前回までのあらすじ
フラウはこの情勢下でもアムロの事が気になり、家にラザニアを持って行きますが、アムロはパソコンに夢中で、フラウは大勢の人が亡くなっているのに!と泣き叫びます。流石のアムロも参り、本当は戦争が怖い、どうする事も出来ないから…と謝ります…
罪深きコロニー落とし
ギレンは民衆を扇動し、一方的にMSで攻撃するランバ・ラルはこれは殺戮だと感じます。ドズルはラルを呼び出し、ギレンの戦争を早期に終わらせる案・毒ガス作戦を聞かされ、更にサイド2を地球の引力圏に運びジャブローの真上に落とすとまで言うのです
流石のラルもこれには承諾出来ず反抗し、この戦争は狂っている、オレは降りると言い去ります。ジオン軍はコロニーに耐熱コーティングを施します。ユウキはファン・リーと落ち合い、悲惨な戦争の中、連邦軍がきっと助けに来てくれると話します
ユウキは日本人の血が流れており、日本に留学する予定でした。日本の話をし、意気投合したユウキはファン・リーとキスをします。GGガスが注入され、多くの人が亡くなります。ユウキは最後の力を振り絞りシェルターを開けようとして力尽きます
コロニー’’アイランド・イフィッシュ’’は連邦の抵抗を受けながら地球に降下、3つに割れ、地球に衝突します。この落下が地球に大被害をもたらします。オーストラリア南部・バイカル湖・カナダ南西部は特に被害が酷く、壊滅・地震・津波・破片の雨等散々な有様です
直接的な被害に加え、疫病や餓死等二次被害を合わせて世界の総人口の約半数にも及ぶという事実が明らかになります。この一連の緒戦は後に「一週間戦争」と呼ばれるようになります。ギレンは軍議でルウムも掃討されなければならないとし、尚も攻勢を緩めようとしません
デギンはコロニー落としも結果的に戦争終結には至らず、作戦を立案したギレンが責任を取るべきだと諫めますが、ギレンは勝利者にさえなれば良いと主張、退席するデギンにキシリアは同情的です。ドズルは娘のミネバの元に帰り、泣かれますが寝入ると、何億人ものミネバを殺したのだと自身を責めます
妻のゼナ・ミアに介抱されながら、昔のザビ家は良かった、愛する者を護る為に戦うと決意します
勇敢に戦うセイラ
サイド5 ルウムの首都ミランダではデモが頻発し、政府は連邦軍の武力を背景にジオンと対決する姿勢を固めます。セイラはドクターとして忙しなく働いていると、諜報部員のタチが現れ、シャアが今や赤い彗星と称される英雄で、この男に注意して欲しい、また、キャスバルは生きているとも主張します
するとロジェからテアボロが心臓発作で倒れたと連絡が入り、セイラは崩れ落ちます
黒い三連星は自身のMSの出来に満足げですが、シャアザクの小洒落た装飾に嫉妬します。シャアは中尉に昇進しており、最早黒い三連星より階級は上です。シャアは試乗すると言い、黒い三連星にルウムでどちらがよく働くか競争だと焚きつけます
セイラが顔を見せるとテアボロの様態も良くなります。ロジェはジオンへの移住を考えていると言い、セイラに今までの感謝を告げます。セイラはタチの言葉が脳裏を過り困惑します
ジオンの軍議では相変わらずギレンが煽り、作戦についてドズルが説明、ティアンム艦隊とレビルの艦隊との戦力はジオンの遥か上を行くとしながら(3倍の兵力差)、本隊をティアンム艦隊に向け、レビルの艦隊には特別機動大隊を二個中隊当てるとし、ガイアとシャアが現れます
エデンで飲んだくれているラルにクランプ、コズンが参戦の為ルウム戦線に赴く旨伝えます。ラルはザビ家の連中は人殺しだ、あんな奴らのために死ぬなと忠告します
テアボロの様態が安定して来ている中、屋敷の外で火事が起き、このパークの人間はジオン側だから殺すと襲って来ます。セイラはバリケードを作りなさいと告げ、銃撃戦を展開します。セイラは勇敢に戦い、涙を流します
ルウム会戦へ…
UC0079 一月二十三日‐レビル将軍麾下の連邦宇宙艦隊はルウムへ進発、圧倒的戦力差で一気に戦局の帰趨を決するつもりでした。セイラは勇敢に戦いますが、そこでテアボロの死を告げられます。素晴らしいお父さんでしたと涙し、戦いを続けます
弾薬が底を尽きかける中、コロニーのベイが攻撃されるのが見え、そこではロジェ達の船が破壊されます。それはシャアの手によるものなのです…ドレンと通信したシャアは、お互い悪くない印象を受けます。シャアは御前会議の内容をリークさせてまで敵を欺くかとザビ家のやり口に侮りがたいと感じます
セイラは赤いザクを見かけ、赤い彗星では?と驚きます!ティアンム艦隊はルウムが攻撃されたとの報を受け、ベイへの攻撃がリークした情報と違うと違和感を感じます。それはレビルも同様で、カニンガムとワッケインの部隊をルウムに回します
黒い三連星は檄を飛ばし、シャアに負けてなるものかと気張ります。デギンは後方からガルマと戦局を眺め、レビルが陽動に乗った事を悟ります。ガルマはシャアが武勲を上げる事を恐れ自身も前線で戦いたいと漏らします。ムサイが被弾し、ガルマが荒れるとデギンは見苦しい、落ち着けと一喝します
艦隊戦となり、数で勝る連邦軍優位な展開でこの巻は終わります
まとめ
世に悪名高いコロニー落としについて詳細に語られる今巻、核でも破壊出来ないと言われるジャブローに多くの人が住むコロニーを毒ガスで全滅させ、地球に落とすという前代未聞かつ非情な戦略が取られます
今まで多く語られながらその全貌が明らかにされて来なかったこのコロニー落としに至るまでの背景やその惨状についても語られ、本当に人間とは罪深いものだと感じざるを得ません。ガンダムはバトルものの為、必然的に戦闘シーンが爽快であったりはしますが、やはり戦争とは本来あるべきものではないと感じさせます
ギレンは圧倒的戦力差を埋める手段としてこのコロニー落としの他に、わざと情報をリークさせて連邦の戦力を二分させ、そこにMSによる奇襲を企てます。ガンダム史におけるこのルウム会戦のMSの有用性は非常に重要な点で、次巻詳細に描かれますので是非チェックしておいて下さい
ドクターとなったセイラは更に逞しく成長しますが、実質上の父でもあったテアボロの死や名脇役・タチによる赤い彗星の存在とキャスバル生存の情報に翻弄されます。こういった経緯から現在のセイラ像にも合点が行くところでしょう
壮観な艦隊戦の体で進みながら、数で劣るジオン軍はMSでの奇襲を目論見ます…シャアや黒い三連星の勇名を決定づけたルウム会戦が語られる14巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
おまけ
THE ORIGINはアニメ映画化もされています。主に1stガンダムでは描かれなかった独自要素(回想)をメインとし、全6話構成となっています。第2話は「哀しみのアルテイシア」で、地球でテアボロ・マスの元に身を潜めながら巻き起こる喧噪について語られます
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