前回までのあらすじ
デギンは後方からガルマと戦局を眺め、レビルが陽動に乗った事を悟ります。ガルマはシャアが武勲を上げる事を恐れ自身も前線で戦いたいと漏らします。ムサイが被弾し、ガルマが荒れるとデギンは見苦しい、落ち着けと一喝します…
ジオン軍圧勝
ドズルはティアンム艦隊に押され、予定通り散開・反転して目標をレビルの本隊に見定めます。楽勝気分の連邦側ですが、このドズルの急襲で状況は一変します!その後ついにMS隊が出撃します
レビルの母艦アナンケは被弾、レビルも怪我を負い、ジオン恐るべしと感じます。最終的にアナンケは黒い三連星により大破させられます。レビルを乗せたランチも黒い三連星に捕捉されます。ワッケインの艦隊はMS相手になす術がなく、総員退去を命じます(攻撃したのはシャアザクです)。他のMS乗りはシャアザクが通常の3倍のスピードだと驚きます
シャアは残弾3ながら惜しみなく的確な射撃で撃墜数を増やします。勝鬨を上げるギレンをキシリアが労い、デギンの乗るグワジンが突出し過ぎている事を指摘しますが、ギレンはまるでワザとそうさせているかのような振る舞いです
コズンはシャアの活躍をまざまざと見せられ、自分の残弾を託そうとしますが、シャアは断り、ラルの分も働けと豪胆です。ドズルは圧倒した艦隊戦で一度攻撃を止め、黙祷を捧げます。デギンはこの状況でも油断せず、ティアンム艦隊回頭の報を受け、勝ちを確信し、降将レビルに礼を失する事のないよう訓令します
休戦協定と見せかけて戦争続行へ…
大勝利したジオン軍、ギレンは祝勝会でデギンに公王として檄を頂かねばと発破を掛けます。デギンは慎重で、連邦に早期講和を求めるべきだと言いますが、ギレンは弱腰過ぎると一喝し、旧時代の愚行等参考にならない、ダイクンの理想を現実にする好機を手に入れたと鼻白みます
ギレンが下がるとキシリアが現れ、デギンはギレンが鬼になった、あれはこの国を、我が一族をも滅ぼすと危惧します。キシリアは私が付いているとデギンを安心させます。黒い三連星はレビルを捕虜としジオン十字勲章の活躍も、マスコミにはシャアばかり取り上げられて怒ります
ガルマはドズルに参謀部付き等嫌だ、前線に出て手柄を立てたいと訴えます。シャアの大活躍に嫉妬し、ザビ家のお坊ちゃんと陰口を叩かれていると嘆くので、ドズルは善処してみると伝えます。祝勝会で活躍した英雄としてシャア達は讃えられ、ギレンはアジテーターとして檄を飛ばします
ガルマはシャアに対抗し、最精鋭の一〇一空挺師団付少佐に配属になったとむきになります。近々ルウムの残敵を掃討すると吠え、シャアが心配すると見くびるなと強がります。ガルマは残敵掃討に精を出し結果を残します
キシリアは地球至上主義であるマ・クベに全権を委ねると話します。マ・クベの考えを踏まえて、休戦協定全権をと見せかけて戦争を続行させる気です
停戦の気運がある中、地球侵攻軍の長として地球に迎えと言うキシリアに、マ・クベは自身の身の安全を訴えますが、ガルマを下に遣るので公国は決して見捨てぬ保障になると言われます。戦争が続くか疑問符を持つマ・クベに、キシリアは口元を隠し、ギレン総帥を好かぬと本心を打ち明けます
デギンはレビルと謁見し、スペースノイドとしての言い分も伝えた上で事を収めることは出来まいか?と持ち掛け、虜囚の身のレビルに助け船を出します。マ・クベは全権委任され地球に降下、彼を好かないドズルは悪口を言い、シャアによく地球に行かず残ってくれたと労います
ドズルはシャアに新たな指令として連邦の「V作戦」を探れと指示します。特別に改装したムサイと精鋭を授け、任務の為なら特別に単独行動も許すと寛容です
瞬時に状況を察するシャア
レビルは移送すると言われながらどこかへ連れて行かれます。そのまま軍服に着替えさせられ、バースを全力疾走してランチに乗り込みます
目に掛けていたドレンを新装ムサイの艦長に抜擢し、奮い立ったドレンは威勢よく戦闘訓練を行います。すると前方に連邦の巡洋艦・サラミス級を発見します。お互いこの空域には敵はいないはずと想定していたため、シャアは停戦命令を出します
そのまま警告射撃を行い、サラミスは機関停止し、シャアはザクでサラミスに単身乗り込みます。艦橋で何故このいてはいけない空域にいるのか問い、射撃されそうになったため反撃、デニムのザクも威嚇し、更に問うとそこにレビルが現れます
シャアは瞬時に状況を悟り、私には過ぎた宝船だったと見逃し、危うく最高の政治ショーを台無しにするところだったと戒めます
南極大陸スコットシティではエルランが暗躍し、隊員には二階級特進ものだと告げています。ジュダックとメディア対策を講じ、コロニー圏を含む全世界で主要局のほとんどが生中継すると話します。ルナツーでは会見が開かれ、虜囚の身だったレビルが救出され今話していると切り出します
ルウム会戦の敗北の全責任は自分にあるとし、再戦の機会があれば全身全霊を以て雪辱を期すと誓います。南極での休戦協定は=「降伏」だとし、専制と独裁に屈するという事になると演説し、デギンはレビルめ…と怒ります
ガルマは大佐に昇進し、北アメリカ方面軍西部地区軍司令官として着任すると告げ、デギンは激励します。そしてギレンに地球人達はまだ己の敗北を認めようとしない、二度と戦争なぞしたいと思わなくなるほど徹底的に叩きのめすのだ!と命じます
フラウとアムロが水浴びをしているところ、ヤシマ・シュウとミライは演説を聞き、なんだかんだ皆戦争がしたいのだと嘆きます。船に乗るセイラも演説を聞き物思いに耽り、レビルがジオンに兵なし!我々は必ず勝利する!と宣言したところでこの巻は終わります
まとめ
ジオン軍の圧勝で終わったルウム会戦、シャアや黒い三連星の大活躍でレビルも虜囚の身となり、完全勝利ながら、これで早期講和に持って行きたいデギンと、まだ戦争を続けたいギレンの思惑にズレが生じます。結果的にジオン軍は戦争継続の為にワザとレビルを逃がし、一大演説を講じさせます
シャアは持ち前の鋭さでこの秘密裡のやり取りを見抜き、危うく最高の政治ショーを台無しにするところだったと戒めます。シャアはこの茶番を敢えて静観し、自身の任務・「V作戦」を探る任務に没頭します
レビルはデギンと事前に講和の方向で話していましたが、脱獄させられ、正にギレンが意図した通り戦争継続の宣言をさせられます。この辺りザビ家の中でも意見の食い違いが見られ、ギレンの暴走が目につきますが、ここではデギンもレビルの反意に怒り、連邦と徹底抗戦すると告げます
戦争には犠牲は勿論、様々な利権が絡み、起こしたくてしょうがない側もいる事が分かります。お金になるのでしょうね…ロシアのウクライナ侵攻も様々な事情があっての戦争なのかもしれません。これで長かった回想は終わり、次巻から本編に戻ります…15巻ではどんなお話が待っているでしょうか?
おまけ
THE ORIGINはアニメ映画化もされています。主に1stガンダムでは描かれなかった独自要素(回想)をメインとし、全6話構成となっています。第3話は「暁の蜂起」で、ガルマとシャアの共闘が垣間見える名シーンです
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