という気持ちがナルミを襲います。
警官は応援を呼びますが、ナルミはひとり、民家へと向かいます。
二度と子供の悲鳴を聞かないために――!
③「てめーらの命は軽すぎんだよォ!!」
ヒョロヒョロで弱っちかったナルミが「強くなりたい!」と中国拳法を始めたのは、実は母親が弟を身ごもったからでした。
いつまでも弱い自分のままでは兄として弟を守れない…そんな思いから中国にわたり、拳法を修めるのです。
ですが、ナルミの想いもむなしく弟は流産。
「なんのために強くなったんだ?」
ナルミは自問自答を繰り返します。
強くなった…強くなったハズなのに!
才賀の屋敷で意識を取り戻したとき、腕に抱いていたはずのマサルはいなくなっていました。
マサルを守れなかったと思うナルミのやるせなさは怒りへと変わり、命を軽々しく扱うオートマータたちをその拳で一掃するのです。
④「ありがとよ… 助かってくれて…」
オートマータたちに連れ去られた子供たちと先生。
先生は命がけで子供たちを外へと逃がしますが、その代償として命を落とす重傷を負ってしまいます。
そんな先生にナルミは、万能の霊薬「生命の水」が流れる自分の血を飲ませようとします。
ギイをはじめとした「しろがね」たちは、それを阻止しようとしますが、ナルミの意志は変わりません。
どうしてそこまで、とギイに問いかけられるナルミ。
弟を助けられなかった…マサルを助けられなかった…
「人を助けたことがないからさ」とナルミは答え、先生に血を飲ませます。
結果、先生は息を吹き返し、ナルミは「初めて人を助けられた」と涙を流すのです。
⑤「なれるぜ…… オレよか、強くよ!」
ナルミに助けられた子供たちは無事に家族のもとへと帰っていきます。
そんな中、一人の少年がナルミに聞きます。
「おじさん…強いね… ぼくも…いつか…」
最後まで言えないまま、母親に抱きしめられ連れられる少年。
その背中にナルミはこぶしを握って声を掛けるのです。
あの時、マサルに言ったのと同じ笑顔で…!
少年は、笑顔でその場を去るのでした。
次回予告
「強くなったからどうだっていうんだ」
それはずっとナルミの中でくすぶっていた思いでした。
ですがこの事件をきっかけに、ナルミの中でその問いに対する答えの火が灯ります。
そしてナルミはギイたちとともに「自動人形(オートマータ)」たちを倒す「しろがね」になることを決意するのです。
ヤツらに子供たちの血をすすらせるものか。
ゾナハ病をばらまかせてたまるものか!
次回、事件で生き残った最古の「しろがね」であるルシールが、諸悪の根源『真夜中のサーカス』について語ります。
こうご期待!
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